一刻も早くプレイしたい『GTA6』 トレーラー映像から読み解く“名作映画へのリスペクト”

 も〜、今から来年5月が楽しみで仕方ない。ご存知、『グランド・セフト・オート』の最新作、『グランド・セフト・オートⅥ』が発売になるのだ。もう、自分は毎日トレイラーを見ている。早く遊びたくて気が狂いそう……。

Grand Theft Auto VI Trailer 2

 おさらいしておくと、現在の『グランド・セフト・オート(以下GTA)』シリーズは大都市での犯罪をテーマとしたオープンワールドゲームである。初期タイトルは見下ろし視点のゲームだったが、北米で2001年に発売された『グランド・セフト・オートⅢ』では完全3D化されて大ヒット。リアルな市街地でギャングの手下として犯罪を犯しまくるというゲーム内容は、色々な意味で話題を呼んだ。

 PS2時代には前述の『Ⅲ』に加えて『バイスシティ』『サンアンドレアス』を発売。『Ⅲ』ではニューヨークをモデルにしたリバティーシティ、『バイスシティ』ではマイアミをモデルにしたバイスシティが舞台となっている。そして『サンアンドレアス』では舞台がサンアンドレアス州全体となり、プレイヤーはロサンゼルスっぽいロスサントス、サンフランシスコっぽいサンフィエロ、ラスベガスっぽいラスベンチュラスの3都市で暴れ回ることになった。

 いくつか携帯機向け作品やスピンオフを発売しつつ、PS3以降は次世代機へと移った『GTA』シリーズ。2008年には『グランド・セフト・オートⅣ』が発売されたが、これは今までのシリーズとは世界観が異なる異色作だった。そして満を持して2013年に発売された現状での最新作が、『グランド・セフト・オートⅤ』である。3人の主人公をスイッチしながら強盗をリアルに追体験できた『Ⅴ』は傑作と名高く、発売から10年以上経過した現在でも、オンラインモードは広くプレイされている。

 これら『GTA』シリーズには、映画に元ネタがある作品も多い。一番わかりやすいのは『バイスシティ』だろう。どう見ても1980年代のマイアミにしか見えないバイスシティに、ムショ帰りのギャングが流れてくる。彼はトラブルを抱えつつも裏社会でのし上がっていくが、それと同時に狙われる身にもなっていく……。この筋立ては、ほぼそのまんま『スカーフェイス』である。違うのは出自がキューバからの移民か、それともリバティーシティから流れてきたギャングかというくらい。『バイスシティ』で服を着替えられるようになったのも、主人公トミー・ベルセッティの服装をトニー・モンタナに近づけたかったからではなかろうか。

 『サンアンドレアス』では、舞台のモデルとなった1992年のロサンゼルスに合わせ、同時代に作られたブラックムービーや犯罪映画の影響が濃い。『ボーイズ'ン・ザ・フッド』や『カラーズ 天使の消えた街』、『ポケットいっぱいの涙』などで描かれた80年代末〜90年代初頭のロサンゼルスでの黒人の若者のライフスタイルや葛藤、そしてギャング同士の抗争は、『サンアンドレアス』にもほぼそのまま持ち込まれている。

 映画からの引用がゲームプレイそのものに影響したのが『Ⅴ』である。「チームを組み、計画を立てた上での強盗」が主題となった『Ⅴ』が引用したのが、傑作として名高い『ヒート』だ。『ヒート』では銀行強盗での一攫千金を狙う男たちの姿が計画段階から実行に至るまでねっちりと描かれたが、『Ⅴ』ではこの描写をそのままゲームに持ち込んだ。強盗のためのチームを集め、計画を立て、実行する。3人のプレイアブルキャラクターを切り替えてゲームを進めることで、『ヒート』さながらの強盗PDCAサイクルが回るのである。『ヒート』を見ていて「おもしれ〜!」「カッケ〜!」となった部分を実際に自分でもプレイできるという、マイケル・マンのファンとしてはたまらない体験だった。

 で、『Ⅵ』だ。トレイラーを見る限りでは、本作の主人公は2人。ジェイソン・デュバルとルシア・カミノスのカップルである。ジェイソンとルシアは恋人同士だが、何らかの理由でルシアが刑務所に放り込まれており、ジェイソンはケチな取り立て屋稼業で細々と暮らしている。が、ルシアが出所してきたことで状況は一変。ケチな稼業にはオサラバして、常夏のバイスシティを股にかけて2人でガンガンバチバチ稼ごうぜ、というストーリーなようだ。

 この主人公像はシリーズ初である。まず、女性主人公というのが新しい。これまでGTAシリーズでは恋人を作ることはできたし、ストリップを見にいくこともできた。『Ⅲ』のように、女性キャラクターが物語上のキーパーソンとなったこともある。が、実質的な主人公として登場するのは初だ。おそらくだが、『Ⅴ』と同様にジェイソンとルシアをスイッチしてプレイすることができ、それぞれに得意なことが異なるのではないだろうか。

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