Apple『WWDC 2024』の基調講演は今夜2時にスタート 気になるVision Pro、AIの行方は?

 Appleが年に一度開催する開発者向けのイベント『WWDC 2024』。Appleに関連する開発者・技術者が集まって交流したり、セッションに参加して知見を深めたりする、一大イベントだ。

 そんな『WWDC 2024』の開幕におこなわれる基調講演では、新製品や新OSなどが発表される。今年の基調講演は今晩、6月11日の深夜2時からスタートする。本稿では、そこで発表が期待されるモノ・コトについて予想してみようと思う。

『Vision Pro』発表から1年、発売から半年 次なるステップに乗り出すか?

 これまでに発表された目玉を振り返ってみると、2022年はM2チップ搭載の『Mac Book Air』やiOS/iPad OS 16などが発表された。そして昨年、2023年には『Apple Vision Pro』の発表があり、大いに世間を騒がせた。

 では、今年は何が発表されるのだろうか。直近に開催された発表会でM4搭載の『iPad Pro』など新デバイスが発表されていることから、これらのチップを搭載したMac製品の発表には期待したいところ。M4チップを搭載した『MacBook Pro』、M4 ProやMaxを搭載『Mac Studio』などはその有力候補だろう。

 それから、『Apple Vision Pro』は発表から1年、発売から半年が経った。徐々に対応アプリやユースケースも増えており、「visionOS 2」発表と同時に新機能実装に多言語対応、米国外での販売に乗り出す……なんて展開も十分にありえそうだ。

AI開発競争には一歩遅れている? いいえ、むしろAppleは過去からずっと積み重ねている

 ここ数年で一気にテック業界の寵児となったOpenAIを筆頭に、Microsoft、Google、Metaといった大手企業が開発競争を続ける生成AI。Appleに関してはこれまでおおっぴらに「AIを作りました!」と発表してこなかった……ように見えていることだろう。

 しかし、そもそもAppleは生成AIが話題になる前から機械学習に特化した製品を作ってきている。初めて登場したのは、2017年に発売された『iPhone 8/8 Plus』『iPhone X』に搭載された「A11チップ」の「ニューラルエンジン」がそれだ。これはプロセッサに組み込まれた機械学習に特化したハードウェアのことで、つまり昨今話題になっている「NPU」と同義である。

 Apple製のNPU(ニューラルエンジン)はこれまでの積み重ねで飛躍的な進化を続けている。くわえて、MチップはCPU・GPU・メモリが統合されたユニファイドメモリにしたことで膨大な計算量に耐えうる性能を誇る。となれば、iOSに生成AI機能が搭載されるのは必然といっても過言ではない。

 問題は「それがいつになるのか?」ということ。そして今年、「いよいよAppleがiPhoneにAIを搭載する」と騒がれているのは、今年のAppleの動向が理由だろう。

 Appleは今年初めにAI関連のスタートアップ企業「DarwinAI」を買収し、その後の株主総会ではティム・クックCEOが「生成AIで新境地を開く」発言したことが報道されている。さらに、ことし2月には動画処理に特化したモデル「Keyframer」を、4月にはオンデバイスで実行可能な大規模言語モデル『OpenELM』の研究論文を発表しており、プロダクトや機能の実装という形でリリースこそしていないものの、かなり積極的に、かつ大胆な動きを見せている。

Apple、オープンソースなオンデバイスAIをリリース iOS 18への搭載にも期待

Appleは先日、デバイス上で実行可能なオープンソースの大規模言語モデル(LLM)「OpenELM」を発表した。  現在、一般…

 前述したティム・クックCEOの発言と合わせれば、「デベロッパーが集まる年に一度のイベントで生成AI機能を発表する」というのは自然な流れに映るだろう。フタを開けてみるまでは何が飛び出るか分からないのがAppleの発表会/基調講演ゆえ、100%とは言えないが、それでもかなり“有力な説”であることはたしかだろう。

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