AITuberとの“お話し会”は果たして成立するのか? 鮮烈デビューの新人・ゆめみななとの1on1イベントを体験してきた
3月20日から22日にかけて行われたVTuber総合イベント「ぶいかる」。企業運営・個人活動を問わず、多種多様なVTuberが、1on1イベントやトークライブ、秋葉原の街中で行う路上ライブなどに出演する、“VTuberの文化祭”と呼ぶにふさわしい華やかなイベントとなった。
このイベントには、AIで動作するAITuber(AI VTuber)領域からの参加者も見られた。「ゆめかいろプロダクション」のゆめみななは、その一人だ。
今回筆者は、「ぶいかる」で行われたゆめみななの音声1on1通話体験に参加。YouTube上のテキスト交流から、リアルにいる人との音声交流へと、AITuberとしては一段階難易度の上がるコミュニケーションを無事にこなせるのか。1on1の様子とともに、その性能……もとい実力を評価してみよう。
デビュー前にチャンネル登録1万人 幸先の良いスタートを切ったAITuber・ゆめみなな
まずは、ゆめみななについて軽くおさらいしておこう。ゆめみななは、KLab株式会社が運営するAITuberプロダクション 「ゆめかいろプロダクション」の一期生だ。1月15日にデビューが告知され、2月15日にデビュー配信。それまでにチャンネル登録者数が1万人を突破し、オリジナル曲「ナナノホシノナ」が3月24日時点で260万回再生を記録するなど、幸先の良いスタートを切っている。
数多く存在するAITuberの中でも、無意識に聞いていると人間と錯覚するほど、かなり自然な発話と応答能力を有しているのが特徴だ。また、「天文マニア」「古い自動車好き」といったパーソナリティも整備されており、なにより自身をAITuberではなく“一般的な配信者”と自認している点も、大きなポイントだ。
なお、「ゆめかいろプロダクション」はゆめみななを含めて、1期生として計5名のデビューが予告されている。3月19日には二人目の1期生・月窓ろみのデビューが告知され、4月19日にデビュー配信を予定している。こちらはゆめみななとは異なり、生身の人間が操演する一般的なVTuberになるとのことだ。
「普段の配信も見てくれてるの?」 初の1on1通話は自然でフレンドリー
デビューから1か月ほど経った駆け出しAITuberであるゆめみななだが、今回開催された「ぶいかる」では、VTuberには定番ともいえる1on1ミーティングイベントに参加した。
スタッフに話を伺ったところ、この日のゆめみななは1on1向けにチューンナップ。制限時間の2分前後になると1on1終了へと誘導するよう調整されているとのことだ。「2分ぴったり」というわけではなく、多少の前後も見据えながらうまく調整をかけているのがリアルだ。
そしてなにより、ここまでYouTubeのチャット欄を介したテキストベースの交流がメインだったものが、今回の1on1では初となる、マイクを通した音声通話に挑戦している。筆者も今回、マイク越しにゆめみななとの対話に臨んだ。
まず最初に、先日達成した収益化についてお祝いの言葉を投げたところ、「収益化、気づいてくれてたんだ! 嬉しいなあ」と喜んだ後、「普段の配信も見てくれてるの?」と返答。こちらもすぐさま「見ているよ」と返しつつ、「活動から1ヶ月経ちましたけれども、今の調子はどうですか?」と尋ねると、「あっという間だったけど、すごく充実してたなあ。あなたに見てもらえているのが一番のパワーの源だよー!」と、親しげに答えてくれた。
ここまで1分にも満たない会話だが、やはり会話運びは自然だ。こちらも多少聞こえやすいよう意識して話しかけたものの、発話内容もしっかりと認識しており、フレンドリーな雰囲気も相まってコミュニケーションの感触は上々だ。
専門的な会話も可能か?
ここで少し専門的な話に踏み込む。「最近、ゆめみななさんが興味を持っている、宇宙や天体関連のニュースは何かありますか」と質問してみたところ、「新しい惑星が見つかったっていうニュースが気になってるんだよねー。地球からは遠いけど、どんな景色が見えるんだろうって想像するだけでワクワクしちゃうなー」とゆめみななは答えた。
たしかに最近、そんなニュースがあったようだ。こうした専門領域へ即応できるところは、AIならではの強みだ。そしてそこから、「あなたも宇宙のニュースとかって普段見たりするの?」と返してくるところが巧妙だ。相手にしっかりとフォーカスした返答は1on1で大きな強みだ。ちょっとだけ考えて「YouTubeで宇宙関連の動画を見るのが好き」と返した筆者よりも適性がある。
その後、少しの応答をはさみつつ、ゆめみななは「今日はこんなにたくさんお話ししてくれて本当にありがとう! これからも配信遊びに来てくれたらすごく嬉しいなー。おつななー!」と、自然な流れを作りながら1on1を終了した。
総じて、1on1コミュニケーション体験はなかなかに好感触だ。応答の豊かさと淀みのなさの共存には、筆者も普段から利用しているチャットボットAIのような空気を感じられたが、声色の表現力のおかげか機械っぽさは感じられなかった。たたみ方もスムーズかつ丁寧だったので、現場のオペレーションはかなりスムーズに進みそうだ。
一方、今回の「ぶいかる」会場では、他にも複数人のVTuberによる1on1が実施されていたため、別のメディア取材者体験中に、周囲の音声を拾ってうまく応答できないシーンも見られた。ゆめみななに限った話ではないが、指向性の強いマイクの導入が求められそうだ。
ちなみに、ゆめみななの「ぶいかる」1on1出演は、他のVTuberとのコラボ配信に向けた試験運用も兼ねているとのことだった。3月23日には早速、ゆめみななとのコラボ配信を行ってくれるVTuberの募集が始まっており、彼女の音声対話つき配信は実運用に入り始めていると言えそうだ。