楽器の弾けないライターがビート作りを楽しむ iPhoneと『SP-404MKII』で始めるサンプラーのススメ(後編)

 操作系・サウンド、そして見た目の「ボタンいっぱいあります感」に惹かれて買ってしまったサンプラー、『SP-404MKII』。前編ではざっくりした使い方を語るにとどまったが、後編ではサンプルを録音する方法を解説しつつ、簡単に楽しく本機を使う方法について書いてみたいと思う。

 SP-404MKIIでは本体下部にある16個のパッドにサンプルを録音し、サンプルを組み合わせて再生したり、エフェクトをかけたりといった操作ができる。音楽的なパフォーマンスをするうえで「楽器」として使うユーザーも多く、ドラムのように叩いて演奏する「フィンガードラミング」をおこなうプレイヤーもいれば、あらかじめ用意したいくつかのシーケンスを再生してパフォーマンスをする人もいる。また、一つのパッドに最長16分(約185MB相当)のサウンドを録音できるので、シンガーが自分の楽曲のオケを鳴らすのに使ったり、曲を繋いで聴かせるDJのようなプレイにも対応する。

 それでは実際に録音(サンプリング)をしてみようと思う。SP-404MKIIは多彩な入力端子を持っており、前面・背面のアナログ入力に加えてUSB-Cからの入力にも対応する。簡単にいうとiPhoneなどをUSB-Cケーブルで繋げば、iPhoneで鳴っている音はなんでも録音できるということだ。

 いずれかの入力に録音したい音の出るモノを接続したら、「REC」ボタンを押そう。すると下部の1〜16のパッドのうち、サンプルが登録されていないパッドが明るく点滅する。それらのパッドのいずれかを押して、再度「REC」を押すと録音が始まる。終了する際には再度「REC」ボタンを押せばOK。「REC COMPLETE」の文言が表示され、選択したパッドへの録音が終了する。

 次は録音したサンプルを編集してみる。本体右上にある「SAMPLE EDIT」と書かれたコーナーの3つのボタン「START/END」「PITCH/SPEED」「MARK」がサンプルの編集に使うボタンだ。これらのボタンとCTRLツマミでサンプルの開始・終了タイミングや音の高さを調整できる。

 ちなみにその下段にある「SAMPLE MODE」のボタンはサンプルの発音方法を変更できるボタンで、特に「REVERSE」のボタンは押すだけでサンプルを逆再生にできるので面白い。説明書を見ながらボタンを押していくとどんどんサンプルの音色が変わっていく。サンプルを再生しながらエフェクトを効かせるのも楽しい。また画面右側にある「DJFX LOOPER」は本機の特に有名なエフェクトであり、サンプルを細かい秒数でループさせたり、再生速度をドラマティックに変化させたりと予想もつかないサウンドが鳴るのでぜひ試してほしい。

 さて、前編にも書いたがここに記載している機能は『SP-404MKII』でできることのほんの一部であり、基礎的な部分だ。腕のあるトラックメイカーの方々はこうしたサンプリングはもちろん、より複雑な機能をバッチリ使いこなして楽曲を作ったり、PCでの制作の前段階でラフスケッチ的な楽曲を作ったりと大いに役立てていることだろう。そういった「ネタを掘ってどんどんサンプリングしてチョップしてトラックメイクしてやるぜ!」というユーザーにとって本機は非常に役立つはずだ。

 ……ただ、別にそんなに気合を入れずとも、もっと手軽に遊べる機材であることは伝えておきたい。「なんか簡単に格好いい音が鳴る、あと変な音も鳴る」とか「それらの音をツマミでグリグリ変化させて遊びたい」とか、そういう遊びにサンプラーは最適なのだ。そして机上に「押すと好きな音が鳴る機械」があるのはかなりうれしい。

ホコリが積もらないよう、普段は写真のようなカバーを付けて卓上に常設している。様々な機器用のプラスチックカバーを製造するイギリスのメーカー「DECKSAVER」のもので、常設するなら必須級のアクセサリーだ

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