3Dの『グラブル』世界を駆ける感慨 『GRANBLUE FANTASY: Relink』体験版レビュー

 『GRANBLUE FANTASY: Relink』(以下、リリンク)は、2014年よりスマートフォン向けに配信中のRPG『グランブルーファンタジー』(以下、グラブル)をベースにしたアクションRPGだ。PS5とPS4、PCでそれぞれ2月1日より発売予定の本作だが、現在はそれに先駆けて体験版が配信中(PS5/PS4版のみ)となっている。体験版では、操作の基本を学べる「チュートリアル」、物語を楽しめる「ストーリーモード」、クエストを自由にこなせる「クエストモード」を遊ぶことができたので、本稿ではそのプレイレポートをお届けしよう。

新たな空域、ゼーガ・グランデ空域を舞台にした物語が展開

 本作の舞台となるのは、「ゼーガ・グランデ」と呼ばれる空域。「星の島イスタルシア」を目指して旅をしていた折に行きついたこの西の空で、主人公たちは新たな物語を紡いでいく。ストーリーモードでは、主人公を始めとし、ルリアやビィ、カタリナにラカム、オイゲン、イオ、ロゼッタと、原作でメインクエストの中核を担う人物たちがひととおり登場していた。

 ゼーガ・グランデ空域でくり広げられるストーリーは、原作にはないオリジナルの内容になりそうだ。アプリ版にも「空域」はあるが、現在判明しているのは「ファータ・グランデ」「ナル・グランデ」「アウライ・グランデ」の3つで、少なくともゼーガ・グランデという空域は出てきていない(※まだ訪れていないだけで、後に本編でゼーガ・グランデ空域が出てくる可能性はある)。また、主人公たちを支援する「ローラン」も今作の新キャラクターとなる。

 今回体験できたストーリーはほんの一部で、到着した先の島でゴブリンに襲われた人々を助け出し、最後に敵の親玉を倒すところまで。そもそも描写されていた内容が限られていたために、原作との内容を比較するのは難しいのだが、筆者が触れた範囲ではアプリ版のメインクエストに触れていないとわからないようなセリフなどはない。『グラブル』に触れたことがないプレイヤーでも問題なさそうな印象だった。

 とはいえ、アプリ版の主要なキャラクターは出てくるわけで、さらにイスタルシアを目指すという原作同様の目的があることから、本作は外伝的な立ち位置と言えるだろう。そうなると、彼らがゼーガ・グランデ空域を訪れるのは、原作でいうどのタイミングなのかは気になる。

 あくまで筆者の予想だが、時間軸に関しては少なくとも第3部以降だろう。というのも、操作キャラクターのひとりであるカタリナは、強大な存在である「星晶獣」の1体に数えられる「アレス」を使役している。アレスが出てくるのは、原作で言う第3部の「星の旅人編」であるためだ。カタリナに限らずとも、能力や立ち振る舞いから既存キャラクターの立ち位置や近況は推測できそうだ。

イラストの再現度の高さに加えて、街を巡れるという感慨深さ

 アクションゲームとして再構築されるにあたって、『リリンク』はリアルタイムで動くキャラクターや、爆発を始めとするエフェクトを生かしたカットシーンや映像がよく出てくる。奥行きのある3Dで表現されるにあたり、本作では大迫力のバトルが楽しめる。

 エフェクトも派手だが、個人的にはキャラクターたちの表現や質感が印象的だった。原作ではおなじみと言える、あの筆使いを感じられる手描き感が本作のグラフィックで再現されており、キャラクターたちが原作のイラストの姿で動いていると言ってもいい。

 また、本作で“人間”と呼ばれる4つの種族、ヒューマン、ドラフ、エルーン、ハーヴィンの違いを視覚的に確認できたのもうれしかった。ハーヴィン族は男女ともに身長が低く、主人公の半分にも満たない。ドラフ族は男女で身長差が激しく、男性は2メートル以上あったりするし、逆に女性はその半分くらいしかなかったりする。どれもアプリ版を遊んでいればわかることだが、3Dで表現された本作では、そうしたビジュアル面の違いが非常にわかりやすい。

 クエストモードではひとつの街を自由に動き回れるのだが、裏路地やちょっとした広場を見て回るだけでも感慨深い。アプリ版ではクエストの合間に出てくる1枚絵の左右や奥に、実際は広大な情景やリアルタイムで行き交う人々の生活があるのだとわかる。路地裏は普通の路地裏で、そこまで大きな発見もなかったが、クエストに挑む際に映るグランサイファーの大きさにはとくに驚いた。グランサイファーは主人公たちの乗る船であり、仲間たちを収容するスペースの関係で船体が大きいのは想像していたが、見た限りでは全長100メートルはくだらない。筆者の場合、そうした奥行きのある『グラブル』の世界を噛み締めようと、クエストはそっちのけでしばらく散歩を続けていた。

原作の要素をアクションよりに再構築

 本作はアクションゲームとして、□ボタンや△ボタンを交えた攻撃を基本に、適宜アビリティをくり出すというシステムになっている。R1ボタンを押すと、□や△の通常攻撃や、×ボタンによるジャンプといった各種技が、あらかじめ設定しておいたアビリティに変化。ボタンひとつで攻撃技を切り替え可能になる。シンプルでとっつきやすい構造だ。パーティーメンバーの4人で次々と「奥義」をくり出し、最後に大技で締める「チェインバースト」といった原作要素も盛り込まれている。

プレイヤーはパーティーの先頭にいる人物を操作できる。ラカムやゼタ、ナルメア、ランスロットなど、今回は11人のキャラクターが対象だった

 とくに注目したいのは、キャラクターごとの立ち回りだろう。ターン制のバトルシステムを導入しているアプリ版では、敵味方の位置は固定だったので、リアルタイムでの移動や回避は考慮する必要はなかった。いっぽうで、アクションゲームの『リリンク』ではそこが重要になってくる。

 たとえば、主人公は剣を使った接近戦が主体なので、なるべく敵に近づかなくてはならない。一方、ラカムの場合は得物が銃であり、遠距離からの射撃が主体になる。長射程の銃を至近距離で撃っていては、持ち味の射程を生かせない。キャラクターが使う武器によって、動き方や戦術をリアルタイムで変えていく必要があるわけだ。アプリ版でも『リリンク』でも、作中で描かれているのは同じ『グラブル』のバトルなのに、システムが違うと気にするところがこうも変わってくるという点は、当たり前ではあるが斬新だった。

 アクション向けに再構築されているとはいえ、操作可能なキャラクターには原作の要素も多い。魔法使いのイオなら、「魔力の渦Lv」を上げて強烈なチャージ攻撃を放てるほか、ナルメアなら「源氏の構え」と「神楽の構え」を切り替えつつ戦う。アプリ版から引き継がれたキャラクターが、『リリンク』でどのように戦うのかを確かめるのもおもしろかった。

 『リリンク』の存在が発表されたのは2016年。アクションゲームに強いゲームメーカーのプラチナゲームズと結んでいた開発契約の終了や、『リリンク』自体にかけている開発期間の長さから、企画の凍結や中止が懸念される時期もあったが、8年近い年月を経てとうとう発売を迎えることになる。ターン制RPGであるアプリ版から世界観やキャラクターといった設定面は引き継ぎつつ、本作はリアルタイムでバトルが楽しめるアクションゲームとして、キャラクターごとの立ち回りなどを再構築している。アプリ版を長く遊んできた筆者からしても、製品版が楽しみになる出来だ。

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