フロム・ソフトウェアはなぜマルチプレイに挑むのか? 『NIGHTREIGN』と開発中の『The Duskbloods』から読み解く新戦略
強大な敵と一人孤独な戦いに明け暮れる、いわゆる“死にゲー”で一時代を築いたゲーム会社のフロム・ソフトウェア。しかしそんな同社が、最近になってマルチプレイのタイトルに力を入れている。この新たな施策には、どのような戦略や狙いがあるのだろうか。
宮崎英高が手掛ける完全新作『The Duskbloods』とは
たとえばフロム・ソフトウェアは、2026年にNintendo Switch 2で『The Duskbloods』という完全新作タイトルを発売する予定。同作はプレイヤー同士が戦うPvPの要素と、コンピュータの敵と戦うPvEの要素が混在した“PvPvE型”のマルチプレイを前提としたアクションゲームだ。
現在発表されている情報によると、最大8人のプレイヤーがマッチングし、「人間vs人間vsモンスター」のような三つ巴の戦いが繰り広げられるようだ。
そして同ゲームのディレクターは、『ダークソウル』シリーズや『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』、『ELDEN RING』などフロム・ソフトウェアの代表作を手掛けてきた宮崎英高社長。つまり『The Duskbloods』は、これまでソロプレイメインの“死にゲー”で人々を魅了してきた宮崎氏の、マルチプレイゲームへの挑戦と言えるだろう。
500万本突破の『ELDEN RING NIGHTREIGN』が証明したマルチの可能性
なお宮崎氏が直接ディレクターを務めたわけではないが、フロム・ソフトウェアといえば2025年にリリースした『ELDEN RING NIGHTREIGN』でもこれまでにない形でマルチプレイを導入していた。
同作は『ELDEN RING』本編の世界観をもとに、プレイヤー同士がチームを組み、強大な敵と戦うPvE型のゲーム。発売から2カ月足らずで累計出荷本数500万本に到達するほどのヒット作となった。
これまでのフロム・ソフトウェアといえば、『アーマード・コア』シリーズや『ダークソウル』シリーズでマルチ要素を入れてはいたものの、ほとんどソロプレイのおまけという印象が強く、基本的には1人でやり込むことで味が出るタイプのゲームが多かった。
しかし『ELDEN RING NIGHTREIGN』は、そんな同社への評価を一変させるタイトルとなった。これまでのノウハウを活かしたやり込み系の高難易度ゲームでありながら、PvE型のマルチプレイゲームとしても純粋に完成度が高かったからだ。
ただし、宮崎社長は任天堂公式サイト「クリエイターズボイス」掲載のインタビューにおいて、『The Duskbloods』がオンラインマルチプレイをベースとした作品であることを語りつつ、「我々が今後、そうした方向性に大きく舵を切っていく、ということではありません」と明言していた。同作に関しては、あくまでフロム・ソフトウェアが今まで培ってきたものをPvPvEに活かしてみたいという動機で作られたようだ。(※)
PvPvEとフロム・ソフトウェアの高い親和性
PvPvEは、『Escape from Tarkov』や『Dark and Darker』、『ARC Raiders』などを筆頭に世界的に盛り上がりを見せているジャンル。NPCのエネミーと他プレイヤーとの三つ巴で、他のジャンルにはない緊張感を味わえるのが大きな魅力だ。
元々フロム・ソフトウェアが手掛けるゲームは、緊迫感のある強敵との戦いを売りにしているため、PvPvEとの親和性は高かった。『ダークソウル』シリーズの“闇霊”侵入システムも、今思えばまさにPvPvEの形式なので、ノウハウは十分に蓄積されていたと言えるだろう。
その一方、『The Duskbloods』の配信先がNintendo Switch 2であることも大きな意味があるはず。PvPvEの有名タイトルはほとんどがNintendo Switch 2で配信されていないので、かなり大規模な需要を独占できそうだ。
“フロム特製”のPvPvEは世界にどんな衝撃を与えることになるのか、今後の動きにも注目していきたい。
参考
※ https://www.nintendo.com/jp/switch2/creators-voice/duskbloods/index.html