般若が最後のラップを刻む 正義のあり方を教えてくれた『警視庁麻薬取締課 MOGURA』最終話
「間違ってないよ」。伊弉諾は妻の言葉を思い出していた。伊弉諾が、自ら信じた道を進んでいくのは妻が影響しているのかもしれない。そんな夢から目が覚めると、病室には安堂がいた。安堂は大金を用意し、「ごくろうさまでした。そしてありがとうございました」とだけ言い残し、部屋から出ていった。その大金が意味するところは、およそ口止めだろう。だが、伊弉諾にとってそんなお金は端金でしかない。
怪我から回復した伊弉諾を待ち受けていたのは懲戒免職処分。草田勘九郎(吹越満)によると、火薬とBorn-D(吉村界人)は釈放され、伊弉諾を撃った高橋舞子(成海璃子)も伊弉諾と同様の処分を受けたという。その高橋はただ安堂の味方についているわけではなかったのだ。高橋が夢に描いたファミリーホームを設立する資金と引き換えに安堂に協力していた。お役御免となった高橋を安堂はあっさりと切り捨てる。
大麻畑での事件を無かったかのように、市民に向けて演説をする安堂。それをテレビで見ていた「9門」のメンバーたちは安堂への怒りを募らせていた。そこに伊弉諾が謝罪にやってくる。OG-T(G-k.i.d)は「おめえのこといけ好かないヤツだと思ってたんだよ」と声を荒げるが、「でもお前のラップは好きだった」と本心を打ち明ける。OG-Tは伊弉諾が「9門」のことをどう思っているのか、それが一番に知りたいことだった。伊弉諾にとって「9門」のメンバーはかけがえない仲間。その言葉が聞けて本当に良かった。無事に和解した伊弉諾は「9門」のメンバーにある作戦をお願いするのだった。
早速、伊弉諾は草田に協力してもらい収監されている火薬と接触する一方で、Haru(CYBER RUI)は学生時代に自分に生きる指針を示してくれた高橋と再会。そこで高橋からハルク(眞木蔵人)のスマートフォンを手渡される。
5月12日、伊弉諾と火薬が仕込んだ作戦を実行に移す。Born-Dの協力で警察署から抜け出すことに成功した火薬。「9門」は自らのSNSを通じて、犯行声明を出す。これが彼らなりの正義だった。
市民憩いの場で演説をしていた安堂はそこで国政に進出することを宣言。支持者からも熱い声援が送られる中、そこにトラックが侵入してくる。そこから出てきたのは火薬。安堂の裏の顔をスクリーンで流し、「9門」と「REDHEAD」のメンバーが代わる代わるラップに乗せて言葉を紡いでいく。その言葉は全てがリアル。市民憩いの場には熱狂の渦が巻き起こる。
「9門」と「REDHEAD」のメンバーとともに、警察に連行される安堂。決してラッパーたちのやり方が正しいものだったとは思わない。だが、自分の信じた道を進んでいくそのことこそが、本当の正義なのかもしれないと思わされた。
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