エンタメとテクノロジーの隙間から

美味しいサバは飛行機でやってくる? 約8000キロ離れたノルウェーから“生”で届く「サバヌーヴォー」を撮りに羽田空港へ

 リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。第42回はスリックタイヤに換装したMTBと地形アプリを使った地域巡り、“自転車版ブラタモリ”が密かな休日の楽しみとなっている中年編集・小川がお届け。

 デジタルガジェットや家電をはじめ、車や航空機、グルメや酒、ライフスタイルも担当する筆者にとってありがたいのが、撮影ガジェットを活用しつつ最新トレンドもチェックできる現場取材。今回は発売したばかりのNikon『Z6III』と広角から超望遠までカバーしてくれる『NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR』を持っていざ羽田空港へ。

近年、話題となっている『サバヌーヴォー』を撮りに羽田空港に。

 なぜ羽田に来たのかは、先週末にロンドンのヒースロー空港から羽田空港に降り立った日本航空・JAL042便に理由がある。この便にはノルウェーからロンドンを経由し運ばれてきた、ある“初物”が積まれていたのである。それが2021年から始まった『サバヌーヴォー(Saba Nouveau)®』だ。

 JALとJALUX、そしてノルウェーがタッグを組んだことで生まれた新しい秋の味覚で、ノルウェーで水揚げされたサバの中でも500g以上、脂肪率30%以上の物をセレクト、現地での水揚げから日本などでの販売・加工に至るまで一度も冷凍せず「生」の状態で運ばれてきた物を『サバヌーヴォー』と名付けているのだ。


 その実情を知るため、サバを獲るのではなく“撮る”ためにカメラ持参で羽田に馳せ参じたのである。『サバヌーヴォー』の特長はその鮮度にあり、オスロから約36時間で日本に到着する。航空貨物として運ばれ、飛行機から降ろされたら場内輸送を経て税関での検品へ、今回は簡易的にその流れが解説された。

 開封されたトロ箱には丸々としたサバがぎっしり。サバはノルウェー近海で獲れるノルウェーサバ(タイセイヨウサバ)で背には特有の虎模様がくっきりと。9月中旬から脂のノリがピークを迎える、まさに旬の味だ。

 それを「生」の状態で空輸したのが『サバヌーヴォー』。ちなみにノルウェー近海で獲ってから日本に届くまでのトータル時間でも通常は約60時間だとか。改めて8000キロ以上離れた海から3日と経たず生の状態で届く各種テクノロジーやシステムに驚く。 

羽田空港に届いたばかりの『サバヌーヴォー』を前にしてのセレモニー。(左から)ノルウェー大使館 水産部 水産参事官ヨハン・クアルハイム氏、ノルウェー大使館 公使参事官 フレドリック・ステーン氏、日本航空執行役員 マイレージ・ライフスタイル事業本部長 大森康史氏、株式会社JALUX 代表取締役 副社長執行役員 丸川潔氏。

 羽田空港での第1便セレモニーではJAL、JALUX、ノルウェー大使館が参加。日本航空の大森氏は「JALグループならではの高速、高鮮度、高品質、そして安全と安心の食をお届けし、今後は秋の風物詩として定着させたい」とコメント。JALUXの丸川氏からは「ノルウェーからサバは冷凍輸送が当たり前だったが、サバヌーヴォーは生での輸送に挑戦したイノベーションプログラム。サバの選定も現地にいるJALUXスタッフがプロの目で選定している」とグループを挙げての強みをアピール。

 ノルウェー大使館のステーン氏からは「JALとJALUXの皆様のご尽力により36時間でノルウェーからサバヌーヴォーの初物が届いた。日本の皆さんに美味しいサバで楽しい時間を過ごしてもらいたい」と2024年の初物を称え、クアルハイム氏は「日本で消費されるサバの50%以上は実はノルウェー産。そして、こちらのサバヌーヴォーは皆様が思っているようなノルウェーサバのイメージをさらに超えたものになります」と日本におけるノルウェーサバのシェアと、その中でも高い品質を誇る『サバヌーヴォー』について解説した。

 ちなみにJALの大森氏によれば『サバヌーヴォー』はこれからJAL国内線のファーストクラス(朝食)のメニューでも登場するとか。そこまで聞くと実際に食べたくなる......という訳で現在開催中の『ノルウェーシーフードフェス2024』にも足を運んでみた。

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