『Weekly Virtual News』(2026年3月4日号)

KizunaAI新ビジュアル発表、REJECTが常設VTuberオーディション開始――気になるバーチャル業界のニュースを一挙紹介

 VTuber、XR技術、メタバース――様々な“バーチャル”に関するトピックは、日々多く生まれている。企業による巨大な施策から、個人によるマイクロだが熱気あふれる取り組みまで、その規模は様々だ。

 連載「Weekly Virtual News」では、一週間のうちに起きた“バーチャル業界”に関連する様々な話題をピックアップ。ニュースとして紹介するだけでなく、筆者の独断と興味関心からフックアップしたいトピックも取り上げる。

KizunaAIが新ビジュアル発表、“美少女路線”へ回帰か

 2025年2月26日にKizunaAI(キズナアイ)が活動を再開して1年。新曲「KAMACHO」のリリースと同時に、彼女の新たなビジュアルが発表された。

Kizuna AI「KAMACHO」Official Music Video【キズナアイ】

 新たなビジュアルはイラストレーターのさいとうなおきが手がけており、全体的には初代のビジュアルに回帰した印象だ。2025年の復帰時には少し大人っぽく、リアルなアーティストっぽいルックスになっていたが、再び美少女キャラクター路線へと切り替わったと言える。

 直近の動画では旧ビジュアルを引っ張り出したものも増えていたので、それを知っていると納得感のあるイメチェンではある。さて、この姿でバーチャルアーティスト・KizunaAIはどんな表現を届けてくれるだろうか。

REJECTがVTuberオーディション開催

 プロゲーミングチーム・REJECTが、常設のVTuberオーディション開始を発表した。満18歳以上で日本語でコミュニケーションができ、「esportsを一緒に盛り上げてくれる方」が応募資格となっている。書類と動画審査を経て面談、そして最終面談のフローを踏む、比較的スタンダードなオーディションだ。

 esports選手やストリーマーが多数所属するREJECTだが、近年は天鬼ぷるる、dtto.、乾伸一郎など、多種多様なVTuberが所属しており、その数は並のVTuber事務所よりも多い。直近ではソニーの「VEE」から秋雪こはくが移籍しており、VTuberにとって魅力的な環境に映っていることがうかがえると同時に、業界全体として「VTuberとストリーマーの境目」が薄まってきていることも感じ取れる。

 常設オーディションは、こうした動きをさらに加速させる展開となるだろうか。なお、個人勢の応募も可能なほか、現在事務所やレーベルに所属している人も「合格後にご自身の責任で契約終了・解除が可能」であれば受け付けているようだ。

VEE・月白累が『VRChat』単独ライブ開催を発表

 ソニーのVEEに所属するVTuber・月白累は、『VRChat』上で単独ライブ『latent』の開催を発表した。

 制作を手がけるのは音楽フェス『META=KNOT 2024』なども手がけたMIGIRI。ディレクターを手がけるTakaomi氏によれば「1インスタンス限定のライブ」とのことで、上限は70人。配信の実施も予定がない、いわば“現地オンリー”のライブだ。

 この座組は、今年1月の冒頭に実施された映像体験イベント『PULSE DOME』と同じだ。このイベント内で月白累のミニライブが開催されたのだが、新宿の現地会場だけでなく、『VRChat』側の会場も用意されたリアルとVRの連動開催イベントとなった。この組み合わせで本格的な『VRChat』イベントが仕掛けられる形だ。

大丸・松坂屋アバターに新顔が登場

 2023年から『VRChat』向けアバター販売を始めた大丸松坂屋百貨店から、ひさしぶりの新作アバターとして、「ヒナミ」「ルシル」の2体が発売された。

 同社はこれまで純粋な人間アバターを12体展開。デザインにはORIHARAをはじめとした著名デザイナーをアサインし、価格はいずれも数万円台設定のハイブランド路線が特徴だった。ところが、今回は2体ともいわゆる「ケモミミ美少女」で、価格は6,500円と『VRChat』向けアバターの標準ラインに近い価格帯だ。

 キャラクターの印象としてはいわゆる「売れ線に近いデザイン」で、手に取りやすい価格帯ということもあり、どちらかと言えばユーザーの普段遣いにマッチしたアバターといえるだろう。業界参入から3年が経過し、同社の『VRChat』事業も新たな局面に入ってきたのだろういか。

『超かぐや姫!』クラファン企画でファンワールド紹介が決定

 Netflix発アニメ『超かぐや姫!』の新企画『ツクヨミ感謝祭』が、怒涛の盛り上がりを見せている。

 本企画は、クラウドファンディングサイト上で限定グッズの受注生産を受け付け、その売上金も活用して『VRChat』上に作中の仮想世界「ツクヨミ」の再現と、キャラクターによるオンラインイベント開催を目指すというものだ。

 発表当初からものすごい勢いで売上が伸び、当初設定のストレッチゴールは全て完遂。そして3月1日には、支援額が800%に達し、新たな追加施策が発表された。

 その中でも白眉と言える施策が「制作ワールド内へのファンワールドのポータル設置」だ。条件などは不明だが、有志が制作・公開した、作中シーンを再現したワールドへの誘導をおこなうものとも読み取れる。実は、このような施策には前例がほぼ見られない。

『超かぐや姫!』ファンメイドワールドのひとつ「デザイナーズタワマン 【超かぐや姫!】」

 公式コンテンツと誤解されるリスクだけでなく、ファンメイドのワールドには厄介な問題がいろいろとつきまとう。しかし、作中の光景を自ら生み出す行為と捉えれば、それはファンアートなどの二次創作とも言える。その熱量は間違いなくコンテンツを盛り上げるものであり、それをオフィシャルからピックしにいく姿勢は非常に挑戦的だ。

 一方で、この施策に応募できないワールドも、今後発生していくことになる。まだ概念として定着していない「公開される3DCGの二次創作」をどのように扱うか、IPホルダー側だけでなく、ファンの側の姿勢も、現在進行系で育まれていくべき時期と言えるだろう。

『超かぐや姫!』が『VRChat』を“揺らす”――2万人超が見届けた無料3Dライブ

2月15日の日曜日、バーチャル業界で記録的な事象が起きた。『VRChat』の最大同時接続ユーザー数の記録が更新されたのである。

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