昭和100年を目前に考える「昭和レトロ」な動画ジャンルを支える技術 “リアル”の決め手は質感にあり?
昭和レトロ風の映像を作るコツとは? 当時と現代の制作手法から考える
これらの「昭和レトロ風」の映像たちは、「どこか昭和っぽい」と言われがちである。では、具体的にはどういった要素が、我々にそう思わせるのだろうか。少し考えてみよう。
まず、制作においては、基本的にデジタルで昭和レトロ風の映像効果を再現することとなる。とはいえ、アナログの要素は欠かせない。アプリやソフトは数多くあるものの、こだわりを見せるならプリセットのまま使わずに補正することになる。フォントにしても、特にタイトルロゴなど目立つものであるならば、レタリングしたものをデジタルで補正した方がより良くなる。
絵についても、たとえばアニメーションであれば、年代によってはトレスマシンでセルにキャラクターの鉛筆画を焼き付けたような質感、アナログ画材による彩色の質感を再現する意識で補正していくこととなる。また、音声もAMラジオのように周波数帯域が狭く、データ量が少ない感じの音質になるよう、イコライザーやピッチシフターなどで補正する。
このように、基本的にデジタルで作業する場合、アナログ色を強めたいのであれば、それなりに手作業での補正が重要になってくると言える。特に実写では、映像を見返してみると屋内外の背景、登場人物の衣装や装飾など、撮影の前に留意しなければならない箇所が山ほどあるのがあらためて分かるかと思う。明らかに年代の異なるものが写り込んでしまうのは避けたい。
こうした当時の制作手法特有の質感にくわえて、動画の視聴環境まで考慮するとさらにリアル感が増す。たとえばデフロストの自主制作アニメ『古代戦殻ジェノサイダー』シリーズは、動画の制作後にビデオテープに録画してノイズを加えているため、当然ビデオデッキでも再生できる(しかもVHSではなくベータマックスを使用することで、希少価値を高めてもいる)。
昭和レトロ“風”が流行しているなかではあるが、実在した「昭和のクリエイティブ史」を知ることで、さらに楽しめるはず。また、クリエイターとしてこうした作風を志すのであれば、当時の機材をインスタレーションとして用意してみるのも楽しいのではないだろうか。
藤井亮/豪勢スタジオ
https://gosay.studio/かねひさ和哉
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https://www.youtube.com/@Tamachuotvにしい(フィルムエスト主宰)
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そんな昭和の映像を完全に再現し、さらに現代の要素をうまく絡めて人気を集めているのが、フィルムエストというYouTubeチャンネル…