13兆円の『ポケモン』に続け 大手企業がゲーム事業を「新たな柱」に据える理由とは
ここ最近、ゲーム事業に力を入れ始める大手企業が相次いでおり、世間から大きな注目を集めている。その背景を考えたときに浮かび上がってくるのが、『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)に象徴されるようなIP戦略のあり方だ。いま日本型メディアミックスはどんな方向へと向かおうとしているのだろうか。
『ポケモン』が確立した垂直統合型IP戦略
現代で最も売れているキャラクターコンテンツは何か。アメリカのTitleMax社が発表したキャラクターメディアミックス総収益ランキングによると、1位はミッキーマウスでもハローキティでもなく、『ポケモン』だという。その累計売上は13兆円を超えていると言われており、世界でもっとも成功したメディアミックスの1つとなっている。
そもそも『ポケモン』はゲームからアニメへ、というメディアミックスの基本とも言えるような展開から出発。さらに映画やコミカライズにトレーディングカードゲーム、関連グッズやテーマパーク、ゲームアプリなど、幅広いコンテンツを次々と展開し、社会現象を巻き起こした。すなわち企画や開発からグッズ展開までをグループ企業で管理し、IPの価値を高めていく“垂直統合型”のIP戦略を先駆的に試みてきたと言える。
集英社・KADOKAWA・東映が続々参入 ゲーム事業を「新たな柱」へ
近年になって、こうしたIP戦略を追いかけるような企業が見られるようになった。たとえば集英社は2022年に集英社ゲームズを設立し、『都市伝説解体センター』などのヒット作を生み出している。またKADOKAWAは2014年より『ダークソウル』で知られるフロム・ソフトウェアを子会社化し、ゲーム事業を積極的に展開している。
さらに出版社ばかりではなく、大手映画会社の東映は4月21日にゲーム事業ブランド・東映ゲームズの立ち上げを発表。ゲーム事業をこれまで手掛けてきた映画やテレビ、催事などと並ぶ「新たな柱」として位置づけ、ゼロからのIP創出を目指していくという。
東映、ゲーム事業ブランド「東映ゲームズ」設立を発表 既存IP活用ではなく“新規IP創出”を掲げる
東映株式会社は4月21日、ゲーム事業ブランド『東映ゲームズ』の設立を発表した。Steamを皮切りに家庭用ゲーム機への展開も予定し…共通項はグローバル市場 海外売上20兆円を見据えた国家戦略との接続
このような動きに共通するのは、グローバル市場へのアプローチだ。KADOKAWAと東映は海外市場を見据えた事業展開を行うことをはっきりと宣言しており、集英社ゲームズも海外のゲームイベントへの出展や海外のゲームスタジオとの共同開発といった動きを見せている。
実際のところ、海外市場を狙いやすいという点がゲーム事業の大きな強みであることは間違いない。経済産業省が2025年6月にまとめた「エンタメ・クリエイティブ産業戦略 ~コンテンツ産業の海外売上高20兆円に向けた 5ヵ年アクションプラン~」でも、ゲームがアニメや映像を圧倒的に上回る海外売上を記録していることが報告されていた。(※)
『ポケモン』を始めとして、フロム・ソフトウェアの“ソウル”シリーズやカプコンの『STREET FIGHTER 6』、インディーゲームの『8番出口』など、日本産ゲームが海外で次々ヒットを記録している状況は今に始まったことではない。しかもその多くは、ハリウッドでの映画化など世界規模でのメディアミックスへと発展している。
海外への訴求力を考えると、ゲームを中心的な軸として自社のIPを世界中に拡大していくという戦略には高いポテンシャルを感じられる。
なお、経済産業省は「2033年までにコンテンツ海外売上を20兆円に拡大する」という目標を打ち立て、その達成に向けた成長投資支援事業に取り組んでいる。今後、日本産IPは本格的にゲームを軸として発展していくのかもしれない。
世界を魅了できる新規IPを作り出すことはそう簡単ではなさそうだが、第2、第3の『ポケモン』は生まれるのだろうか。
参考
※ https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/entertainment_creative/pdf/20250624_1.pdf