イラストレーター・tamimoonに聞く、“人生観が変わった瞬間” 人や創作との向き合い方に大きな影響を与えた海外遠征を振り返る
ドワンゴとSOZOがクリエイターをバックアップする取り組みについて思うこと
――今回はドワンゴさんとSOZOさんが行っている、クリエイターさんをバックアップして海外進出を手伝っていくという『ACC』の一貫としての『CSF』への参加でした。『ACC』の取り組みについて感じていることがあれば教えてください。
tamimoon:クリエイター側としては、感謝の気持ちしかないです。自分ひとりでは海外にお仕事で行く機会もなかなか得られないですし、バックアップしていただけることで安心して海外で自分を知ってもらう機会を作ることができたので、とても良い取り組みだと思います。
――ドワンゴさんが関わっていることでより安心して仕事を受けられるというのもありそうです。やり取りするのもドワンゴさんなので、負担が少ないとも思います。
tamimoon:その通りですね。飛行機やホテルの手配もそうですし、本当に至れり尽くせりでした。こちらはイベントに向けて自分ができることをするだけで、事務的なことは丸投げ状態でしたし(笑)。自分の作品やグッズのことだけを考えて臨むことができるのはすごく頼もしい状態でした。クリエイターとしては安心感しかなかったですね。
――昨年『AFA』に初めて参加して、そこから『CSF』のキービジュアルに抜擢というのは、とても綺麗なステップアップでしたよね。『ACC』のモデルケースとしても大成功だったと思います。
tamimoon:私自身、自分のことはまだまだ若手だと思っていますし、今回運良くキービジュアルのアーティストとして選んでいただいて、『ACC』のバックアップを得られた結果、現地まで連れて行っていただけたというのが大きいと思っているので。なので、他の若手クリエイターの方々とも引き続き切磋琢磨しながら、みんなで頑張っていこうという気持ちが大きいですね。
――今回の一連の取り組みを通してご自身の活動が広がっていく中で、「これは一貫してやっていてよかった」と思うことはありますか?
tamimoon:誰もやっていないことをよく考えることですね。もうみんながやっていることって、埋もれてしまうリスクもあるというか。これは私個人の考え方ですが、他の人と同じことをやっていても仕方ないと思うんです。
なので、グッズひとつとっても他であまり見ないようなものを作ってみたり、自分がほしいもの、本当に自信を持って出せるものを考えていったりするのが良いのかなと。自分がファンだったら、その人のグッズでしか買えない特別なものが欲しいなと思いますし。
そういう意味で、オリジナリティを追求していくこと、これは取り組んできて良かったことの一つだと思いますし、これからも大事にしていくと思います。
――それこそ、モデル事務所「tamimoon」としての展開もそれに含まれますよね。
tamimoon:そうですね。世の中には沢山の絵描きさんがいるので、絵だけで個性を出し続けるのって、かなり難しいことだと思うんですよ。なので、絵のオリジナリティはもちろんのこと、細かい部分でも「みんながやっていないこと」に取り組んでいくことが求められている時代なんだと思います。
自分の中でも、そこが信念になっているかなと思いますね。特化していることがないと見てもらえないくらい、絵が身近になっている時代ですし。けれど、そうやってオリジナリティを突き詰めることは楽しいことですし、自分の存在意義も保てて、健康的だなと思います。
tamimoonの目線から見た、“ポップカルチャー”と“オタク文化”の現在地
――tamimoonさんは以前別のインタビューで「ファッションが好きな子」や「今どきの子」たちに向けてボカロの魅力を発信したいと語られていました。そこから数年経って、今のオタクカルチャーやシーンをどのように見ていますか?(参考:KAI-YOU「『ボカロの仕事は絶対やりたかった』tamimoonが描くファッショナブルな初音ミクたち」)
tamimoon:そのインタビューを受けた当時とも、また状況が大きく変わっているような気がします。なんというか、オタクカルチャーがマイナーなものではなくなった気がするんですよね。オタクカルチャーって、マイノリティーなものだったと思うんですよ。でも、今はアニメってみんなが知っているし、みんな好きだと思うんです。ボカロもそうで、私がボカロを好きになったタイミングでは想像していなかったくらいみんながボカロを聴いていると思うし、身近にある存在になったなと。
――「サブカル」みたいに言われていたところから、「ポップカルチャー」というようになったことも、ひとつの変化ですよね。もう「サブカルチャー」ではなく「メインストリーム」になったというか。
tamimoon:本当にそうですよね。私がアニメやボカロ文化に触れ始めた当時って、みんなに「私はこれが好きだ」って大声で言えないものみたいなイメージがあったので、単純に良い時代になったなと思います。
2020年頃に『鬼滅の刃』が日本で知らない人はいないくらい人気になったときもすごく感じたんですけど、いろんな漫画がアニメになって、人気アーティストさんが主題歌を担当して、大きなブームが起きるみたいなことが、この数年の間にもたくさんあって、より身近になったと感じていて。
アニメが好き、漫画が好きと自信満々に言える世の中になっている気がしますよね。それこそ私が好きなファッションの世界でも、いろんなブランドとのコラボが沢山行われていたりして。なので、以前のインタビューで話していた、「ファッションが好きな子に向けての発信」という意味では、目指していた世界が近付いたなと思います。
『AFA』をきっかけに変わった人生観は、さらなるモチベーションの原動力へ
――よりクリエイターの活躍の幅が広がって、今後も楽しみですよね。最後に、今回のイベント経験を踏まえて次に挑戦してみたいこと、また次回の『AFA』に向けた展望などを聞かせてください。
tamimoon:少し話がそれるかもしれませんが、私にとって、前回の『AFA』は自分の考え方が大きく変わる、それこそ人生観が変わるぐらい大きな経験だったんです。じつはその時期、創作のことも含めいろいろと悩んでいて、正直メンタルもあまり良くない状態でした。けれど、『AFA』で一緒に出展したクリエイターさんたち、ドワンゴやR11R、SOZOの皆さんと協力しながらイベントに臨めたおかげで、すごく元気になれたんです。
先ほどもお話した通り、私はそれまでどちらかというと「自分のために絵を描く」という考え方をしていましたし、「他のクリエイターと一緒になにかを成し遂げる」という経験も少なくて。でも、『AFA』の現地に足を運んだら、お力添えいただいた皆さんや一緒に参加した皆さんに「感謝しかないっ!」という気持ちになって。
そこで大きく自分の考え方も変わりましたし、ドワンゴさんやR11Rさん、SOZOさんなど、今回関わってくださったみなさんのおかげで、自分がやりたかったことにチャレンジできる状況になったと思っていて。今は自分がやりたかったことを叶えてまわっているフェーズなんです。
今回でいうと、ライブペイントは普段黙々と家の中で絵を描いている身としてはすごく刺激的で、今後も続けていきたいですね。自分が好きな音楽とも絡めて、なにかできればと思っています。
あとは今回、トークショーのときに自分のモデル事務所のことを紹介していただいたんですけど、それもすごく良かったと思うんです。これからもチャンスを活かしつつ、事務所のことをもっと知ってもらうための取り組みにも繋げていけたらと思っています。皆さんに頑張っていただいているのと同じように、クリエイターも全力を尽くしたい人が多いと思うので、一緒に協力して頑張っていきたいです!
■ライブドローイングの様子はこちら!
日本のクリエイターが世界で、世界のクリエイターが日本で、相互に活躍できる機会の創出を目的としたクリエイター連携プログラム。
今後も、世界中の影響力のあるさまざまなイベントを通じて、クリエイターがより多くのファン、共に制作を行う仲間、クライアントとボーダレスに出会える場を広げ、コミュニティの構築やリソースの共有、ネットワーキングを促進していきます。
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