新たな登録者1000万人越えYouTuber「はやたく」とは? ブレイクの要因を探る

 体を張った1発ギャグ動画や飯テロ動画などが人気だったYouTubeショートで、最近新たなスターが人気を集めている。そのスターは、ダンボールの小道具でストーリー性のあるコンテンツを投稿している「はやたく」だ。今回は、いま注目の動画クリエイター・はやたくを紹介しながら、YouTubeにおけるショート動画の変遷を辿ってみたい。

 2022年に開設されたYouTubeチャンネル「HAYATAKU はやたく」は、2024年3月にチャンネル登録者数1000万人を達成、現在はその数を1160万人に伸ばすほか、TikTokでもフォロワー数960万人を突破するなど、いま注目のチャンネルだ(2024年4月21日時点)。チャンネルをのぞくと、1億回以上再生されている動画がズラリと並んでおり、その人気さを物語っている。チャンネルを運営するはやたくは以前、アイドルグループ・Hi☆Fiveのメンバーとして活動していた経歴を持つ人物。2022年8月にグループを卒業後、動画クリエイターに転身していたようだ。

 再生数の多い動画をみてみると、ダンボールでつくられたフライドポテトやハンバーガーをはやたくが食べる仕草をすると、まるで本当に平らげたかのように食べ物がどんどん小さく、なくなっていくのがわかる。ダンボールでつくられた食べ物がなくなっていく魔法のような演出には、海外視聴者から反響が殺到。昨年9月の公開以降、再生数は1.6億回以上と脅威的な数字を記録している。

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 プリンセスが出てくる某人気アニメーション映画のパロディ動画では、ダンボールで作られた鍋の中に、ぐつぐつと沸騰したお湯が見事に再現されており、小道具を作るアイデアと技術が相当高いことに驚かされる。この動画の内容は、魔女が手で絞りだした蜘蛛と蛇のエキスで作った毒林檎を使ってプリンセスがジュースを作ると、そのジュースを手渡された魔女が毒林檎で作ったと知らずに飲んでしまい、毒におかされてしまうというもの。わずか1分ほどの動画のなかに描かれたまさかの展開に、日本を含め世界中の視聴者から評価を得ている。

 

 はやたくのショート動画が画期的なのは、1本のショート動画のなかでもしっかりとストーリー性をもたせた展開になっていることだ。先のパロディ動画は、魔女の企みや毒林檎を作る際のワルそうな表情や、なにも知らないプリンセスがジュースを作る健気な様子、ジュースを口にし毒におかされる魔女の姿が、面白くしっかり描かれている。こういったストーリー仕立てのコンテンツは、ショート動画でも言語に縛られないノンバーバル動画のなかでもまだ珍しく、こういった背景がはやたくの人気を後押ししたひとつの要因だと考えられる。

 日本におけるショート動画は、体を張ったちょっぴり過激なチャレンジとオーバーリアクションで世界的人気を集めた「じゅんや.Junya」や「Sagawa/さがわ」の活躍で注目されるようになった。その後、「料理×ASMR×音ハメ×大食い」をテーマにした飯テロ動画でバズを生み出してきたバヤシや、海外で話題になっているネタを検証する動画で人気に火がつき、昨年チャンネル登録者数1000万人を日本最速で到達した「スパイダーメーン」ことヴァンビが、瞬く間にショートクリエイターとしてトップに登り詰めた。

 彼らに共通しているのは、ノンバーバルの短尺動画で世界中で支持を集めている点にある。ノンバーバルのなかでもさまざまなジャンル、テイストが拮抗している状態だが、はやたくのストーリー性のあるコンテンツからは、ショート動画に新たなテイストが加わったことが感じられる。長尺動画ではコメディ動画などで支持されているストーリー性のあるコンテンツは、次々と人気クリエイターやコンテンツが誕生するショート動画の世界で、今後増えていくかもしれない。

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