南沙良は“横浜流星の相手役”をどう演じる? 過去作からわかる“役柄の心情に対する理解力”

 2024年12月9日21時より、横浜流星が主演を務めるABEMAオリジナル連続ドラマ『わかっていても the shapes of love』がABEMAにて配信、Netflixにて世界同時配信される。本作は、同名のWebtoonをもとにしたNetflixの韓国ドラマ『わかっていても』が原案のラブストーリーで、日本・鎌倉を舞台に移し、ストーリーを再構築。“傷つくとわかっていても、愛に手を伸ばしてしまう人間の衝動”を描き出す物語だ。

 本作のヒロイン・浜崎美羽(はまさきみう)は“傷つくとわかっていても、愛に手を伸ばしてしまう”一人。そんな美羽を演じるのが若手実力派俳優の南沙良だ。

『鎌倉殿の13人』に『光る君へ』…境遇の異なる複雑なキャラクターを熱演

 南は2022年放送のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)に続き、現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)にも出演中の、注目を集める若手俳優の一人。『鎌倉殿の13人』でも『光る君へ』でも、境遇は異なるが複雑な心境を抱えるキャラクターを見事に演じている。

 あらためて出演作を見返してみると、南はそれぞれの役柄で南らしい印象的な笑顔を見せながら、全く異なる人物像を見事に演じ分けている。おそらくそれは、南がそれぞれのキャラクターの心の内を自分自身に深く落とし込み、真摯に表現しているからではないだろうか。

 『鎌倉殿の13人』では、南は源頼朝(大泉洋)の長女・大姫を好演。南が演じる大姫はたびたび不可思議な言動をして周囲を困らせるが、柔らかな微笑みが愛らしい人物だ。だが、許嫁であった源義高(市川染五郎)亡き後、その心の傷は癒えていない。どんなに愛らしい表情を見せてもその目にはどこか空虚な感じが漂う。南の佇まいからは、大切な人を失った深い悲しみがいつまでも彼女の心を覆っていることが伝わってきて切なかった。

 劇中、大姫は20歳という若さで息を引き取る。義高の父・義仲(青木崇高)を愛した巴御前(秋元才加)との対話によって新たな一歩を踏み出す勇気を持つ大姫だが、京で丹後局(鈴木京香)のきつい洗礼を受け、その後病に倒れる。か細い声で「私の幸せ……」と呟いた後に意識を失う場面では、すでに愛する義高のもとへ行くこと、すなわち死を予感していたようにも見える。病床に伏す大姫を演じる南の表情には覇気がなく、声も弱々しい。見ていてとても悲しい場面ではあるが、「好きに生きるということは好きに死ぬこと?」「死ぬのは怖くない」「死ねば義高殿に会える」という台詞を発する南の声色には、大姫の強い意志があった。彼女は死を目前に、自分の生きたいように生きることを選んだのだ。南の演技を通じた大姫の生き様が心に沁みた。

 一方、現在放送中の『光る君へ』では、まひろ/紫式部(吉高由里子)の娘・賢子を演じている。南演じる賢子は第39回で初めて登場。宮仕えをするまひろとの間には溝があり、まひろと目を合わせなかったり、「母上と同じ道を行きたくはございませぬ」ときっぱりした口調で言い切ったりと、先述した大姫と違って強気な性格だ。だが、南が見せる反抗的な表情や態度には、まひろの父・為時(岸谷五朗)が言うように母・まひろに似た部分があり、それがまた微妙な距離感を保った親子関係を魅力的に見せている。

 南は公式サイトで公開されているインタビュー動画「君かたり」にて、賢子について「情熱的で明るくて自分から動くタイプ」「すごくかわいらしい利発的な女の子」と語った。大姫の時に見せた微笑みとは全く異なる、賢子の明るく快活な笑顔に心を掴まれる。特に、自身を盗人から救ってくれた双寿丸(伊藤健太郎)に心惹かれる姿などは見ていてとても眩しい。双寿丸と一緒にいる場面でのウキウキしているような声の調子や笑顔には、賢子が双寿丸に恋愛感情を抱いているだけでなく、自分とは全く違う生き方に惹きつけられている様子が表れている。

横浜流星の相手役に抜擢 『わかっていても』で新境地へ

 そして『わかっていても the shapes of love』では、南は過去の恋愛にトラウマを抱える美術大学の彫刻学科助手・美羽を演じる。彼女は二度と恋はしないと誓いながらも、横浜演じる若き天才芸術家・漣に惹かれていく。本作では、南の強いまなざしに注目だ。“わかっていても”惹かれてしまう心の葛藤が、クローズアップされた南のまなざしからひしひしと伝わってくる。物語が進むにつれ、その目に宿る感情が少しずつ変化していくのだが、いずれの目の表情も、美羽に興味を抱く漣だけでなく、見ているこちら側の心を捉えて離さない強さがある。

 美羽もまた複雑な心境を抱えたキャラクターの一人だが、大姫とも賢子とも違う、けれど南にしか演じることのできない人物だと感じた。大切な人を失った悲しみ、母に対する寂しさと反発心、そして傷つくとわかっていても手を伸ばしてしまう衝動。どの心情も葛藤を抱くものだ。その複雑な感情は本人にしか感じられないうえ、本人でしか解消できない苦しみがある。演じる役柄の心情を理解し、大切に演じていこうと向き合う南の姿勢があってこそ、魅力的なキャラクターとして視聴者の心に印象を残すのだろう。

 南の演技を通じて、トラウマを抱えた美羽のまなざしが、表情がどのように変化していくのか、楽しんで鑑賞していただきたい。

【特別映像】横浜流星主演ドラマ『わかっていても the shapes of love 』佐野玲於、鳴海唯出演!主題歌はiri|12/9(月)よる9時から!
■ABEMAオリジナル連続ドラマ『わかっていても the shapes of love』 概要
配信日時:
<1~3話>2024年12月9日(月)夜9時
<4~5話>12月16日(月)夜9時
<6~7話>12月23日(月)夜9時
<8話(最終話)>12月30日(月)夜9時
特報URL:https://abema.tv/video/episode/342-7_s1_p490
番組URL:https://abema.tv/video/title/342-7
 

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