小笠原流・実践レビュー 現代の傑作品を訪ねて(第11回)

『Galaxy S26 Ultra』実機レビュー もう、電車の視線も怖くない! プライバシーディスプレイの実力と価値とは

 サムスンの最新フラッグシップモデル『Galaxy S26 Ultra』は、デザインや性能、カメラといった基本要素を高い水準で備えた、まさにAndroidスマートフォンの「頂点」にふさわしい一台だ。

 筆者は国内の発表会でも実機に触れているが、実際に数日間借りて試してみたところ、その完成度の高さがより強く印象に残った。

 操作全体のレスポンスは軽快で、カメラも引き続き4眼構成を採用しており、さまざまなシーンで撮影しやすい。日常的に使う中で大きな不満を感じる場面は少なく、ハイエンドモデルに求められる性能を着実に満たしていると感じた。

 一方で、スペック表だけでは分かりにくいものの、実際の使い勝手に影響する新たな要素も取り入れられている。中でも個人的に注目したのが、覗き見防止機能をディスプレイ自体に組み込んだ「プライバシーディスプレイ」だ。

 本稿では、『Galaxy S26 Ultra』の基本性能をひと通り確認しつつ、この新機能の実用性についても検証していく。

 なお、本シリーズは「先回りするAIフォン」というコンセプトのもと、AI機能の強化も図られている。各種機能の詳細についてはすでに既報のとおりとなるため、本稿では主にそれ以外の実使用に関わる部分に焦点を当てていきたい。

洗練と実用性に振ったデザイン:丸みと軽量化で扱いやすさが向上

今回試用したカラーはホワイト。控えめながらも清潔感があり、上品な印象だ

 『Galaxy S26 Ultra』の本体デザインは、従来のUltraシリーズから方向性を少し変え、角張ったフォルムからやや丸みを帯びた形状へとシフトしている。これにより、標準モデルと共通したデザイン言語が採用され、シリーズ全体での統一感が強まった。

 実際に手に取ってみると、エッジの当たりは柔らかく、大型モデルながら手のひらへの収まりは良好だ。これまでのUltraシリーズで感じられた「角の立った存在感」はやや控えめになり、日常的な扱いやすさが向上している。

 本体サイズはわずかに大型化しているものの、厚さは約7.9mmに抑えられ、重量も約214gと軽量化されている。S26シリーズの中では最も大きいモデルではあるが、日常的に持ち歩いても負担は感じにくい。

 側面フレームにはアルミニウム素材を採用。従来のチタニウムとは異なるが、質感に安っぽさはなく、軽さとのバランスを考えれば妥当な選択といえる。

 背面には大型のカメラユニットを搭載しており、レンズは比較的しっかりと突出している。本体を机の上に置いて操作すると、触れ方によってはややガタつきを感じる場面もあった。

 全体としては、これまでの「Ultraらしさ」を一部残しつつ、薄型・軽量化と扱いやすさを重視した設計へとシフトしたデザインに仕上がっている。

 ディスプレイには、6.9インチのDynamic AMOLED 2X(有機EL)パネルを採用する。解像度は3120×1440(Quad HD+)と高く、テキストの輪郭や細かなディテールまでくっきりと描写され、大画面のメリットをしっかりと活かせる仕上がりだ。

 リフレッシュレートは1〜120Hzの可変式となっており、スクロールやアニメーションは滑らか。静止画表示時にはリフレッシュレートを抑えることで、消費電力とのバランスも図られている。

 ピーク輝度は2,600ニトと非常に高く、屋外での視認性も良好。実際に日中の屋外で使用しても画面が白く飛んで見えなくなることは少なく、直射日光下でも内容をしっかりと確認できた。

 保護ガラスには「Gorilla Armor 2」を採用。傷への強さに加え、光の映り込みを抑える低反射特性も特徴で、周囲の景色や照明が画面に映り込みにくく、明るい環境でも表示に集中しやすいというメリットがある。

 なお、S26シリーズでは「Ultra」モデル限定の機能として、視野角によって画面や通知が見えなくなる「プライバシーディスプレイ」が搭載されている。画面保護ガラスに頼らず横からの覗き見を防止する画期的な機能であり、同機能については後述で詳しく紹介したい。

Galaxy専用の高性能チップ&冷却機構でサクサク動作

 SoCには、最新の「Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」を搭載する。ハイエンド向けチップらしく、日常操作はもちろん、負荷の高い用途でも余裕のある動作を見せた。

 ベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」で計測してみたところ、総合スコアは381万点台を記録。内訳はCPUが約116万、GPUが約149万、MEMが約42万、UXが約72万と、いずれも高水準でまとまっている。現行スマートフォンの中でもトップクラスの性能を備えていることがうかがえる。

 体感面でもその印象は変わらない。アプリの切り替えやスクロールはスムーズで、『ゼンレスゾーンゼロ』のような負荷の高いゲームでも、カクつきはほとんど見られなかった。描画の安定性も高く、フレームレートが大きく落ち込むような場面もほぼない。

 また、本機では冷却機構も強化されている。大型化したベイパーチャンバーに加え、サーマルインターフェースマテリアル(TIM)の改良により、放熱効率は最大21%向上しているという。実際にゲームなどで負荷をかけても発熱は比較的穏やかで、パフォーマンスの低下はほとんど感じられなかった。

 ピーク性能の高さだけでなく、それを安定して引き出せる設計がなされている点も、本モデルの大きな強みといえるだろう。

渋谷の街でスナップ撮影

 Galaxy Sシリーズといえば高いカメラ性能が特徴であり、中でも「Ultra」モデルは、広角カメラと超広角カメラに加えて、光学3倍と光学5倍の2つの望遠カメラを備えた4眼カメラを搭載する。各カメラの性能は以下。

  • 広角(メイン): 200MP(1/1.3型、F/1.4)
  • 超広角: 50MP(1/2.5型、F/1.9)
  • 望遠(光学3倍): 10MP(1/3.94型、F/2.4)
  • 望遠(光学5倍): 50MP(1/2.52型、F/2.9)

 カメラについては、渋谷の街でスナップ撮影を行い、日中から夜にかけて描写力を確認した。

 Galaxyのカメラといえば、シャープな描写傾向が特徴のひとつ。今回の『Galaxy S26 Ultra』もその例に漏れず、何処にいったの?と話題のモヤイ像の表面にある細かな凹凸や陰影がしっかりと描写され、立体感のある写真を撮影することができた。

光学5倍ズームも検証。同じ位置からモヤイ像の唇もこんなにクッキリ!

 渋谷駅周辺のように工事が進むエリアでは、鉄骨や重機、防護ネットなどが入り混じり、画面内の情報量が多くなりがち。そうしたシーンでも、『Galaxy S26 Ultra』は細部までしっかり描写しつつ、明暗のバランスも崩れにくいため、結果として雑然とした印象になりにくい。

 また、逆光に近いシーンでも白飛びや黒つぶれは抑えられており、明暗差の大きい都市風景でもバランスよくまとめることができる。色味も過度に誇張されることなく、夕暮れ特有の色の揺らぎも破綻なく描写してくれた。

 上記は首都高を昼と夜で同じ場所から撮影したもの。ビルの上の広告など、強い光源がある場面でも光の輪郭は保たれており、過度なにじみは抑えられている。暗部についても完全に潰れることはなく、奥行きを感じられる描写に仕上がる。

 日中・夜ともに安定した描写が可能で、日常的な撮影シーンでは安心して任せられるカメラといえる。特別な設定を行わなくても「最適な1枚」が撮れる点は、本モデルの大きな強みだろう。

「見え方」を変えるプライバシーディスプレイ

 そして『Galaxy S26 Ultra』を使う上で、特に筆者の印象に残ったのが今回から新機能として搭載された「プライバシーディスプレイ」だ。

 スマートフォンの覗き見防止といえば、これまでは専用フィルムを貼り付けるのが一般的だった。視野角を制限することで横からの視認性を下げる仕組みだが、常に画面が暗くなって見えづらくなるといったトレードオフも伴う。

 それに対して「プライバシーディスプレイ」は、ディスプレイそのものに機構を組み込んだアプローチを採用。後付けではなく、ハードウェアレベルで覗き見防止を実現している点が最大の特徴だ。

 その中核となるのが、特殊なOLEDパネル技術だ。パネル内には、光を正面方向に集中させるピクセルと、通常どおり広く拡散するピクセルの2種類が混在している。プライバシーモードをオンにすると後者の発光を抑え、前者を中心に表示を行う仕組みだ。これにより、正面からは通常と大きく変わらない表示を維持しつつ、斜めから見ると画面が暗くなり、内容を判別しづらくなる。

通知だけを見えないように設定したとき。上部の通知エリアが横から黒い帯としか見えない

 もっとも、この機能は常時オンで使う前提ではない。必要な場面で切り替えることを想定した設計となっており、設定によっては特定のアプリやシーン、通知だけに適用することもできる。パスワード入力や金融系アプリの利用時など、用途に応じた使い分けが可能だ。

 日常的には通常表示のまま使い、公共の場や周囲の視線が気になる場面だけオンにする。この運用であれば、画質面の変化を意識することはほとんどなく、必要なときだけ安心感を得られる。フィルムのように常時画質を犠牲にしなくてよい点は、本機能の大きなメリットといえる。

 スペックの数値には表れにくいが、使い方そのものに影響を与える機能という意味で、本モデルの中でも特に注目したい要素だ。完成度の高いハードウェアに加え、「安心して使える」という新たな体験を提供する点で、このプライバシーディスプレイは高く評価できる。

完成度の高さに加わった新たな体験

 『Galaxy S26 Ultra』は、デザイン、性能、カメラといった各要素が高い水準でまとまっており、日常的な使用において総合力の高さが際立つフラッグシップモデルだ。

 手にしたときの質感や仕上がりは所有欲を満たしてくれるものであり、最新のSoCと強化された冷却機構によって、負荷の高いゲームでも安定した動作を維持する。さらに、4眼カメラはシーンを問わず安定した描写を実現し、何気ない日常から都市の風景まで、幅広い被写体を高いクオリティで記録できる。

 そうした完成度の高さを前提としたうえで、本モデルならではの特徴として挙げたいのが「プライバシーディスプレイ」だ。視線を遮るというシンプルな機能ながら、スマートフォンの使い方や感じ方に変化をもたらす点は興味深い。

 満員電車のように隣との距離が近い場面や、カフェなど人目のある環境でも、周囲の視線を過度に気にせず操作できる安心感は想像以上に大きい。プライベートの通知がほとんどだが、たまにSlackなどで仕事用の通知やメッセージが届くというユーザーであっても、内容を不用意に見られにくいという点で実用性は高いだろう。

 デザインや機能面で劇的な変化を打ち出したモデルとまでは言えないものの、完成度の高さの中に新しい体験を自然に組み込んできた点が本モデルの魅力だ。スペックの進化だけでは語りきれない、「使い心地」のアップデートを感じさせる一台といえる。

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