会社を辞めてYouTuberに、小・中学生の強豪プレイヤー……『ポケモンチャンピオンズ』初代王者3名にインタビュー

 いま、ポケモン対戦の競技シーンは最高の盛り上がりを見せている。

 待望のポケモンバトル特化の対戦ゲーム『Pokémon Champions(ポケモンチャンピオンズ)』が登場したのが理由の一つだろう。

 「厳選」「煩雑な育成作業」が不要となったことで、ポケモン対戦の魅力と奥深さが、より多くの人に伝わる土台ができたといえる。

 今回、取材したのは、毎年恒例となっている、ポケモン関連ゲームの日本一を決める大会「ポケモンジャパンチャンピオンシップス」 (以下、PJCS)。

 2026年6月6日〜7日にパシフィコ横浜で開催された「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026」(以下、PJCS2026)では、ポケモンバトルだけでなく、『ポケモンカードゲーム』部門、『ポケモンGO』部門、『ポケモンユナイト』部門などの4つの部門が実施された。

 中でもポケカの部門は、子どもから大人まで人気の部門の1つだ。また、ここ最近は『ポケモンユナイト』の部門もプロゲーミングチームの参入や推し活によって、その勢いを増している。

 ただポケモンといえば、誰もがゲーム内で慣れ親しんだ「ポケモン対戦」が本丸だろう。ポケモン対戦の公式大会はこれまでも盛んに行われてきたのだが、今回の『ポケモンチャンピオンズ』の登場でさらに盛り上がっていくと思われる。

 つまり、ここにきて、真打ち登場というわけだ。

 また、今年はポケモン30周年のメモリアルイヤーでもある。そんな記念すべき年に、満を持して登場した『ポケモンチャンピオンズ』で行われるゲーム部門、その初代王者が決定した。

 優勝トロフィーを掲げる3名のチャンピオン。

 ゲーム部門は年齢別にカテゴリがあり、ジュニア(2014年以降生まれ)、シニア(2010年以降 2013年以前生まれ)、マスター(2009年以前生まれ)の3つがある。

 今回は、3人の王者に、囲み取材で話を聞くことができた。それぞれの個性を楽しんでほしい。

会社を辞めてYouTuberに? オオニシ ヒロシ選手

 まずはマスターカテゴリで優勝した、オオニシ ヒロシ選手のインタビューをお届けしたい。

 2022年のPJCSから本戦に継続参加している強豪プレイヤーである。決勝ではアライ リンタロウ選手との激戦を2-1で制し、悲願の初優勝を果たす。囲み取材では「会社を辞めてYouTuberを目指す」という旨のサプライズ発言があり、場が騒然となった。その一部始終をご覧いただこう。

──優勝おめでとうございます。今の気持ちはいかがでしょうか。

オオニシ:本当に嬉しくて、手伝ってくれた友達には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

──日本一を獲ったという実感は湧いていますか。

オオニシ:ちょっとまだ夢のようです。トップ4でも望外の結果だったのですが、優勝となると……まだ夢の中にいるような感覚です。

 

──今回ゲーム部門の対象ソフトが『ポケモンチャンピオンズ』になって初めての大会でしたが、日本一となった感想はいかがでしょうか。

オオニシ:『ポケットモンスター ソード・シールド』、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』からやっていたので、継続的にではありますが、改めて『ポケモンチャンピオンズ』で初めて日本一になれたというのは、やはり特別な感じがして嬉しいです。

──相棒のポケモンたちに伝えたいことはありますか。

オオニシ:2週間ずっと固定のポケモンで戦ってきたので、本当にありがとう、という感じです。特に思い入れがあるのは、イダイトウですね。6匹の中で一番強いと感じていたポケモンで、決勝でも活躍してくれました。

──先ほど、オオニシ選手のご友人にも話を聞きまして「仕事が忙しい」と伺いました。そんな中で、ポケモンに費やす時間をどうやって作っていましたか。

オオニシ:たくさんプレイしている友達にアドバイスをもらうことで足りない時間を埋めていたので、周りの友達に感謝しています。オンライン予選の時期が特に忙しく、寝る間も惜しんで頑張っていました。

──それほどまで、モチベーション高く頑張れる『ポケモンチャンピオンズ』の魅力はどんなところにありますか。

オオニシ:同じポケモンでも育て方次第でいろんな戦い方ができるんです。例えばイダイトウひとつ取っても「こだわりスカーフ」を持ったものと、今回僕が使った神秘のしずくを持ったものとではガラッと性能が変わります。ポケモンの育て方によって細かいところで違いが出てきて、お気に入りのポケモンで戦えるというところが、一番惹かれるポイントです。

──オオニシ選手は、ハンドルネーム「cona」として、YouTubeでも活動されていますが、今回の優勝によって、今後の活動は変わってきますか。

オオニシ:実は、現在勤めている会社を9月に退職する予定です。自分にはポケモンしかないので、ポケモンに集中してやっていきたいという意気込みでいます。『ポケモンチャンピオンズ』は非常に奥が深く、初心者が中級者になるのが難しいゲームだと思っています。そこの橋渡しになれるように、初心者がレベルアップできるような解説、あとはシングル勢がダブル勢になれるような活動ができればと考えています。

オオニシ選手が優勝を決めた瞬間の友人たち

 オオニシ選手の発言からは、終始、喜びと今後の活動に向けた決意が滲み出ていたように思う。また、ステージ上でも囲み中でも、友人たちへの感謝の言葉が多かったのが印象的だ。実際、オオニシ選手の決勝戦は多くの友人たちが見守っていた。優勝が決まった瞬間、友人たちは自分のことのように飛び跳ねて喜んでいた。

お父様が登場!ウエズ ヒデオ選手

 ジュニアカテゴリを制したのは、ウエズ ヒデオ選手。なんと、PJCS、2連覇である。昨年の世界大会(WCS2025)でも世界3位となった強豪プレイヤーであり、小学生ながら、そのオーラからは歴戦のポケモントレーナーの風格を感じた。囲み取材中、頭のなかでシロガネ山のレッドとの戦闘BGMが流れていたのは、筆者だけだろうか。

 ウエズ選手に「大会に向けて普段の生活で工夫したこと」を聞いてみたところ、たくさんバトルができるように、毎日何試合やるかを決めて、無駄な時間を減らしていたとのこと。
練習時間は、平日1時間、土日は2〜3時間程度のようだ。

決勝では終始落ち着き、友人のハタホリカズタカ選手に2-0で勝利した

 思ったよりも少ない気がしたが、ぷよぷよのゆうき選手もそれぐらいだったので、天才小学生とはそういうものなのだろう。すると、ここでお父様が登場して、補足説明があった。お父様によると、どうやら練習時間はもっと少ないようだ。なんとウエズ選手は4つの塾に通っていて、土日も塾で忙しいとのこと。平日は30分ぐらいで土日も1時間程度のようだ。

 ここで、ウエズ選手はお父様に対して「もういいよ…」と呆れた様子だった。

 8月の世界大会(場所:サンフランシスコ)について、観光など、楽しみにしていることがあるのか聞いてみたが、やはり大会がメインで観光などは考えていない様子だった。

 最後に、好きなポケモンを聞いてみると、強くて使いやすいという理由でゴリランダーを挙げてくれた。使いやすいとのことだが、なかなかテクニカルなポケモンな気がするが……基本的には、ゴリランダーとガオガエンを中心に構築を組んでいるとのこと。

お父様への感謝の言葉と父からのエール!オノ リュウセイ選手

 シニアカテゴリで優勝したのは、中学3年生のオノ リュウセイ選手。PJCS2022のジュニアカテゴリで準優勝を果たした実力者だ。

 初代王者になった感想を聞いてみたところ、「すごいですね(笑)」と他人事のようだった。ちなみに現場の大人たちは爆笑である。日本一を取った実感はまだ湧いていないとのことだった。決勝での緊張の有無についても聞いてみたところ、試合前は緊張していたものの、いざ試合になったら落ち着いて戦えたようだ。

最終局面、いわなだれ→ダブルウィングの唯一の勝ち筋で勝利

 優勝が決まった瞬間について聞いたところ、どうやら、プテラがフラエッテをひるませた瞬間に、優勝を確信したようだった。

 中学3年生ということで、気になるのは、今後の進路や現状、ご家族がポケモンを頑張っていることについて、どう思っているのかであるが、将来についてはまだ考え中とのことだった。ご家族はポケモンの活動を応援している様子だったのだが、ここでまさかのオノ選手が、同席していたお父様に対して「普段、何か僕に言ってることありますか?」と質問をする展開に。

 するとお父様からは「好きなことをやって、こういった大会でこんな経験ができて、やらせて良かった。好きなようにやってほしい」とエールが送られた。

 この流れで、オノ選手に今回の喜びを一番伝えたい人は誰か聞いてみたが、やはり即答でお父さんだった。

「一番自分を支えてくれて、お父さんがいなかったらここに来ていない」

 この取材中、オノ選手の言葉に最も力がこもった瞬間だった。

 最後に、本大会における、株式会社Gamchew代表、田口尚平氏による名実況を紹介しておきたい。

 特に話題になったのは、マスターカテゴリの決勝、最終局面において、ブリジュラスがエレクトロビームを放つ場面での伝説的な一言である。

永遠に語り継がれる名実況、BGMを意識した「反撃です。」の一言

 今回のゲーム部門では、大会専用BGMが用意されていた。

 かなりカッコイイBGMであることも相まって、決勝戦の盛り上がりは最高潮だったのだが、その決勝の最終局面において、田口氏はBGMのサビのタイミングに合わせて、あえて「反撃です。」の一言に留めるという名実況を披露した。

 eスポーツキャスターというのは、戦いの状況を伝えるのが仕事であるため、どうしても言葉数が多くなりがちだが、ここでの田口氏はあえて「語らない」という判断を下したことになる。

 結果、田口氏による「引き算」の実況は、両者の戦いと激アツなBRMを引き立てることに成功した。

 格闘ゲームやFPSのような、動きの激しいのeスポーツとは異なり、ポケモンバトルはゆったりと試合が流れる。ただ、田口氏の実況は、試合全体にメリハリと疾走感をもたらしていたように思える。最高の戦いと最高の応援、そして最高の実況により「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2026」は伝説の1日となったといえるだろう。

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