解散したVTuberグループの“その後の物語” 再びスポットを浴びる3人に注目
年を経るごとにキレもノリも増していくハイテンションガール、天鬼ぷるる
つづいて紹介するのは、ZERO Project2期生として活動していた天鬼ぷるるだ。
彼女はオーディションを通じて特別審査員賞を受賞し、デビューを果たした。
2021年2月19日に初配信を迎えた彼女だが、じつはデビュー前に作詞・作曲・編曲に歌唱まで担った楽曲「ぱいなっぷるる」をYouTubeに投稿している。
当時は『Apex Legends』などのFPSゲームをプレイしつつ、「マシュマロ(匿名メッセージサービス)」を通して送られてくるリスナーからの質問を切って切って切りまくる、そんな雑談配信もおこなっており、人気を博していた
当時の配信を見返してみると、いまとあまり変わりのない独特の口調/言葉遣いで話す彼女の姿がある。強いて違いをあげれば、今よりも声色が多少低く、よりハッキリと話していること。変わらぬ高いテンションで周囲を盛り上げてみたり、同期・先輩と同席した際に率先して場をまとめてみたりと、その存在感を光らせていた。
現在の彼女といえば、その口調だけでなく、彼女の趣味・嗜好も話題にあがりやすい。
配信途中に「換気する!」と言って席を外すことがあったり、やけにタバコの知識に詳しかったりと、「もしかして彼女はタバコを吸っているのでは?」という噂ウワサがストリーマーやリスナーの間で話題になった。それに合わせ、のちに所属することとなるeスポーツチーム・REJECTから「換気スウェット」なるオリジナルのアパレルが発売されている。
家族含めてお酒好きで、「夏になると大変。冷たい飲み物がお酒しか無いから!」「(好きなお酒は?)ストロングゼロ!ハッピーになれるからね!コスパが良いし毎日飲んでる!」と笑って話している。
普段の会話内容や口調、明るい性格もあって「おバカキャラ」のように受け取られそうになるが、ZERO Project所属時代から周囲の空気に合わせて意見をあげたり、優しい言葉をかけたりする姿がたびたび見られる。、リスナーのネガティブな言葉にも「でもそれってさ……」とアドバイスや前向きな視点を提示することもしばしば。
本人はそういった素振りをみせないようにしているが、機転の利いた言動とのギャップに“素の天鬼ぷるる”がみえてきそうだ。
それまではYouTubeを中心に活動していた彼女だが、2021年11月からはTwitchでの配信にシフトしていくようになり、Twitchでの活動があることで様々なストリーマーと繋がりを持てるようになった。
ZETA DIVISIONに所属する人気ストリーマー・k4sen、『Apex Legends』で名を馳せていたプレイヤー・Tempplexと共にZERO Projectが主催した『Apex Legends』の大会でチームを結成、大会に臨んだことはターニングポイントになるかもしれない。
初めての交流であったが、大会を通してゲームを共にプレイし、k4senに自身・同期の個性を見せた一夜となった。
ZERO Project解散後は個人VTuberとして活動することを選び、本格的にTwitchでの活動を続けていくことに。2022年後半の時期は赤見かるび、猫麦とろろ、濃いめのあかりん(現:夢野あかり)など女性のVTuberに人気が集まっており、ぷるるにも徐々に注目があつまっていくこととなる。そうしたなかで、ぷるるの濃厚かつ強烈なキャラクターに興味を持ったストリーマーらとさまざまなコラボ配信をするようになった。
そんな彼女は、2023年に入って大きな脚光を浴びるようになる。そのきっかけは、タクティカルFPSタイトルの『Project F』だ。
日頃から親交のあったストリーマー・けんきが制作したゲームということもあり、彼とその周囲のストリーマーたちが一斉にプレイしはじめ、同タイトルは一時かなり流行していた。もちろん、ぷるるも配信をともにし、さらに注目を集めるようになった。
その後、2023年8月にeスポーツチーム・Crazy Raccoonが『Crazy Raccoon Cup Project F』として大会を開催。ぷるるも出場し、k4senやボドカ、VTuberの渋谷ハル、兎咲ミミといった人気ストリーマー/VTuberたちとチームを結成。関西出身のボドカが思わず苦笑いを浮かべてしまうほどの圧倒的なハイテンションぶりでチームを盛り上げ、チームの優勝にも貢献した。
その直後にはREJECTが主催する『ストリートファイター6』の大会『REJECT FIGHT NIGHT ROUND2』にも参加、同時にeスポーツチーム・REJECTに加入したことが発表された。
同大会では格闘ゲーマー・梅原大吾を筆頭に、日頃から仲の良かったストリーマーのけんき、たいじ、VTuberの乾伸一郎らと共に出場。出場に合わせ、REJECTに所属する格闘ゲームのストリーマー・ハイタニとのコーチ企画に出演するようになると、その成長とともに彼女自身のキャラクターは格闘ゲームシーンにも広まっていくこととなった。
以前に比べるとよりムシャムシャとした発音で、よりハイテンションかつしゃべくりスタイルで配信をするようになっており、強烈な個性をもつ盛り上げ役/イジられ役な一面でストリーマーやリスナーらに受け入れられるようになっていた。その変わりようには、元同期である宙星ぱるも「そんな話し方だったっけ?」と思わず尋ねてしまうほど。
以前には関わることのなかったような面々とつながりを持てたことで陽の目を浴び、それまでとは別シーンの事務所に加入することになった天鬼ぷるる。個人VTuberとして活動をスタートして約1年での躍進は、栄転と言っても過言ではないかもしれない。
彼女は口癖のように「いやぁハッピーだねぇ!」と口にし、ネガティブな言葉が挟まってもハイトーン&陽気なムードで吹き飛ばそうとする。パっと光り輝くようなイメージがある彼女だが、今後他を圧倒するかのようなキャラクターで存在を知らしめていくはずだ。