YOASOBIが作り出す音楽の世界へ全身で「入り込む」 ソニーPCL『INTO THE WORLD』体験レポート

 ソニーPCLとYOASOBIが共同で制作した音楽体験プロジェクト『“INTO THE WORLD” YOASOBI - Concept Prototype -』の体験会が3月11日、ソニーグループ本社にてスタートした(期間は3月11日〜15日の5日間)。

 本イベントは「新しい空間音楽体験フォーマットの検証」を目的とした実証実験であり、YOASOBIのファンクラブ会員を中心に事前予約制で来場者が募られた。今回、筆者は初日の体験会に参加したので、その模様をレポートする。(Jun Fukunaga)

楽曲と原作小説がクロスオーバーした3つの体験

 会場内の受付エリアに到着すると、入場前にまずスタッフからスマートフォンを会場のWi-Fiに接続し、QRコードで専用サイトを開くよう案内があった。次にスマートフォンの音量を最大にするという指示を受けたあと、首掛け用のスマホストラップを受け取り、会場へ入る。

 会場の中は、前列から後列にかけて段差のついた客席が並ぶ映画館のホールのような空間になっており、正面には大型LEDディスプレイが設置されていた。そして、指定された席に着くと、間もなく体験コンテンツがスタートした。

 全3曲で構成されたこのコンテンツは、いずれもYOASOBIの楽曲とその原作小説を元にした体験となっている。

 最初の体験では、スマートフォンの画面に「夜に駆ける」の原作小説『タナトスの誘惑』というタイトルが表示され、会場のスピーカーから同小説の朗読が流れ始めた。朗読が進む中で、場面に合わせて手元のスマートフォンからは階段を上がる足音や、物語の象徴的なセリフが聞こえてくる。これは、来場者自身のスマートフォンが、小説の世界を一人ひとりに届ける演出装置として機能していることを意味する。それに気づいた時、先ほどの「音量を最大に」という指示の意味がわかった。

 さらに、地響きのような重低音が会場に響くと同時に床面が振動し、地鳴りを身体で感じるような体験も用意されていた。その後、スマートフォンに「夜に駆ける」と表示されると同曲の再生が始まり、小説の世界観をモチーフにしたと思われる3DCG映像がスクリーンに流れた。続いてYOASOBIのデジタルアバターが登場し、ライブパフォーマンスが展開された。メンバー本人は出演せず、その身体と動きをスキャンして制作されたアバターがパフォーマンスを届けるという形だ。

 2つ目の体験では、原作小説『RGB』のセリフがメッセージアプリの通知のようなかたちでスクリーンに映し出された。こちらでもスマートフォンから物語のセリフが聞こえてくる仕掛けは同様で、その後はアバターによる「三原色」のライブ映像へとつながっていく。また、このタイミングで筆者が気づいたのは、映像空間内のバーチャルライトと、会場に設置されたリアルな照明が精密に連動しているという点だ。このデジタルツインによる空間演出が、スクリーンの中と外の境界を曖昧にしていた。

 3つ目の体験は、初代PlayStation発売30周年を記念したYOASOBIとのコラボプロジェクト『Project: MEMORY CARD』をテーマにしたものだ。スクリーンには、同プロジェクトで一般から募集された「記憶を消してもう一度やりたいゲーム」のエピソードが映し出された。これまでの2つの体験と異なっていたのは、「PLAYERS」の楽曲パートでスマートフォンと連動したシューティング型のミニゲームが用意されていた点だ。ゲーム内の爆発音に合わせて床面が振動し、爆発の衝撃が足元からリアルに伝わってきたのも印象的だった。

関連記事