7ブースをまとめて紹介! 『東京ゲームショウ 2025』XRライターイチ押しのVR/AR展示
9月25日から9月28日にかけて、『東京ゲームショウ2025(TGS)』が開催中だ。今回、筆者はビジネスデイ初日の9月25日を取材。XRライターとして、主に9ホールのVR/ARコーナーを中心に見学した。
VRゲームはもちろん、デジタルフィギュア×IP展示や、関連ガジェットの試遊などが体験できた。本稿では、普段VRで遊ばない方や、ゲーム好きの方にもおすすめできる展示を計7ブース紹介しよう。
中野に10月オープンする“施設型ゾンビシューティングゲーム”
日本XRセンターのブースでは、中野ブロードウェイで10月にグランドオープンするXRアミューズメント施設『XR Center Game Space』のローンチタイトルでもあるゾンビシューティングゲームを試遊することができた。VRゴーグルをかけるホラーゲームとなると「怖さ」が気になるところだが、ゾンビたちを銃で撃ちまくって倒す爽快感が恐怖心を上回ったからか、そこまで怯えずにプレイすることができた。
またVRゲームに慣れていても、始めに「ハプティクスベスト」を装着することのワクワク感が楽しめるはず。ハプティクスベストとは、ゲームの内容にあわせて振動する体感型のデバイスで、今回のタイトルではゾンビから攻撃を受けると激しく振動するギミックが仕込まれていた。
「日本XRセンター」の隣のブースではこのハプティクスベストのメーカーが出展しており、そちらでもゲームの試遊ができるので、時間があれば遊んでみると良いだろう。振動が加わることでさらにリッチになる、VRゲームの没入体験を楽しむことができる。
なお、今回は試遊なので『Meta Quest 3』付属コントローラーでの体験だったが、実際にはガン型のコントローラーを持って遊べるという。
専用機体で“グルングルン”に回される、ダイナミックな宇宙体験
大阪万博にて「未来の月と宇宙のバーチャル体験」として、さまざまな専用機体で宇宙空間や月面で開発や作業を行う体験ブースを出展した『FORUM8』が、『TGS』にも参戦。今回は万博会場と同じものを体験可能だ。
XRの技術は、ゲームやエンタメ以外のシーンではシミュレーションや訓練など、工業の現場で使われていることも多い。『FORUM8』の展示は、本来そうした現場で使われているものを、万博向けにゲーム要素などを追加して新たに作ったものになっているという。
筆者が特におすすめしたいのが、360度の宇宙遊泳体験をおこなえる機体だ。足元や腰を機体に固定した上でVRゴーグルを着用し、宇宙ステーション内を移動する様子を体験できるのだが、実際に機体がグルングルンと回ることで宇宙空間のように上下左右の感覚のない状態をダイナミックに楽しめる。自宅でここまで大がかりな体験をするのはまず難しいので、VRに慣れている方にもおすすめだ。
学生発のVRゲームにも注目 鳥や怪獣になって大暴れできる
東京工科大学や日本電子専門学校など、学生のブースは発想が自由だった。東京工科大学のVRゲーム『ハヤツバサ』は、「現実でうちわを持って手を羽ばたかせると、ゲーム内で空を飛べる」という一風変わった内容。さらにゲーム内のデータと足元の扇風機が連動し、プレイヤーが飛行すると風が吹いてくるという設計で、手を羽ばたかせると本当に飛んでいるような気分が味わえた。前傾姿勢になって急降下したり、体を傾けると旋回できたりと、鳥のように飛べるUX設計は必見だ。
日本電子専門学校の『竜で散歩』は、「尻尾型コントローラー」という珍しいデバイスを展示。ゲームの内容は「怪獣になって暴れ、街を破壊する」というシンプルなもの。しかし、操作面では腰のベルトからぶら下がった尻尾を“揺らす”ことで歩き、手を目の前に掲げると火を吹くという操作方法を採用しているところはユニーク。動きはなかなかゆっくりだが、街を破壊しまくるとスカッとする。ゲーム終了後のリザルトとして破壊具合によって街の被害総額が表示されるというのも、遊び心を感じる部分だ。
どちらのゲームも、現実の肉体をバーチャル世界に没入させることで生まれる体験を重視しており、その発想が自由そのもので素晴らしかった。ハイクオリティなゲームに慣れている方には物足りなさを感じるかもしれないが、デバイスなどUIの工夫によって没入感を高めて「体験」を得られるという、VRコンテンツの魅力を再確認することができた。
『VRChat』関連の体験ブースも盛況
株式会社Vのブースでは、『TGS』現地から『VRChat』に入り、「VR内のユーザーと実際に会話できる場」を提供していた。「そもそも『VRChat』って何をするところなの?」という方に向けて、アバターを着替えたり、ユーザーとのおしゃべりを気軽に体験できる。内部で待ち構えているユーザーは「キャストイベント」と呼ばれるトークイベントに日頃から参加している話し上手な人たちなので、VRに慣れていなくても安心だ。『VRChat』内に自ら入って色々と質問もできるので、『VRChat』に興味はあるけど二の足を踏んでいる、という方におすすめしたい。
IntoFree、Udexrealのブースではそれぞれ「トラッカー3台によるフルトラッキング体験」と「専用グローブ『UDCAP』によるハンドトラッキング体験」をおこなえる。
さきほどの『VRChat』体験は初心者向けのものですが、この二社はある程度『VRChat』で遊んでいて、もう少し踏み込んでみたいという方におすすめのブースだ。
「Meta Quest」シリーズや『PICO 4』等のVRゴーグルは、ゴーグルと2台のコントローラーの計3点をもとに、システム側が全身の動きを推定してアバターを動かしている。フルトラッキングやハンドトラッキングのデバイスは、その動きの基準点を追加するようなものだ。
こうした専用デバイスは決して安くはない。なので、こうした体験ブースはVRに触れたことのないユーザーはもちろん、『VRChat』ユーザーにとっても貴重な場だろう。
Udexrealのブースでは『VRChat』でお馴染みの人気アバターたちが並んだ掲示物が目を引いた。担当者に「どうしてこれが飾ってあるのか」と尋ねたところ、『UDCAP』がそもそも『VRChat』で遊ぶ人のために作られたデバイスだから、との答えが返ってきた。
今年の『TGS』では『VRChat』そのもののブース出展はなかった。しかし、こうして様々なブースを巡っていると『VRChat』ユーザーをターゲットにコンテンツやデバイスの開発を行っている会社が多く出展しているのだな、と気付かされる。あらためて『VRChat』がXRの盛りあがりに欠かせない存在感を放っているのだなと感じた次第だ。