建築家が考える理想の椅子 現代の常住坐臥をアップデートする電動ワークチェア『LiberNovo Omni』の実力に迫る
在宅でリモートワークをしていて気づいた人も少なくないだろう。自分はいったい何時間、デスクの前で座り続けているのだろうかと。楽な姿勢で快適に仕事ができるワークチェアを使えば結果、集中力が高まって作業効率がアップするのは必然。「常住坐臥」という言葉があるように人間にとって、暮らしの中の坐臥(座る・眠る)は長時間、共に過ごすものだし、現代では仕事にも密接に関わる「座るガジェット」には特にこだわりたいもの。
今回、ホットなワークチェアのなかで今秋、待望の日本初上陸を果たした話題の電動ワークチェア、『LiberNovo Omni(リベルノヴォ オムニ)』を建築家の水谷元氏がレビュー。建築家としてのアプローチをまじえながら、イマドキのライフスタイルにフィットする高機能ワークチェアの実力に迫った。
今年6月のアメリカ初お披露目で先行予約額11億円超え!
最初に『LiberNovo』について簡単に説明しておくと、リベルノヴォは元世界大手ロボットメーカーの技術者集団が2023年に設立したブランド。デスクワークにおけるさまざまな難題に直面してきたユーザー的な視点と、確かな技術力を融合し、電動ワークチェア『LiberNovo Omni』を今年6月にアメリカで初お披露目した。すると、瞬く間に先行予約額が11億円を超えるという大ヒット作に。満を持しての今秋の日本発売となる。
『LiberNovo Omni』のなにがスゴいのかといえば、まずはボタンひとつで背もたれが動き、自分のカラダに合わせてくれること。さらにカラダに自動追随するアクティブ機能を搭載。前傾、後傾、リクライニングと姿勢を変えるごとに、瞬時に自動で自分のカラダにフィットしてくれる。加えて圧倒的リフレッシュが得られる電動脊髄ストレッチ機能、仕事の合間の仮眠に最適なリクライニングモードはまるでゆりかごに優しく包まれたような浮遊感。もはや単なるワークチェアではない。椅子はここまで進化したというわけだ。
今回、2週間ほどこの『LiberNovo Omni』を自分のオフィスで実際に使用してリアル体感したという水谷氏。建築家として、まずはその造形に目が向いたという。
「外付けのバッテリーがそのまま剥き出しになっていたり、電動の背もたれ部が動くメカニカルな構造を隠さずにあえてそのまま見せている印象ですね。個人的には男性的な印象というか、機械モノ好きの男性にも好評なデザインといえるのではないでしょうか。一般的に、こういった構造的な部分は隠すことが多いですが、それをあえてそのまま露出させている分、『LiberNovo Omni』では構造としての美しさ、見え方に配慮されたデザインになっていると思います」
現代の椅子の歴史を振り返るうえでその原点的な位置付けにあるのが、ミッドセンチュリーと呼ばれる1950年代。アメリカのイームズ夫妻がつくった椅子をはじめ、建築家らが手がけた多くの名作が生まれた。
「それまでギブスなどに使っていた薄い板を重ねた成形合板の曲げ加工の簡単さに着目した建築家たちが椅子をつくろうとなったわけです。建築空間ができあがり、次はより人間のカラダに寄り添うもの、肌に触れるモノや部分も設計していこうとなっていったという歴史があります」
建築家らが手がけた椅子の多くはダイニングチェアやリビングチェアという用途のためのものだったが、その一方で、オフィスチェアが登場するのはPCが生まれてから。
「長時間座り続けてPCと向き合う仕事のための椅子ですね。1970年代から仕事のためのワークチェアというカテゴリが登場し、コロナ以降になるとリモートワークの普及もありいま、ワークチェアの競争が激化しているというわけです。1950年代にイームズがつくった椅子は使っていないときでもオブジェとしての佇まいに配慮されたデザインでした。その点、いまの椅子はインテリア要素というよりは、仕事をするうえで機能的であったり、フィジカルに寄り添った設計になっていますね」
『LiberNovo Omni』はそういった機能的な部分を構造の美しさとして表現している点で新たなるワークチェアの提案となる。
●商品情報
『LiberNovo Omni』
https://www.makuake.com/project/libernovo_omni/
※一般販売価格は17万円。現在(12月16日まで)、Makuakeでは最大51%OFF10万円以下で入手可能。
高度なフィット機能でいつでも背骨がいちばんラクな状態
水谷氏が『LiberNovo Omni』を使用してみて最初に気づきを覚えたのが、ネック部分を自分の首に合わせるというスタートの作業だ。「実際にセットしてみると、なるほどね、という感じです。PCのモニターが真っ直ぐ見えるのです」
続いて、左アーム部にあるボタンで背もたれ部を自分のカラダにフィットさせていく。
「『LiberNovo Omni』の最大の特徴はまさにこの機能でしょうね。座っていて背骨がいちばんラクな状態になるように調整してくれるわけです。しかも、背もたれの角度はほぼ直立のディープフォーカスからソロワーク、ソフトリクライニング、スパインフローまで4段階あり、いわゆるリクライニングであるスパインフローでは160°まで開きます。個人的には快適にPCタイピングが行えたのは、直立とソフトリクライニングの中間であるソロワークでした。とにかくカラダがラク。長時間PC作業を続けても集中できて、疲れ方が全然違いますね」
左アーム部にあるいちばん手前側のボタンがストレッチモードのオンオフボタン。簡易的なマッサージモードだが、この機能は水谷さんも大のお気に入りだ。
「めっちゃ、気持ちいいですよ。指圧されている感じで、腰がグゥ〜と押されるのがたまりません。『LiberNovo Omni』でいちばん気に入った機能かも」
バケットシート感覚でワーク中の仮眠にも最適な設計
ワークチェアにストレッチ機能が付帯していることは効率的でもある。
「たとえば、在宅ワーク中に軽く休憩を入れようとするじゃないですか。そうすると、通常はソファやベッドに移動することになるわけですが、むしろ、『LiberNovo Omni』でストレッチをしている方が断然カラダがラクなんですよね。カラダに寄り添うように設計されていますから。『LiberNovo Omni』をリクライニングポジションにして仮眠する際は付属のオットマンも大活躍です。ただ、就寝と異なるのは寝返りがうてないこと。それゆえに、仮眠用としては最適な設計といえますね」
あくまで、ワークチェアとしての本分をわきまえているというわけだ。
「座面、背もたれ部のクッション性も硬すぎずやわらかすぎずな絶妙なところをついていますね。沈み込みがちょうどよく、ウレタンなどの素材選定も繊細に行われているのではないかと思われます。そのほか、バッテリーはUSB-C充電が使えますし、ディテールまでイマドキの便利な仕様になっていますし、この『LiberNovo Omni』は組み立て式なのですが、その組み立て自体がとても簡単」
いまのライフスタイルに合わせてディテールまで考え抜かれた設計
「在宅ワークをする人みんなが、自宅に自分用の仕事デスクを持っているとは限らないわけです。ダイニングテーブルをデスクがわりに、椅子もダイニングチェアを作業椅子に使っている人も少なくないはず。ワークとライフの境界線が曖昧な人には、ワークチェアにもインテリア性があると、よりライフスタイルにフィットするのではないかと思います。その点で、『LiberNovo Omni』は非常にいいところをついているような存在でもあります。個人的にはブラックとカラーに加えて今後のカラーバリエーションにも期待したいですね。やはり、リビングやダイニングでも使いたいとなると、明るめの色のほうが空間のなかでの佇まいとして欲しくなりますから」
リビングチェアの世界では欧米のほうが椅子の文化としての歴史も長いが、意外と日本人の体型に合わないことも少なくないという。
「そういう意味では、『LiberNovo Omni』は使用していてまったく違和感がありませんし、可動部が非常に多く、クルマのバケットシートに近い感覚でしょうか。背中全体をやさしく包み込んでくれるのがいいですね。なによりもストレッチ機能がめちゃ、気持ちいいですよ」
多様化する現在のライフスタイルのニーズにこたえる常住坐臥な電動ワークチェア『LiberNovo Omni』、これは傑作品の予感だ。
●商品情報
『LiberNovo Omni』
https://www.makuake.com/project/libernovo_omni/
※一般販売価格は17万円。現在(12月16日まで)、Makuakeでは最大51%OFFで10万円以下で入手可能。
●Profile
水谷元 <みずたに・はじめ>
1981年兵庫県生まれ、福岡県能古島育ち。建築家。実父は日本における都市建築の第一人者としても知られる水谷穎介氏。九州産業大学にて森岡侑士に師事し、2004年中退。2011年からatelierHUGE主宰、2020年より水谷元建築都市設計室主宰。著書に『現在知 Vol.1 郊外その危機と再生』(共著:NHK出版)、『地方で建築を仕事にする』(共著:学芸出版)ほか。