ぶいすぽっ!神成きゅぴ&夜乃くろむの“共通項”とはーー芯の強さと、才能を感じさせる歌
健全な精神性とeスポーツとの相性を感じさせてくれる、魅力的な観戦配信
そんな神成きゅぴだが、ぶいすぽっ!メンバーのご多分に漏れず、FPS熱は相当に高い。
これまで数年、彼女は『Apex Legends』『VAROLANT』『Escape From Tarkov』を中心に配信を続けてきた。神成自身やファンも気づいていないかもしれないが、じつはそれ以外のゲームを配信上ではほとんどプレイしていない。
実際彼女のYouTubeアーカイブを追いかけてみれば、上記3タイトルをプレイすることがほとんどであることがわかる。ここ2年ほどは、流行りのゲームでも1度か2度触ったっきりでそれ以来プレイしないことが多い。
とはいえ、「FPS以外のゲームをプレイする気がまったくない」というわけではない。たとえば『Minecraft』を初めてプレイした際には、テキパキとプレイして経験者であることをしっかりと披露、ほかメンバーのお手伝いとしてログインした際も同様でプレイ経験が豊富であることが伺える。
ほかにも、大会や企画に参加するために『RUST』『ARK: Survival Evolved』『Grand Theft Auto V』をプレイしても、時間をあまり割くことなくすぐに慣れてしまっていたあたり、さすがというべきだろう。
デビュー当初こそ「FPSは始めてまだまだ」と話していたが、デビュー直後の2020年8月に開催された『Vtuber最協決定戦 ver. APEX LEGENDS』『第1回CRカップ』にも出場している。とくに『第1回CRカップ』ではボドカ・とっぴーとともに2位に入賞している。
その後もさまざまなFPS関係の大会・企画に参加している彼女は好成績を収めてきており、彼女自身の『Apex Legends』の最高ランクはマスターとかなりの上級者である。
ゲームプレイを通じて知識・経験を得るだけでなく、日本国内外で開催されるプロシーンをチェックしているとのことで、ゲーム内の環境やメタ(その時々で流行している戦術・動きのこと)にも明るく、さまざまな大会や企画でその知識を活かすことも多い。
その見識の高さとプレイ経験から、VTuberを主にした大会・企画ではもっぱらIGL役を務めて指揮を担っている。大会ごとにうまくいったり・いかなかったりと結果はさまざまだが、2023年4月15日に催された『VTuber最協決定戦 Ver.APEX LEGENDS Season5』では、ぶいすぽっ!の後輩・紫宮、ホロスターズ・緋崎ガンマのふたりとチーム「デカに9」を組み、みごと3位に導いている。
バトルロワイヤル系のゲームというと、とりあえず目に写った敵に向かって突撃・キルをしていくゲームのように思われる方もいるかもしれないが、IGL役は狭まっていくエリア・建物・地形などを見てどこに移動するかを考え、道中接敵した際にはどのように戦うかを味方に指示していくのがメインとなる。
神成も同じく、目先の敵を追いかけてキルを狙うのではなく、エリアを先取りして優位にゲームを進めていく動きを忠実に実行。しかも他チームからみると思いも寄らない場所に位置どってチャンピオンをとったこともある。
また前述の「デカに9」で初対面となった緋崎ガンマとは、お互いアッパーなテンションが共鳴。紫宮・緋崎のふざけ合いにツッコんだり、緋崎とともにボケあったりしながらチームを盛り上げていった。結果・過程ともに非常に面白く、さまざまな大会・企画に参加してきた彼女、そして神成のファンにとっても忘れられないチームとなったのだ。
先述したように神成は、如月と同じくeスポーツ観戦が趣味であり、特にFPSの海外チームの対戦も好きだったようだ。動画メディア・Signaterの企画で『Rainbow Six Siege』のレジェンドプレイヤー・Penguと話した彼女は、かつて『Rainbow Six Siege』をプレイしたことに始まり、Penguの現役時代や『Six Invitational 2018』を見ていたこと、当時彼が所属していたチームのグッズを海外から取り寄せていたことまで話している。
『Apex Legends』の公式大会「ALGS」も2020年の初回大会からずっとチェックしているようで、配信中には国内外さまざまなプレイヤー・著名ストリーマーについて話題にあげることもある。
そんな神成が観戦配信をおこなうようになったのは2023年5月『ALGS Split2 Regional Finals』からで、その後は日本チームが参加している「APAC North」にまつわる大会があれば欠かさず観戦配信をおこなっている。本格的に観戦配信をスタートして1年ほどが経つ現在では、徐々に彼女の観戦配信の注目度も高まりつつあるようだ。
先日開催された『Apex Legends Global Series (以下 ALGS) Year4 Split1 Playoffs』の観戦配信では、4日のあいだですこしずつ視聴者数が伸びていき、最終日には1万人を超える視聴者を集めたのだった。
また、さまざまな大会・企画を共にしていることもあってかFNATICやRIDDLEの『Apex Legends』部門に所属する選手とは距離感が近く、神成自身の性格やムードもあいまってお互いに軽口を叩きあう気安い間柄になっているようだ。特にRIDDLE所属のプロ選手・ゆきおとはチームを組んだこともあり、お互いにとんでもない悪口でじゃれ合っている。
国内外のチームをあくまでフラットに応援しつつ、必要以上にネガティブなことは口にしない。その場その場で起こったことを笑って楽しもうというスタンスで観戦を続ける神成の配信は、『Apex Legends』というゲームをスポーツのように楽しめる、まさにeスポーツの精神を感じられる場になっている。
「多くの人を巻き込んで大いに楽しんでいこう」というスタイル・本懐を感じられる神成の観戦配信は、もしかすれば彼女のパーソナリティを大いに感じ取れる配信なのかもしれない。今後も彼女の活動に注目すべきだろう。