UUUMはなぜゲーム事業を立ち上げたのか? Nintendo Store1位獲得の『青鬼』がつないだ、LiTMUS・北條誉之×ゲームスタジオ・岩立誠治対談

UUUMが“ゲーム事業”立ち上げた理由

 2024年で生誕20周年を迎える人気ホラーゲーム『青鬼』。Nintendo Storeのダウンロードソフトランキング1位を獲得したNintendo Switch版とSteam版の移植開発を手掛けたのが、LiTMUSとゲームスタジオだ。

 動画クリエイターのマネジメント事業大手・UUUMの完全子会社としてゲーム開発に臨むLiTMUSと、プラットフォームを問わず多種多様なゲーム作品の受託開発を得意とするゲームスタジオ。両社は同じゲーム業界に属しながらも、前者は『脱獄ごっこ』、後者は『星のドラゴンクエスト』など、開発実績や制作現場のスタイルにいたるまで異なる点が多い。

 歴史あるホラーゲームの移植に際し、毛色の違う2つのゲーム会社はいかにしてマッチしたのか。LiTMUS・取締役の北條誉之とゲームスタジオ・代表取締役の岩立誠治を迎え、ゲーム開発の哲学や協業で感じた強みを語ってもらった。

実況動画での苦境がきっかけに クリエイターと二人三脚で始めたゲーム事業

ーーUUUMと聞くと「動画クリエイターのマネジメント」を思い浮かべる人も多い現状ですが、ゲーム事業を立ち上げた経緯について教えていただけますか。

LiTMUS・取締役 北條誉之
LiTMUS・取締役 北條誉之

北條 誉之(以下、北條):UUUMが設立された当初、まだ動画クリエイターという職業の社会的認知がそこまでなく、ゲーム実況に対して「やめてほしい」と声を上げるメーカーさんが少なくありませんでした。そういった状況のなか、「なら自分たちでクリエイターと一緒にゲームを作ればいいじゃないか」という視点でスタートしたのがゲーム事業の第一歩でした。

ーーそうした経緯を踏まえると、やはりクリエイターと組んでゲームを開発することが多かったのでしょうか。

北條:おっしゃる通り、最初はクリエイターのファン層に向けた作品を作っていました。これまで表側にいたクリエイターをプロデューサーに近い立場として迎え入れ、開発側と一緒にゲームを生み出すイメージですね。弊社でリリースしている『脱獄ごっこ』や『青鬼』シリーズの続編もその一例で、「どういったゲームであれば、“実況映え”するだろうか」という視点に立ち、クリエイターと二人三脚で言語化を交えながら制作に取り組んできました。

ーーLiTMUS社は『青鬼2』をはじめ、現在も根強い人気を誇る『青鬼』関連の作品を複数手掛けられています。同シリーズは今年で生誕20周年を迎えますが、開発側から見た魅力を教えてください。

北條:我々が考える『青鬼』の魅力としましては、大きく分けて3つあります。

 1つ目は、シリーズの看板キャラである青鬼の強烈なキャラクター性。見た目のインパクトが絶大なうえに、間口が20年前と比べて広がった今では、低年齢層からも人気を博しています。ホラーゲームであそこまでキャラが立っている例は少ないと思っています。

 2つ目は、『青鬼』シリーズが謎解きをメインにしている点。実際に遊んでもらえれば分かると思いますが、同作品の謎解きはプレイヤーの知識力と言うより、ロジカルな思考力を必要としています。だからどんな人でも、ある程度頑張れば謎がきれいに解けるように作られているんです。

 そして3つ目は、恐怖の対象から逃げ続けるというサバイバル要素になります。青鬼に追い掛けられて無事に生き延びることができるか。20年前から変わらず、プレイヤーを包み込む断続的なスリルと緊張感が好評を博しています。

ーービジュアルとシステムの両面で根強く支持される『青鬼』ですが、世代を越えて愛される要因はどこにあると考えられますか。

北條:先ほどシリーズ20周年を迎えたと話題に上がりましたが、2004年当時のユーザーは時間を経て“親世代”になってきています。親から子供へ『青鬼』の面白さが伝わっているという線も十分に考えられますし、現在は動画プラットフォームの隆盛も相まって、様々なユーザーが『青鬼』の世界に触れることができる“タッチポイント”が数多く見受けられます。

ーー歴史の積み重ねもあり、『青鬼』を知る機会が各所で見受けられる状況ですね。

北條:どんなコンテンツも流行り廃りがあり、「特定の年齢層の間でしか興味を持ってもらえない」という状況は珍しくありません。一方、動画プラットフォームを中心に盛り上がったゲーム実況というジャンルは、作品をプレイして動画化する発信側がいる限り、基本的には関連コンテンツがどんどん増えていきます。なので昔は『青鬼』を知らなかったけれど、後年になって動画がきっかけで『青鬼』のファンになった……というユーザーも多く現れました。累計3400万回ダンロードされたスマホ向けアプリをはじめ、いまもなお同シリーズが遊ばれ続けているのはそうした要因が絡んでいるのではないでしょうか。

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