「MTG×FF」スターターキットはマジック入門に最適! 10年ぶりに遊ぶライターと編集者で対戦してみた

 TCG(トレーディングカードゲーム)『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、マジック)と、RPG作品「ファイナルファンタジー」シリーズとのコラボセット『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』。

 6月13日の発売後、本セットは破竹の勢いで売上を伸ばしており、本記事執筆時点では店頭にはブースターパックしか並んでいないこともめずらしくない。

 そして、特に入荷が心待ちにされているものが、スターターキット。60枚入りのデッキが2つ用意されているのですぐに対戦ができ、かつ『ファイナルファンタジーVII』の看板キャラクター、クラウド・ストライフとセフィロスがパッケージに据えられた、シリーズファンにはたまらないセットだ。

 筆者もこのセットを触りたいと思っていたところ、リアルサウンドテック編集部にスターターキットが送られてきたと伝えられた。

 そして、担当編集として日ごろお世話になっている三沢氏も元はMTGプレイヤーだ。ならば、ライターと編集者の2人で遊んで、その様子を記事にしてみるのも一興だろう――そんな思惑から、三沢氏に企画を提案してみたところ、見事快諾いただいた。

 ということで、本記事では『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』スターターキットをプレイしてみた様子をお届けしていく。入荷前の購入検討に役立てていただければ幸いだ。

クラウドとセフィロス、どちらを選ぶ?

 まずはスターターキットの概要について。本キットは、60枚入りの構築済みデッキが2セット用意されている。対応フォーマットは、最も一般的なスタンダードだ。

 詳細なデッキリストは公式サイトに掲載されているので、ここではそれぞれのデッキの方向性を紹介していく。

 主人公・クラウドのデッキは、赤白の装備品アグロ。FFコラボセットの新規ギミック「ジョブ選択」も活用する、前のめりな速攻デッキだ。切り札となる《星の勇者、クラウド》は、装備品を持つと自ターンのみ大幅強化される能力を持ち、戦闘では無類の強さを誇る。

 対するセフィロスのデッキは青黒。クリーチャー破壊やデッキトップ確認、墓地活用などを挟みつつ、大型クリーチャーで制圧する……というコンセプトが感じられる。切り札となる《星の継承者、セフィロス》は、場に出た瞬間に全ての相手クリーチャーへマイナス修正をかけ、かつクリーチャー死亡時に自身が強化されるのが特徴だ。

 ざっくりとデッキを眺める限りでは、クラウドデッキは初心者向け、セフィロスデッキは上級者向けのように思える。実際に触ってみた感触については後ほど。

 ちなみに、キット内にはデッキのほかにも、クラウドとセフィロスが描かれた簡易的なデッキケースや、ルール説明カードが同封されている。

 ターン進行や攻撃・ブロックの概念をわかりやすく説明しているルール説明カードは、これからマジックを始める人にはありがたいものだろう。

数と装備品で押し切る! クラウドデッキでプレイ

 では、実際にプレイしていこう。なお、筆者のマジック歴は10年以上のブランクがあるのだが、対戦相手の三沢氏も同様であるという。ほぼ初心者同然となった二人だが、スターターデッキであればほどよいバランスで遊べるのはありがたい。

 まずは、筆者がクラウドデッキ、三沢氏がセフィロスデッキでプレイ。開始数ターンで、予想通り回しやすいことに気づく。全体的にクリーチャーや装備品が軽量なおかげで、序盤から強く攻めていける。

 そして切り札であるクラウドを召喚! ……した直後、クリーチャー除去呪文《セフィロスの介入》を受けて、あえなく墓地送りに。盤面は苦しいが、原作を踏まえると実にオイシイ場面だ。

 その後は、大型クリーチャーに防戦を強いられたものの、《クリスタルに導かれた者たち》の起動に成功し、4人の英雄が戦場に集結。さらに、「Ⅸ」のベアトリクスに竜騎士の槍が渡ったことで、一気に盤面が強化される。

 最後は、総力戦の末に、こちらが数にものを言わせた攻勢でギリギリの勝利! うまい具合に接戦へともつれ込む、記事的には非常に旨味があった初戦だった。

呪文とテクニカルな呪文と大型クリーチャーがカギ?セフィロスデッキでプレイ

 続いてデッキを交換し、筆者がセフィロスデッキ、三沢氏がクラウドデッキでプレイ。

 わかりやすい攻撃クリーチャーや除去呪文こそあれど、やはりクラウドデッキと比較すると、回し方はちょっとだけ頭を使う。場のカードを一枚コピーする呪文など、テクニカルだが強力なカードも多く、事前にデッキリストを読み込んでおくと吉だろう。

 序盤までは五分五分の戦いで、こちらはシーモアを呼び出すことはできたが、なんと今度は相手側にクラウドが参戦。しかも《「侍」の刀》を装備したことで、トランプル、速攻、二段攻撃、破壊不能を獲得した。能力の詳細は各自でお調べいただきたいが、平たく言えば“クラウド無双”である。

 残念ながら、この主人公に対処できるカードを引くことはできず、あえなく敗北した。とはいえ、「めっちゃ強いクラウドにボコボコにされた」と思えば、これはこれで気持ちの良い負け方だ。

1セットあれば、マジック入門の扉が開く

 圧倒的な実力差を見せつけられるかと思ったが、初戦の結果を見ればお分かりの通り、意外と拮抗するデッキだった。

 マジックは、キーカードだけでなく「マナ(土地)」を確保できるかどうかも勝利の要因となるため、双方が完璧にそろわない限り一方的な勝負にはなりにくい。競技シーンではその課題をクリアする構築がなされるが、このスターターキットでは絶妙なバランスが取られているように感じた。

 そして、『Magic Creator Summit 2025』での体験会でも感じたことだが、著名なキャラクターたちが予測不能に並ぶことによる華やかさ、おもしろさは、「ファイナルファンタジー」という有名なRPGシリーズだからこそ出せる特色。「場に出たクラウドがセフィロスにやられる」だけで、その場でシーンが思い浮かぶものだ。

 ちなみに、スターターキットには『マジック:ザ・ギャザリング アリーナ』用のシリアルコードも同封されており、それぞれのデッキをアンロックできる。オンラインでデッキを回す練習ができるのもうれしい。

 このキット一つあれば、マジックの入門ができる。そう断言できるくらいには、「よくできたスターターキット」だと、三沢氏ともども実感した次第だ。つくづく、各所で売り切れているのが惜しいところ。店頭に再び並ぶ日を心待ちにしたい。

 ちなみに、今回の対戦では、どちらもセフィロスを召喚することは叶わなかった。ブースターから排出されるセフィロスが派手で強そうだが、スターターキットのセフィロスが盤面を制圧する後継もぜひ拝みたいものだ。

「MTG×FF」は初心者の入門にもピッタリ! 10年ぶりに遊んで感じた“異色コラボ”の魅力

今回、筆者は発売に先駆けて、『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』をプレイしてきた。世界的RPGと、世界的…

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