子どものころ、ゲームをプレイしていて「もしも自分がゲームの世界に入れたら」と想像したことはあるだろうか？　そんな“あのころの夢”を実現させた人物がいる。

　それが海外の動画クリエイター・James Lambert氏だ。彼は『NINTENDO64』をVRモードで動作させるプロジェクト『N64 VR』の成果を公開したのだ。

　同氏は過去にもSteamで人気のアクションパズルゲーム『Portal』の『NINTENDO64』版こと『Protal 64』を開発する（※1）など、ユニークなアイデアを実現することで知られる。

　過去には似た事例として『NINTENDO64』のゲームをVRにてエミュレートしてプレイするといった試みもあったが、ゲーム機そのものをVRで再現したケースは珍しい。

　Lambert氏が開発した『N64 VR』のプロジェクトでは、VRヘッドセットに接続するシステムとして「Oculus SDK」を利用している。本体のセンサーからデータを読み取り、USB経由で『NINTENDO64』へと送信している。映像はHDMIポート経由でやりとりしているようだ。

　Lambert氏は動画の中で、「ずっと使っていない『Oculus SDK』があったから、これとUSBポートを追加した『NINTENDO64』を接続したらどうなるだろうと思ったんだ。それに、リッチなVR体験をうたう『Apple Vision Pro』が登場した時に、真逆の“プア”なVR体験の『N64 VR』を作ったらきっと面白いと思ったんだ」と語っている。

　Lambert氏が作成した『N64 VR』は、予想どおりかなり解像度が低く、頭を動かしてから反応するまでの遅延も大きい。しかし、それでもきちんと動作していることがわかる。ちなみに手袋型のコントローラー「パワーグローブ」との併用を試してみたところ、こちらはうまく動作しなかったようだ。

　Lambert氏は今後も、『N64 VR』プロジェクトのアップデートを公開するとしている。レトロゲームをVRで遊ぶという体験は、なかなか興味深いものだろう。リッチで豪華なVRゲームが増えている昨今だが、“あの頃の夢”は今だからこそ楽しめる、駄菓子屋での大人買い的な意味でリッチな体験かもしれない。

〈Source〉
https://www.youtube.com/watch?v=ha3fDU-1wHk
https://www.timeextension.com/news/2024/03/the-genius-behind-portal-64-gets-vr-working-on-the-n64
※1：https://www.timeextension.com/news/2024/01/dont-be-mad-at-valve-says-dev-behind-dmcad-portal-64-project