8月28日“ハニワの日”に振り返る、HoneyWorksの歴史と活躍 UNISとタッグを組んだ背景とは

 夏休みも終盤に差し掛かる8月28日。今年も“ハニワの日”がやってきた!

 ハニワの日とは、音楽やイラストなどを手掛けるクリエイターユニット・HoneyWorksが、“8・2・8”の語呂合わせから一種の年中行事として考えだしたもの。例年、ライブ演奏をはじめ、トークやゲームを24時間楽しむ生放送などを実施している。

 そんなHoneyWorks関連での最新作が、韓国を拠点に活動する8人組ガールズユニット・UNISの最新シングル曲だ。リリース予定日こそ9月12日なものの、1年に一度しかないハニワの日。せっかくのタイミングなので、改めてHoneyWorksの活動を振り返りながら、同時にUNISの既発曲にも触れつつ、両者がタッグを組むこととなった理由について想いを巡らせてみたい。

HoneyWorks、新たな価値観をも提示する作家性 『hololive』コラボプロジェクトも

 まずは、HoneyWorksと彼らが動かしている主なプロジェクトについて紹介していこう。ユニットの中心となるのは、Gom(コンポーザー)、shito(コンポーザー)、ヤマコ(イラストレーター&ムービー)の合計3名。ほか、その時々でサポートメンバーを加えながら、楽曲やMVを展開している。

 作風としては、“キュンキュン系”や“青春系”と呼ばれる、10代のピュアな部分を刺激するポジティブロックを中心にしながらも、後述する通り、それ以外のジャンルアレンジもお手の物。彼らの影響力については、YouTubeやニコニコ動画を中心に、関連動画の総再生回数が25億回を突破していると伝えれば、その凄まじさが伝わるだろうか。ちなみに、筆者が約7年半前に今回と同様のコラムを執筆した際、この数字は2億回。確認できる範囲だと約6年前は7億回だった。つまり直近6年間だけで、18億再生も聴かれた新たなヒットチューンが存在するのだ。

 恐縮ながら、あまりの手広さに網羅こそできないまでも、代表的な作品をいくつかピックアップしてみた。第一に、“HoneyWorksといえば”なのが『告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~』。彼らが手掛ける楽曲を軸に、小説、コミックス、TVアニメ、映画作品を生み出してきたメディアミックスプロジェクトで、なかでも小説作品は累計300万部を突破するベストセラーに。

 同作から派生して、登場キャラクターのアイドル活動に焦点を当てた『告白実行委員会〜アイドルシリーズ』や、TVアニメ『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』が誕生したり、そのなかでmona(CV:夏川椎菜)が爆発的な人気を博していたり。高校生の胸を刺激する楽曲は言わずもがな、アイドルソングを作ってもヒットを打ってしまうのである。

 そして、前述した25億回という驚異的な数字。この記録を叩き出した要因のひとつが、2022年夏〜秋にリリースした大ヒットソング「可愛くてごめん」にある。TikTokユーザであれば……いや、そうでなくとも、この曲ばかりは日常生活で耳に飛び込んできているはずだろう。先駆けてリリースされた「可愛くてごめん (feat. かぴ)」、そして前述した『ヒロインたるもの!』キャラクターソングとして後に続いた「可愛くてごめん feat. ちゅーたん(CV:早見沙織)」は、その年にTikTokから大きな広がりを見せて、若年層ユーザが音楽にあわせてメイク動画などを続々投稿。

 さらにメタ的な視点でいえば、同時期にはFRUITS ZIPPERの2ndシングル『わたしの一番かわいいところ』がリリースされ、2024年8月には彼女らの後輩にあたるCUTIE STREETがデビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」をお披露目するなど、「可愛くてごめん」もまた現代の“かわいいブーム”を牽引する、同時代の重要なピースとして働いたことにも言及したい。自己肯定感がカンストして、もはや謝るしかない。当時にして新たな価値観を演出したのは、ほかでもないHoneyWorksだったのだ。

 続いては、協業アーティストについて。ここでは、CHiCO with HoneyWorks、ハコニワリリィの2組を例に見ていこう。

 CHiCO with HoneyWorksは、現在ではソロシンガーとしても活躍するボーカリスト・CHiCOを迎えて、2014年8月に発足。CHiCOのパワフルかつ伸びのある歌声を持ち味に、過去には『アオハライド』オープニングテーマ「世界は恋に落ちている」、『銀魂』エンディングテーマ「ヒカリ証明論」など、数多くのTVアニメ主題歌に起用されたほか、東京・日本武道館や日比谷公園大音楽堂でのワンマンライブ、さらには『SUMMER SONIC 2016』などのアウェイ戦も経験(約10年前の話題にて恐縮ながら、筆者がこのステージを目撃して、本当に感動したので)。2023年4月より活動休止期間に入ったものの、ちょうど今月より再始動を発表したばかり。いままさに、ファンの期待感が高まっているところ。

 ハコニワリリィの方では、“with HoneyWorks”こそ冠していないものの、全面的なサウンドプロデュースを担当。もともとは“Hanon×Kotoha”名義で活動していた歌い手2名をバックアップし、彼女たちが2021年9月にシングル『コガネゾラ』でメジャーデビュー。“リリィ”と名の付くとおり、白百合のように儚くも力強いクリアボイスで、さまざまな楽曲を彩っている。特に、2022年9月に発表した1stアルバム『Lily's Plage』は本物の名盤だ。

 ちなみに、後にMARUMOCHI from HoneyWorksとなったのだが、ハコニワリリィの楽曲には当初、HoneyWorksメンバーがMARUMOCHI、あるいはMARUMOCHI BOYSの変名を用いてアレンジャーなどに加わっていた。『Lily's Plage』では、青春エモロック以外の彼らの手腕が発揮されており、特に“キャラメルマシュマロいちご飴”で有名な音莉飴が作詞作曲、MARUMOCHIが編曲を手掛けたエレクトロポップ「きらきらスイーツパーチー」は、ぜひ一度聴いてもらいたい。

 最後に、2023年夏始動のコラボプロジェクト『hololive × HoneyWorks』も忘れないでおきたい。翌2024年2月に、『ほろはにヶ丘高校 -Originals-』『ほろはにヶ丘高校 -Covers-』のアルバム2作品を制作し、兎田ぺこら、宝鐘マリン、星街すいせい、大空スバル、大神ミオら錚々たる面々が参加をしている。“いま最も勢いがある”と書いても申し分ないVTuber業界でも存在感を放つ彼ら。HoneyWorks is everywhereである。

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