DELLから第2世代のCore Ultraを搭載した薄型ノート『XPS 13』が登場 オンデバイスなAI処理も

 DELL(デル・テクノロジーズ)から、新しいノートPC『XPS 13(9350)』が発表され、公式サイトにて受注販売がスタート。参考販売価格は26万円〜。

 「XPS」シリーズは、DELLのノートPCラインナップのなかでも特に薄型軽量なモデル。筐体デザインは現行モデルの『XPS 13(9340 / 9345)』から変わっていないが、SoCに「Core Ultraシリーズ2」を採用したことでAIに関する性能が大きく向上した。

24時間を超えるロングバッテリーを秘めた薄型ノート

 こちらが新しい『XPS 13(9350)』。歴代のXPSシリーズと同様に、飾りっ気のないアルミ筐体が美しい。ディスプレイは13.4インチで、重量や寸法についても前モデルと変わらない。

 フラットなキーボードや、継ぎ目のないトラックパッド周辺のデザインも継承している。個人的な感想だが、もっともMacBookっぽいWindows搭載ノートPCがこのXPSシリーズだと思っている。

 本体の両側面にThunderbolt 4(USB4)端子を備えている。いわく、片側だけでなく両側面にThunderbolt 4端子を配置するのは技術コストがかなり高いそう。ユーザーにとっては充電も映像出力もできるThunderbolt 4端子を左右どちらからでも利用できるのはありがたい。

 さて、本機最大の進化ポイントはSoCにCore Ultra シリーズ2(開発コードネーム:Lunar Lake)を採用した点にある。2023年12月に初登場したCore Ultra(開発コードネーム:Meteor Lake)シリーズの次世代モデルにあたるが、消費電力やAI機能の処理など様々な面で大きな飛躍がみられた。

電力効率とAI処理がグレードアップ

 2023年頃から、Core Ultraを搭載したノートPCが市場に揃ってきた。Core UltraにはNPUというAIに関する処理を得意とするプロセッサーが搭載されており、画像生成やLLMといったAI機能を効率よく処理できるようになった。

 では今回のCore Ultra シリーズ2はどこが変化したのか。ひとつは電力効率だ。x86プロセッサとしては歴史的といえるほど省エネで動くCPUであり、事実として『XPS 13(9350)』のバッテリー駆動時間は約26時間を記録しているSnapdragon X Elite搭載の「XPS 13」のバッテリー時間が約27時間だが、Intelでありながらこれに迫る数値なのは驚きだ。

 また、SoC本体にも画期的な工夫が見られる。それが、Intel製品としては初めてオンパッケージメモリ(メモリをパッケージ基板の上に統合)した点だ。

 こちらが「Core Ultra シリーズ2」だが、下部にCPUを配置し、上部にDRAMを直接配置している。これにより帯域幅や電力効率が向上し、基板の面積削減にも役立っている。ただし、ユーザー側でメモリを増設することは不可能で『XPS 13(9350)』についても同様だ。

 AI処理の性能を示す整数演算回数は、120TOPS(1秒間に120兆回の計算できるという意味)。内訳はCPUが5TOPS、GPUが67TOPS、NPUが48TOPSとなっている。1世代前のCore Ultra 7の演算回数は34TOPSで、NPU単独で11TOPSだった。いかにAI処理が強化されたかがわかるだろう。

これからのノートパソコンに求められるAI機能とは何か

 2024年5月に、Microsoftは「Copilot+PC」という新たな製品カテゴリーを発表した。いわば、AIに関する処理を保証する高性能なPCであることの証明のようなものだ。「Copilot+PC」を名乗るにはいくつかの要件があるが、そのうちのひとつにNPU単独での演算性能が40TOPSを超えるべし、というものがある。つまり、当時のIntelのCore Ultraでは「Copilot+PC」を名乗ることはできなかったのだ。

 また、近年のPCのトレンドとしてNPUへの負担が右肩上がりな一方、CPUへの負担が減少傾向というデータもあるとのこと。この流れについてはCPUがムーアの法則の限界が見えているのもあり、CPUに代わる次の競争点を作りたい業界の意図も少なからずあるだろう。デジカメの解像度競争や高感度耐性競争などが近いか。

 しかし、ユーザーとしては気になってくるのが「NPUを活かせる実用的なAI機能って何?」というものだ。例えば今回の『XPS 13(9350)』は、ネットに接続していない状態でもStable Diffusionによる高速な画像生成を実現している。企画書に配置するイメージ画像や背景画像としての使い道はあるだろうが、実際のところそれほど活用シーンは多くないだろう。

 また、国産の日本語LLMとして知られるELYZAについても高速で動作していた。LLMに関してはセキュリティの観点からオンデバイスでの利用については需要があるだろう。社外秘の企画草案をChatGPTとやり取りするのは極めて危険だが、ネットに繋がっていない言語モデルと会話するのなら情報漏洩の心配はない。

 WIndowsにおいての「実用的」なAI操作は、やはりRecall機能が来てからが本番といったところだろうか。RecallはPCのスナップショットを自動記録しておくことで、例えばファイル名が思い出せないパワポの資料も「◯◯が書かれたppt」と検索すれば時間を遡って検索ができるというもの。うろ覚えでも振り返られる高い検索性が特徴だが、セキュリティ上の欠陥からリリースが延期されている。Microsoftとしても肝煎りの機能なのは間違いないだろうし、AIに強いPCが市場に増えてくれば恩恵を受けるユーザーも増えていくというものだ。

 こういったAI時代への足固めの一環となるのが「Copilot+PC」であり、高性能なNPUを搭載した「Core Ultra シリーズ2」であり、それを搭載した『XPS 13(9350)』、となるわけだ。ユーザーにとっては「Copilot+PC」準拠のノートPCを選ぶ場合、今まではSnapdragon X Eliteしかなかったが、ようやくIntelも選択できるようになったといえるだろう。

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