軽バン×車中泊はなぜキラーコンテンツに? 数字&動画から見えた“DIY”の新たな可能性

 YouTubeでは長年、豪華なキャンピングカーやハイエースでの車中泊動画が人気を集めているが、最近は軽バンや軽トラなど軽自動車をベースにした「軽キャンパー(軽キャンピングカー)」で車中泊をする動画が多く投稿されている。今回はYouTuberたちが伝える軽キャンライフの魅力やYouTubeで軽キャン動画が増えている背景を紐解いてみたい。

 車中泊を代表するチャンネルのひとつである「旅する家の物語」は、軽トラの上に自ら車中泊用の家を作った男性が、さまざまな場所で車中泊を楽しむ動画が多くの視聴者から支持されている(チャンネル登録者は2024年6月13日時点で登録者数122万人)。

【大雨の車中泊】記録的豪雨の中、軽トラホロテントで車中泊【納車1ヶ月!ラクホロキャンプ】

 6月7日に投稿された動画では、納車して1か月という軽トラキャンピングホロ・キャンパーシェル「ラクホロキャンパー」で車中泊した様子を公開。このラクホロキャンパーは見た目はごく普通の軽トラなのだが、側面を開くと一転、目の前には大自然が広がり、運営者の男性も「この開放感はほかにはない」感嘆した様子。淹れたてのコーヒーをすすりながらくつろぐ様子は贅沢そのものだ。

 日が暮れて辺りが暗くなると、開口部をすべて閉め、車は夜仕様に変身。この日は記録的な大雨だったが、雨が入り込むこともなかったようだ。フックやネジ穴がたくさんあり、DIYも大いにできるというラクホロキャンパーは、標準装備で本体価格45万円から、動画に登場した車でも70万円程度とあって、低価格が魅力。開放感とDIYでカスタマイズしやすい点が、視聴者からも好評だった。

[車中泊仕様]ハスラーを車中泊仕様に/新しい相棒を紹介します/新型ハスラーJstyle

 「ぷれいふるちゃんねる」はというと、新型ハスラーでの旅と車中泊動画を制作、投稿(登録者数 9.55万人)。2021年12月に動画で初めてお披露目された現在の愛車・新型ハスラー J STYLEは、シートの背面が水や汚れに強い素材で作られており、アウトドアにピッタリだという。

 同チャンネルの運営者であるとわは、購入時にジムニーも検討していたようだが、仕事で長距離運転することが多く、燃費の面からハスラーを選んだことを明かしている。フォームマットやインフレーターマットなどで床を整えれば、車内でも快適に眠れるこのハスラーで、とわは大雪の日も雨の日も、真夏も車中泊を楽しんでいる模様。6月1日に投稿された群馬県を3泊4日の車中泊の旅でめぐる動画では雨の中での車中泊となったが、大自然の景色と心地よい雨音に癒された視聴者が多かったようだ。

 軽キャンパーでの車中泊といえば、2021年から日本一周車中泊の旅をしている「軽バン生活」も忘れてはならないチャンネルのひとつ(登録者数36.8万人)。軽バン生活で登場するのは、マツダのスクラムをベースにした車。チャンネルを運営するカップルが38万円で購入した中古車を、3か月かけてキャンピングカー仕様に作り上げたものだ。

【車内紹介】これが軽自動車の完全版!2年旅して分かった改善点。

 日本一周をするだけあって、装備や内装もかなり手が込んでおり、大きなバッテリーや電気系統類は邪魔にならないように収納。飲み物やティッシュ、細々したものを入れられるセンターコンソールも自作しているほか、内装は木材を活用し、ログハウスのような雰囲気に仕上げている。視聴者からはこういった”魔改造”ともいえるDIYに、大きな反響が寄せられているのだ。

 3組の軽キャンパーでの車中泊動画をみると、いく先々の観光スポットはもちろん、綺麗な景色や自然が織りなす音に癒される視聴者が多い模様。だがさらに注目を集めているのは、限られた空間でいかに快適に過ごせるか、工夫を凝らしたDIYであることが読み取れる。旅だけでなくDIYも楽しめる、それが軽キャンパーの車中泊動画の魅力なのかもしれない。

 しかしなぜ、YouTubeで軽キャンパー動画が目につくようになったのか。一般社団法人日本RV協会によると、2023年のキャンピングカー販売総額は過去最高の1054億円超え。この数字は前年に比べ138%増というもので、YouTube上で車中泊動画をよく目にするのも頷ける。なかでも軽キャンパーは、1月12日~14日にかけて開催された「東京オートサロン2024」に専門ビルダーが出展したことなどでも注目を集めており、その反応から軽キャンパーの人気がうかがえる。

(参照:一般社団法人日本RV協会 2023年キャンピングカー販売総額が過去最高の1,054億円超え!

 軽キャンパーには低予算で購入できる、燃費がいい、維持費も大型車に比べ低いといったメリットがあるが、1人または2人で車中泊する動画をつくるのであれば、こういった特徴もさまざまな場所を行き来する車中泊クリエイターたちが重視するポイントになる。YouTube上で軽キャンパー動画が目立つのは、キャンピングカー市場の盛り上がりのほか、コスト面とDIYの自由度にあるといえそうだ。

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