10万円でフルトラ環境が手に入る『PICO 4 Ultra』は“買い”なのか? 『VRChat』ユーザーが本音でレビュー

肝心の『PICO 4 Ultra』本体性能は?

 では、肝心の『PICO 4 Ultra』の性能はどうだろうか。本機は単なるVRデバイスではなくMR機能が追加されたVR/MRデバイスなので、このあたりは『Quest 3』と近いものを感じるところ。MRモードの表示は『Quest 3』と比べると少しノイズを感じるが、筆者が普段愛用している『Quest Pro』と比べるとかなり綺麗に表示されている。

 率直な感想でいえば、MR対応のゲームで遊んだり、仮想のデスクトップとして使おうと考えている方には『Quest 3』の方が適している。スイートスポット(視界がクリアに見える範囲)に関しては『Quest Pro』と比べても狭いといえば狭いが、個人的に気になるレベルではなかった。このあたりは個人の好みと慣れの部分が大きいかもしれない。

 ところで筆者は普段から眼鏡を着用しているため、眼鏡を掛けたままゴーグルをかぶれるかどうかは気になるポイントなのだが、わりと大きいフレームでもすんなりとかぶれたのはうれしいポイントだった。『Quest 3』と比べてもかなりゆとりのある設計だ。

 重量に関しては意外な発見も。515gの『Quest 3』に対して『PICO 4 Ultra』は580gと、重量がやや重いのだが、総合的な付け心地は『PICO 4 Ultra』の方が良くと感じられた。本機は『Quest 3』の別売りパーツのであるElite ストラップのようなダイヤル式のストラップが標準で付属しているのだが、この重量バランスが良く出来ている。

 後部にあるダイヤルをまわしてバンドを締める形で装着するストラップは、後頭部をしっかりとカバーしてくれるだけでなく、後頭部の位置にあるバッテリーがカウンターウェイトになっているためバランスに優れている。ゴーグル面に重量が偏っておでこや頬骨が圧迫される状態(いわゆるフロントヘビー)にならないため、着用していて重さが気になることはなかった。

 一点、個人的に気になるポイントといえばイヤホンジャックがないこと。イヤホンを使用したい場合はBluetoothイヤホンを接続する必要がある。

結論:初めてのヘッドセットなら『PICO 4 Ultra』は「買い」です!

 結論からいえば、『PICO 4 Ultra』は「買い」だといえる。特に、最近『VRChat』に興味を持って「これから初めてのヘッドセットを購入する」という方であれば、とりあえず『PICO 4 Ultra』を買っておいて、足を動かしたくなったら『PICO Motion Tracker』を買い足すという順番が負担も少なくオススメ。

 『VRChat』上で音楽系イベントに行ったり、飲み会をしたりするようになると「足を動かしたい!」と感じる人もいるだろうが、そういった用途であれば『PICO 4 Ultra』と『PICO Motion Tracker』の組み合わせで十分に要望を満たせるだろう。

『PICO 4 Ultra』はこれからVRデバイスを購入しようと考えている方にとっての入門機として、『Quest 3』に匹敵する魅力的なヘッドセットだ。興味のある方はぜひお近くの家電量販店などで触ってみてほしい。

SFドラマ『三体』のVRデバイスは実現できるのか “没入体験”の歴史と現在地から考える

【※本稿にはNetflix版『三体』のネタバレを含みます。ご了承ください。】SFドラマ『三体』に登場する“VRデバイス”。果たし…

関連記事