Shokz、イヤーカフ型イヤホンを本格強化 最新作『OpenDots 2』と『OpenDots Air』に見るオープンイヤー戦略

 オープンイヤー型イヤホン市場を牽引してきたShokz(ショックス)が2026年6月4日、イヤーカフ型イヤホン『OpenDots 2』『OpenDots Air』の2製品を発表・発売した。Shokzといえば骨伝導イヤホンのパイオニアとしても知られているが、近年は「耳を塞がないリスニング体験」という価値を軸に製品領域を広げている。その流れの中で登場したのが、耳に挟んで装着するイヤーカフ型の「OpenDots」シリーズ最新作だ。

 同日開催されたメディア向けの発表会ではShokz Japan CMOの冨田健斗氏が登壇、新製品の特徴とともに同社が考えるオープンイヤー型イヤホンの可能性について説明した。発表内容から見えてきたのは、単なる新製品投入ではなく、成長を続けるオープンイヤー市場においてShokzがラインアップをさらに強化しようとする姿勢だった。

広がるオープンイヤー市場、Shokzの新たな提案

 発表会で冨田氏は、OpenDotsシリーズの利用シーンとして「旅行」「スポーツ」「通勤」「レジャー」を挙げた。なかでもスポーツ用途での認知向上について触れながら、Shokz製品が評価されている理由としてフィット感やズレにくさを挙げていた。確かにオープンイヤー型は周囲の音を確認しながら音楽を楽しめることから、ランニングやウォーキングなどとの相性が良い。一方で近年は、その用途がより幅広い日常シーンへと広がりつつある。通勤中にアナウンスを聞き逃したくない人や、旅行先で街の空気や環境音も楽しみたい人、長時間快適に装着したい人など、オープンイヤー型を選ぶ理由は多様化している。Shokzはそうした広がりに対して、イヤーカフ型という新たな選択肢を提示している。

 耳穴を塞がず、耳に軽く挟むだけで装着できる「OpenDots」シリーズは、従来の耳掛け型とは異なるアプローチだ。今回の新製品投入は、オープンイヤー市場そのものの裾野が広がっていることを示す動きともいえる。

フラッグシップとして完成度を高めた『OpenDots 2』

 今回発表された2製品のうち、技術的な中心に位置付けられるのが『OpenDots 2』だ。音響面では同社独自の「Bassphere 2.0」を搭載。これは2基の11.8mmドライバーを球体状に組み合わせることで16mmドライバー相当の音響性能を実現し、振動板構造の見直しによって歪みを70%低減したという。さらにDolby Audioへの対応も特徴のひとつだ。オープンイヤー型で課題となりやすい低音表現や音場感を強化し、より豊かなリスニング体験を目指している。

 また発表会で冨田氏が紹介した「MirrorPitch」も興味深い技術だった。単純に音量を上げるのではなく、耳へ効率よく音を届けることを目的とした独自の設計思想で、耳の角度分析から導き出した最適な方向、37.5度で音を反射させながら届けるという。オープンイヤー型は構造上、カナル型の完全ワイヤレスイヤホンとは異なる音作りが求められるが、『OpenDots 2』はその課題に対して真正面から取り組んだモデルといえる。

 また通話品質も強化されており、骨伝導マイク1基と空気伝導マイク2基を組み合わせAIノイズリダクションやビームフォーミング技術によって騒がしい環境でもクリアな音声通話を実現したという。バッテリーはイヤホン単体で最大10時間、ケース込みで最大40時間。Qiワイヤレス充電にも対応し、シリーズのフラッグシップにふさわしい完成度を備えている。価格は2万9880円(税込)となる。

イヤーカフ型の裾野を広げる『OpenDots Air』

 一方の『OpenDots Air』は、より幅広いユーザーにイヤーカフ型を体験してもらうためのモデルとして位置付けられる。「Bassphere」や「DirectPitch」といった独自技術を継承しながらコンパクトさや軽さ、日常での使いやすさを重視した構成になっている。柔軟なニッケルチタンプレートとシリコン素材を組み合わせたJointArc構造により、快適な装着感と安定性を両立した。

 音質面でも11.8mmデュアルドライバーを採用し、4種類のEQプリセットとカスタムEQ機能を搭載する。AIノイズリダクション付きのデュアルマイクやBluetooth 6.1への対応など、日常利用に求められる機能もしっかり備えている。特に印象的だったのは、片耳重量は僅か6.3gという軽さ。

 『OpenDots 2』が技術を凝縮したフラッグシップなら、『OpenDots Air』はイヤーカフ型の魅力をより多くのユーザーへ届けるためのモデルと言えるだろう。こちらの価格は1万9880円(税込)となる。

2モデル投入の背景にあるShokzの市場戦略

Shokz Japan CMOの冨田健斗氏

 今回の発表会では、『OpenDots 2』と『OpenDots Air』という2つのイヤーカフ型モデルが同時に発表されたが、その背景についても冨田氏から明確に語られた。

 氏によれば、イヤーカフ型市場は現在大きな伸びを見せているという。これまでは新しいガジェットに敏感なユーザーが中心だったが、近年は比較的手頃な価格帯の製品も増え、女性ユーザーを含めた幅広い層へ利用が広がり始めている。その変化を受け、Shokzとしてもユーザー層に応じた複数の選択肢が必要だと判断したという。その結果として生まれたのが、フラッグシップの『OpenDots 2』と、より幅広いユーザーを想定した『OpenDots Air』という構成だ。

 Shokzは骨伝導技術で知られるメーカーだが、現在は独自技術を投入しイヤーカフ型を含めたオープンイヤー領域全体へ注力している。冨田氏は今後5〜6年という中長期のスパンで見たとき、オープンイヤー型がより大きな存在感を持つ市場へ成長していくと見ている。耳を塞がず、周囲とのつながりを保ちながら音を楽しむスタイルは、今後さらに広がっていくというのが同社の見立てだ。

 今回の『OpenDots 2』と『OpenDots Air』の投入は、新製品を追加したというだけの話ではない。拡大するイヤーカフ市場に向けて、Shokzが本格的な布陣を整え始めたことを示す一手でもある。骨伝導イヤホンのパイオニアとして市場を切り開いてきた同社は今、オープンイヤーというカテゴリー全体の成長を見据えながら、その選択肢を広げようとしている。今回の2モデル同時投入は新モデル発表であると同時に、Shokzが見据えるオープンイヤー市場の未来像を示す場でもあった。

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