『トモダチ100人よべるかな?』は単なる芸能人の交友録ではない バラエティの枠を超えた心理実験が面白い

 そしてなんといってもバナナマン・設楽統とバカリズムのMCコンビが最高だ。設楽の鋭いツッコミとバカリズムの辛辣なコメントが、緊張感の高い状況にユーモアを注入していく。2人が支配者となってこの参加者全てを操り弄くり回す様は別番組だが『そんなバカなマン』を思い出す視聴者もいるだろう。青木さやかを「ダマされる主婦の顔」と一刀両断する設楽の切れ味や、状況に応じて説明を変えるバカリズムの柔軟さが番組に緩急をもたらしていく。MCルームの「お茶の間」を思わせる雑多なセットや、食べながら進行するカジュアルさも、視聴者に親近感を与える。この2人の「鋭さ」と「ゆるさ」のバランスが、過酷なゲームを視聴者にとって心地よいエンタメに仕上げている。

 だが、この番組は単なる芸能人の交友録ではない。情報の不足が引き起こす疑心暗鬼や、デマの広がり、誘惑に揺れる姿は完全に心理実験。例えば、「ねずみカード」を渡されたピスタチオ・伊地知大樹が河合チームのトモダチを大量に連れて帰る裏切りや、森田が「収録は50時間後まで続く」という嘘の情報を流す策略は、情報の扱い方次第で人間の行動が一変する恐ろしさをむごたらしく露呈する。その様子を目撃するたびに視聴者は友情とお金の間で揺れる芸能人たちの選択を通じて「自分ならどうするか」「誰を呼べるか」を考えさせられるのだ。この強い共感性こそ『トモダチ100人よべるかな?』の魅力だ。

 番組がクライマックスにむかうにつれ、プレイヤーとトモダチ、それぞれの人間味が一層際立っていく。特に最後に残るプレイヤー2名の対比は友情や人望の価値を多角的に問いかけ、視聴者に深い余韻を残す。

 番組の裏側も興味深い。入室前の「インターフォンのドア」や荷物預かりの仕組み、Mattのトモダチたちの完璧なメイクの背景にはどんな準備があったのか。撮影秘話として語られるエピソードも視聴者の好奇心をくすぐる。シーズン2は「なんの番組なのかバレたら意味がない」という企画の性質上難しいかもしれないが、異なるプレイヤーや新たなルールでの展開次第では無限の可能性を秘めたフォーマットになるだろう。

 『トモダチ100人よべるかな?』は、豪華キャスト、過酷なルール、設楽とバカリズムのドSな進行が織りなす、笑いと恐怖を同時に味わえるサバイバルゲームだ。友情の美しさと脆さ、信頼と裏切りが激しく交錯する展開は、視聴者に「人望とは何か」を問いかけ、深い共感を呼ぶ。この壮絶な「芸能界史上最大の心理実験」を、ぜひ体感してほしい。

■配信情報
『賞金1億円の人脈&人望バトル トモダチ 100 人よべるかな?』
8月1日(金)からPrime Videoで独占配信

関連記事