福原遥、“無差別傷害事件”の真実に困惑 彼はなぜ凶悪犯に?『透明なわたしたち』最終話

 いま、たしかに社会の中に自分は存在しているのにも関わらず、いないもののようであると感じた経験をこれまでにしたことはあるだろうか。

 渋谷事件の犯人で碧の同級生・尾関健(林裕太)は、まさにそのことを悩んでいた。同じダンス部の高木(倉悠貴)、喜多野(伊藤健太郎)と比べると自分の存在感は薄く、高校を卒業した後で東京に出たいという夢も虚しく、1人で育ててくれた母親の介護と職場を行き来する意味。亡くなったのをきっかけに、東京に出てきたものの、いまいち自分は社会に居場所がない“透明”な存在であるかのように感じていた。

 そして、誰からも見えていない、その苦しみから逃れようと尾関は自死を試みる。渋谷の真ん中、スクランブル交差点で、最後の最後くらいは自分という存在を社会に見てもらおうとするのだ。しかし、尾関は刺した。通りがかりの見知らぬ少年たちを。その少年たち、屋上から飛び降りて、最後の最後に透明じゃないと社会に知らしめたユリ(小川未祐)の死を冒涜するような発言をしたのだ。それが、尾関には許せなかった。そして、咄嗟の行動に出てしまったのだ。

 この事実を知った碧は困惑する。それは尾関の起こした行動が他人事だと思えないから。そして、元を辿れば、高校生の ときに喜多野を犯人に仕立て上げるような記事を出した自分も“透明じゃなくなりたい”という意識が少なからずあったのだろうということが見て取れる。

 あの頃、なにかを掴めると信じていた6人は、いまそれぞれ、自分たちが思い描いたようなキラキラとした世界を生きていない。

 気づけば闇バイトに手を染めてしまった喜多野、仲間から見放された高木、女優を夢見るも現実はホステスとして生計を立てている梨沙(武田玲奈)、東京生活をうまく乗りこなせず、地元で悶々とした気持ちでやりすごしている風花(小野花梨)、そして正統派な記者に憧れながらもゴシップ誌の編集部で記者をしている碧。

 そんな6人が最後には、自分たちを照らす、わずかな光を掴み、その方向へと向かっていく。社会から見たら透明かもしれない、でも、だからといって自分の正義にそむくのは違うことに気づいたかのように。

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