『ポケモンレジェンズ Z-A』で問われる“シリーズ2作目”の進化 話題作『パルワールド』との距離感は?
株式会社ポケモンは2月27日、シリーズが誕生した日にちなんで配信された情報番組『Pokémon Presents 2024.2.27』のなかで、新作タイトル『Pokémon LEGENDS Z-A』(以下、『レジェンズ Z-A』)を発売すると明らかにした。
「ポケモンレジェンズ」シリーズの第2作として、同タイトルのシステムに求められる進化とはどのようなものだろうか。前作・話題作との比較から、『レジェンズ Z-A』の具体像に迫る。
「レジェンズ」シリーズ最新作『レジェンズ Z-A』。舞台は『ポケモンX・Y』に登場したミアレシティ
『ポケモンレジェンズZ-A』は、2022年1月にNintendo Switchにて発売となったシリーズのスピンオフ作品『Pokémon LEGENDS アルセウス』(以下、『レジェンズ アルセウス』)の続編にあたるタイトルだ。舞台となるのは、『ポケットモンスター X・Y』(以下、『ポケモンX・Y』)に登場した「ミアレシティ」。プレイヤーは、人とポケモンが共存する街を目指して再開発が進むこの地で、新たな冒険の旅に出かけることになるという。
今回の発表では詳しいゲーム内容が明かされなかったが、前作と同様に疑似オープンワールドでのアクションRPGになると見られる。映像には、近未来を連想させるサイバー空間のなかで躍動する、ピカチュウやギャラドス、ニンフィア、ギルガルド、イワークといったシリーズではおなじみのポケモンたちの姿が描かれていた。
また、ラストカットでは、「メガシンカ」を思わせるシンボルマークも登場。こうした一連の情報から想像できるとおり、『ポケモンX・Y』とは関連性の深いタイトルとなるようだ。「Z-A」というネーミングもまた、そうした性質に着想を得たものだろう。同ナンバリングに思い入れるファンにとっては、期待に胸がおどる新作発表となった。
『レジェンズ Z-A』は2025年に全世界同時発売される予定。対応プラットフォームは、Nintendo Switchのみとなる。界隈ではその発売時期から、「任天堂・次世代機のローンチタイトルになるのではないか」との憶測も広がっている。
前作『レジェンズ アルセウス』の課題を解消し、高みを目指すことができるか
シリーズの新たな試みとして注目を集めた前作『レジェンズ アルセウス』は、広大なフィールドやシームレスなシーン移行、シンボルエンカウントなどがゲーム性の特徴となっていた。こうしたアプローチは、その直前に発売されたナンバリング作品『ポケットモンスター ソード・シールド』(以下、『ポケモン剣盾』)にあったワイルドエリアからのインスピレーションだと言える。ローディングというゲームコンテンツならではの事情を感じさせないことで、同作はそこに広がる世界がまるで現実と地続きな体験であるかのようにプレイヤーに感じさせた。『ポケモン剣盾』の次のナンバリングである『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『ポケモンS・V』)が完全なオープンワールドとなったことからも、シリーズの歴史に対して『レジェンズ アルセウス』が持つ意味は決して小さくないものだと言えるだろう。
その一方で、課題がなかったわけではない。やりこみ要素の作業感や、イレギュラーな行動順、対戦要素の不実装、ゲームバランス/インターフェースの悪さなどだ。これらの欠点とされやすい部分は裏を返せば、「ナンバリングとの住みわけ」「世界観やリアルさを突き詰めた結果」とも考えられるが、ユーザーに好ましく受け止められていないことについては、真摯に向き合っていくべきポイントと言えるのではないか。
また、「どの程度までオープンワールドらしさを追求していくのか」もひとつの注目点であり、落としどころを探らなくてはならない課題だろう。『レジェンズ アルセウス』が発売された当時は、オープンワールドの要素が盛り込まれたシリーズ作品がなく、疑似的なものでも新鮮味があったが、同作や『ポケモンS・V』が世に出た後では、ユーザーの目はより厳しくなっていることが想定される。『ポケモンS・V』では、ハードの性能不足に起因すると見られるプレイアビリティの悪化も糾弾の対象となった。仮に次世代機でのローンチタイトルになるとしても、おそらく現行機であるNintendo Switchとのマルチ展開となるはず。操作感と表現のバランスは模索していく必要があるだろう。万が一、どちらかでも見劣りのするクオリティとなるのであれば、ユーザーからの批判は避けられない可能性もある。
『パルワールド』との距離感にも注目
『レジェンズ アルセウス』は直近、トレンドタイトル『パルワールド』との比較も話題を呼んだ。一部ユーザーの言い分は、「(『レジェンズ アルセウス』の開発元である)ゲームフリークが届けるべきだったのは、『パルワールド』のような体験だったのではないか」というものだ。同タイトルには、パルと呼ばれる不思議な生物たちが、オープンワールド化された過酷な環境のなかで人間とともに共存していく様子が描かれている。一部のキャラクターデザインが「ポケモン」と似通っていたことで、特にシリーズのファンから「パクりゲーム」と糾弾されたが、基本となるゲーム性は、どちらかと言えば、「ARK」シリーズや『Minecraft』といったサバイバルクラフトに分類されるタイトルに着想を得たものだった。
そのような騒動があったなかで、直後に存在が明らかとなった『レジェンズ Z-A』。少なくとも現在は、前作である『レジェンズ アルセウス』以上に、『パルワールド』と比較されてしまう状況がある。進化が求められるなかで、サバイバルクラフトに代表されるその他のサブジャンルと融合を果たすのか、はたまた独自の道筋で新たな世界を表現するのか、この点はファンでなくても注目したいポイントであるだろう。もし前者のような着地を見せるのであれば、界隈を賑わせた「パクリ論争」は新たな展開を見せるかもしれない。
はたして『レジェンズ Z-A』は、これまでシリーズが築き上げてきたオープンワールド化の経験を活かし、ユーザーに素晴らしい体験を届けることができるのか。今後の続報を待ちたい。
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