YouTubeで1時間超の動画が視聴される理由とは? だいにぐるーぷに聞く

リッチコンテンツを作り続けるためにビジネスモデルを確立

ーーGoogleから2023年6月時点で日本国内でYouTube動画をテレビの画面でみるユーザーが3800万人以上という数値が発表されましたが、大型企画が中心のだいにぐるーぷさんのチャンネルでは動画をテレビで視聴する割合が増えたという傾向はありますか?

飯野太一

飯野太一(以降、飯野):そうですね。増えていますし、視聴時間も長くなっていますね。大型企画を動画にして投稿しているので尺が長く、テレビでみている人が多いのかもしれません。

ーーテレビで見る視聴者が増える前後で、企画や動画の尺など動画作りにおける変化はありましたか?

岩田:あんまりないですね。というのは、スマホやパソコンで見るというデバイスの変化や、空き時間で見るという視聴スタイルの変化は気にする余裕がないというのが正直なところです。ショート全盛期もあまり気にしていなかったですね。

ーーサブチャンネルではショートを取り入れていらっしゃいますが、ショート動画はどのように活用されているのでしょうか。

岩田:メインチャンネルのコンテンツがショート動画向きじゃないということもありますが、サブチャンネルは少し余裕ができたから活用しています。サブチャンネルでは動画を出すごとにその動画の切り抜きみたいなものをショートで投稿するというのを、最近試しているみたいな感じです。

飯野:一時期ショート動画にもチャレンジしていたんですが、チャンネルの特性上、全然伸びなくてやめてしまいました。僕らの視聴者は男性が8割ぐらいで20代が1番多く、その次に30代が続いています。10代が割と少ないので、年齢層は少し高めということも関係しているかもしれません。

ーーコンテンツの内容との相性で、だいぶYouTube ショートの使い方が変わってくるんですね。ずっと作り続けている長尺動画へのこだわりや思いなどはありますか?

岩田:僕らには、見てもらった後にその人の中に何かしら残ってほしい、一本見終わった後にその人の考え方や生活が変わったり、感情が動いたりしてほしいというクリエイターとしての希望があります。誰かの人生を変えるときには、その人の時間をある程度ブロックしないと難しいと思っていて、長尺動画は僕らのこういった考えで作っていますね。短い尺では人間模様やストーリーを描ききれないというのもあります。

ーーこういったたくさんの思いが詰まっているんですね。YouTubeで投稿した大型企画をBlu-rayで販売していらっしゃいますが、このビジネスモデルにはどういった経緯や目的があったのでしょうか?

岩田:僕らがリッチコンテンツに移行するときに、YouTuberがクリエイターとしてちゃんと売れようという目的があったんです。YouTuberがアイドルやタレントとして売れていく道は開拓されていっていますが、YouTuberがクリエイターとして売れていくという道がまだなく、僕らはそこを目指していこうと。

 最初にやろうとしていたのは、だいにぐるーぷがテレビにタレントとして出演するのではなく、テレビ番組など外部コンテンツを作る映像制作会社として発注してもらう状況を作るということでした。発注をもらってコンテンツを制作する場合、コンバージョンや流入が求められるので、僕らが制作予算を預かり、YouTube用のコンテンツを作り、そこから別のメディアにユーザーを送り、そこで発注元に利益を出してもらうという仕組みで話を進めていました。

 この仕組みで1度やってみたところ制約がだいぶ多く、2回目をやろうとなった時に、移動させる先も自分たちで制作した方がいいんじゃないかという話から、僕らがBlu-rayを制作、販売してそこでコンバージョンさせる。これと同じ仕組みを僕らがYouTubeでやり始めたら、メインチャンネルの制作予算が潤沢になり、いまに至ります。

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