ライフスタイルを彩るShokzのイヤーカフ型イヤホン『OPENDOTS ONE』は Dolby Audioでの映画鑑賞など幅広く活躍する充実の機能が魅力

 最近のイヤーカフ型イヤホンとしては、Shokzの『OPENDOTS ONE』も忘れるわけにはいかない。今年の3月〜5月にGREEN FUNDINGでクラウドファンディングを実施し、イヤホン製品史上1位となる3.1億円を超える支援を集めたことも話題になった。

 そして6月に待望の一般販売が開始されると、装着性のよさと音質が評判を呼び、Shokzサイトのカスタマーレビューには多くの喜びの声が寄せられている。今回はそんな『OPENDOTS ONE』のパフォーマンスについて、改めて検証してみたい。

 『OPENDOTS ONE』の本体デザインは、ドライバー部とアンプ・バッテリー部のふたつを、独自の「JointArc™」構造と呼ばれるワイヤー部でつないだもの。ドライバー部が球形、アンプ・バッテリー部は円柱形で、丸みを帯びた可愛らしいフォルムが特徴だ。

『OPENDOTS ONE』のグレー仕上げ。写真上側の球体部分にドライバーを、下の円柱形のパーツにアンプやバッテリーを内蔵している。ワイヤー部を含めて肌に触れる箇所は柔らかいシリコンで覆われている。

本体構造にも配慮し、イヤーカフ型で大切な心地いい装着感と安定性を獲得

 さらにイヤーカフ型の場合、耳への感触と耳たぶを挟む強さが重要になるが、『OPENDOTS ONE』ではそれらの部分に柔らかいシリコン素材を採用しており、実際に着けてみると安定感もあってひじょうに快適だ。ワイヤー部は曲げたりねじったりしても元の形状に戻るので、気軽に取り扱える。

 もうひとつ、装着時にイヤホンが自動で左右を検出してくれる機能も備えている。ケースから取り出してそのまま装着しても正しいステレオ音声が再生されるわけで、『OPENDOTS ONE』を毎日使うことを考えると、これはとっても嬉しいメリットだ。イヤホンは片方約6.5gで、長時間着けていてもまったく気にならない。

 ちなみにShokz製イヤホンには骨伝導方式を採用した製品も多く、こちらも人気が高いが、『OPENDOTS ONE』は耳を挟む形で装着することもあって、一般的な空気伝導ドライバーが採用されている。

 『OPENDOTS ONE』では、高感度の11.8mm丸型ドライバーをふたつ向かい合わせに配置することで16mm大型ドライバーと同等の音響性能を実現、そのサウンドをスリット部から放射するデュアルドライバーシステムも搭載した。独自の「Bassphere™」や「OpenBass™2.0」テクノロジーと組み合わせることで、コンパクトながら力強い低音を実現するとしている。

『OPENDOTS ONE』では、球体部分にふたつのドライバーを向かい合わせに配置するデュアルドライバーシステムが採用されている。

小さなボディにふたつのドライバーを内蔵し、力強い低音を実現した

 オープンイヤー型イヤホンの場合、音漏れが少ないことも大切だ。ここについては、Shokz独自の「DirectPitch™」テクノロジーで対策している。ドライバー部正面のスリットから耳に向けて音を放射し、同時に後ろ側のスリットからは逆位相の音波を再生して音漏れを打ち消す技術で、これによって耳に向かう音圧を大きくし、それ以外の方向に向かう音を抑えている。

 さらにShokz製品として初めてDolby Audioにも対応したこともポイントだろう。Dolby Audioは、入力された信号を臨場感豊かに再現する機能で、ライブ音源や動画コンテンツを楽しむ場合に有効だ。この機能はShokzアプリからオン/オフできる(初期状態はオフ)。

 通話機能では、高性能マイクとAIアルゴリズムを使って話している人以外の声をキャンセル、聞きやすい会話を実現する。イヤホンはIP54の防塵・防水性能も備えているので、屋外やワークアウト時でも安心だ。ケースはUSB-Cとワイヤレスでの充電が可能で、フル充電の場合、イヤホンだけで約10時間、ケースとの組み合わせで最長40時間の再生ができる。

左の写真でドライバー部の真ん中に見えるのが音を放射するスリット。さらにドライバー部の付け根にもふたつのスリットがあるが(右写真)、こちらは逆位相の音を出す部分になる。

開放感のあるサウンドで、ボーカル曲との相性が素晴らしい

 『OPENDOTS ONE』の音質はどうか? 改めて試聴機をお借りしてストリーミング音源を中心に確認した。なお『OPENDOTS ONE』はBluetoothコーデックのSBCとAACに対応しているが、今回はiPhone16とペアリングしたのでAAC接続で聴いていることになる。

 Shokzアプリから、Dolby Audioはオフ、4種類のイコライザーモード(スタンダード、ボーカル、低音強め、プライベート)は「スタンダード」を選んで、Apple Musicから緑黄色社会「つづく」、米津玄師「Plazma」を再生してみた。

 長屋晴子のボーカルが伸びやかで、開放感のある演奏と相まって心地いい音楽体験ができる。米津のややハスキーに感じる声も僕のイメージ通りに聴こえてきたし、電子楽器独特の音色やスピードも不思議と自然な印象になっている。

 ここまではリビングで試聴しているので、クーラーの動作音など生活ノイズも多くあるが、音を出してみるとそれらの暗騒音はほぼ気にならない(テレビを付けたら別ですが)。聴きたい音を鼓膜に届ける「DirectPitch™」テクノロジーの効果だろう。

Shokzアプリからは、Dolby Audioのオン/オフやイコライザーモードの切り換えが可能。その他にもタッチ操作のカスタマイズやイヤホンを探すといった機能も準備されている。

イコライザーモードで音の印象が変化する。音楽ジャンルに応じて積極的に使いこなそう

 次に70年代ロックから、QUEEN 「We Will Rock You」やEAGLES「Take It Easy」を選ぶと、こちらもすっきりとした、軽やかなサウンドが再生される。個人的にはもう少し低域の迫力が欲しかったので、イコライザーモードを「低音強め」に切り替えると、確かにドラムやベースの低音感が豊かになって、ロックっぽいサウンドで楽しめた。

 一方でクラシック「チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番」での音の立ち上がりのよさ、余韻感は「スタンダード」モードの方が印象がいい。『OPENDOTS ONE』の場合、イコライザーモードによって帯域バランスは変化するが、音の基本的な方向性は同じなので、ジャンルに応じて使い分けるといいだろう。

充電ケースはUSB-C(本体の下側に搭載)とワイヤレスのふたつの方式に対応する。ペアリングを行う際はケース裏側のボタンを長押しする。

スマホの画面だけじゃもったいない。Dolby Audioは動画視聴の楽しさを拡大する

 Pink Floyd「Time」「Money」でDolby Audioの効果を聴き比べた(イコライザーモードは「スタンダード」)。Dolby Audioオフではイントロのノイズや時計の音が頭の中で響いている印象だったが、オンにすると左右の空間が広がって、低音の量感も出てきた。もともとの演出意図もあるとは思うが、こういった曲はDolby Audioで再生する価値はある。ただし、オフの方がボーカルの厚みはあったので、ここも好みに応じて使い分けていただきたい。

 動画配信のAmazon Prime Videoから『ゴジラ-1.0』の銀座上陸シーンを見た。こういった派手な音作りではDolby Audioオン、イコライザーモード「低音強め」がいい(個人的には、もっと低音の迫力があってもいい)。また『ボヘミアン・ラプソディ』のライブシーンを、Dolby Audio/オン、イコライザーモード「ボーカル」でチェックしたが、歌声も力強く、スタジアムの歓声も自然に広がって、ライブらしい雰囲気を演出してくれる。

 これはiPhone16の画面サイズでは物足りない、せめてiPad Proの13インチ以上と組み合わせたいと思わせてくれる、そんなサウンドが楽しめた。

●参考情報

商品名:ワイヤレスイヤホン
型名:『OPENDOTS ONE』
価格:2万7880円(税込)
https://jp.shokz.com

Shokzがオープンイヤー型イヤホン『OpenFit 2+』を発表 人気モデルが、Dolby Audioやワイヤレス充電に対応してさらに進化した

Shokzは8月28日、オープンイヤー型イヤホン「OpenFit 2+」を発売する。「OpenFit 2」をベースにDolby …

関連記事