にじさんじ・樋口楓が築き上げた“唯一無二”の姿 怒りをコミカルに表現する配信者として

 2018年2月8日に1期生がデビューしたことではじまったにじさんじは、2025年5月時点で日本・韓国・インドネシア・英語圏・中国などさまざまな国々を跨いで200名以上のメンバーが活動しており、日本のみならず世界の中でも随一なVTuberプロダクションとして知られている。

 YouTubeでの配信に端を発した彼らの動きは、徐々にさまざまなシーンを飛び越えた活動へと変化し、いつしか"YouTube"という枠を飛び越え、インスタグラムやTikTokなどの他のインターネットサービスをはじめとし、テレビ・雑誌・ラジオといったメディアでの活動、さらに音楽・ゲームを中心にしたエンタメ領域、さらに食品・コスメ・ファッションを中心にしたPR役を担うインフルエンサーらしい役回りを担うようになった。

 その姿や活動内容は、YouTuberという枠組みを超え、一介のタレントとして見なすことができよう。先週から数回に渡り、以前に取り上げたにじさんじのメンバーが、その後どのような存在へと変わっていったのかを書いている。今回は、アニソンシンガーなどの活動でファンベースを広げている樋口楓についてだ。

樋口楓にしかできない、唯一無二の“キレ芸”

 2021年7月27日にリアルサウンドテックでVTuberについての記事を執筆しはじめた際、最初に取り上げたのが樋口楓であった。彼女はその後、現在に至るまでの約4年ほどのあいだに多くの活動をこなし、才覚を見せつづけてきた。さまざまなにじさんじ内の企画や大会に参加し、年を追うごとに増えていったファン人口にしっかりとアプローチし、存在感を放っていった。

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 特に毎年開催されている『にじさんじ甲子園』には、プレイヤー側である監督役として出場することもあれば、大会本番でのコメンテーターや解説役として登場するなど、何かしらの形で出演してきた。

 2024年は監督や解説役として関わることはなかったが、2025年は2年ぶりに監督として復帰。今年開催された選手ドラフト会議では、初めて3Dビジュアルとしてスタジオから配信されるということで、毎年よりもひときわに緊張感高まるなかでオープニングを迎えた。

 監督陣のなかでいの一番に呼び出された樋口は、「ハカ(ニュージーランドのマオリ族の民族舞踊のこと。ニュージランド ラグビー代表による踊りで有名に)」らしき踊りをみせつけ、静かにしようと努めていた司会陣や他メンバーから漏れるような笑いを生み出していた。

にじさんじ甲子園2025 ドラフト会議【 #にじ甲2025 】

そのままチーム編成のキモとなる1年目の育成に臨むと、あまりのプレッシャーとストレスで大声・奇声・悲鳴を発しながら配信を進め、もっともゲットしたかった転生選手を新入生として迎え入れることに成功すると、「ありがとうございまぁあああああす!!」と大絶叫。なかなか落ち着くことが許されない切迫した状況で、喜びとシリアスな気持ちが混ざりあった感情を吐き散らかすようであった。

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 デビュー時にスタッフ側からのお達しで「でろーん暴言はかないリスト(NG用語・放送禁止用語の勉強ノート)」をつけるよう指示されたというエピソードを持つほどの彼女だが、近年では上記のように大声を発するタイミングと、温度感を見極めてブチ込んでいく術を会得したようで、イライラ度がマックスに達した瞬間にキレ芸をみせたり、期待感を徐々に高めていきながら成功or失敗でリアクションを思いっきりとるなど、バリエーション豊かなエネルギーの発散を配信中にみせるようになった。

 『Apex Legends』や『モンスターハンターワイルズ』などのアクションゲームをプレイしているときや、パズルゲーム『Q REMASTERED』をプレイしているときなど、さまざまなやり方で配信を盛り上げる彼女の姿を見ることができる。

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 彼女自身が親しいと感じられる人物や、イジっても大丈夫だと思った友人、またはゲーム内の敵(NPC)向けて発しているのが主ではあるが、他人への煽りや(芸としての)暴言を表に出す一面があるのは否めないだろう。

 だが、踏み越えてはいけないラインを見極めつつ、ときには音が割れるほどの大声で怒りを消化することで、ユーモアへと変えてしまえる。他のVTuberではどうしても笑いにならないシーンとなるところが、彼女の手にかかればコミカルな質感となってリスナーの目に映るのだ。

 にじさんじはおろか、ホロライブやぶいすぽっ!といった有名プロダクションに所属している面々、個人で活動するVTuberにおいても、大きな声で暴言や奇声、怒声をここまでコミカルに扱えるタレントは数人ほどだろう。しかも女性タレントとしてみてみれば、もはや唯一無二の存在なのかもしれない。

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