「TikTokで人気の子」を「雑誌の表紙を飾っている子」に変える seju・上田悠一郎とGROVE・北島惇起が語る“インフルエンサーがグラビアに挑戦する意義”

seju・上田悠一郎×GROVE・北島惇起対談

何者かになることへの第一歩は踏み出しやすくなった

――グラビアについては、度々是非が問われることもあるかと思います。それでも、グラビアの仕事をすることは芸能界の一歩として大きいものですか?

上田:僕の主観ですが、自分の名を売ることができる、何者かになることへの第一歩は、踏み出しやすくなったように思えます。だから芸能界を目指す人も増えたように感じますね。そのなかで、媒体の数や出方はバリエーションに富んでいてもいいし、グラビアも正しいアクションの一つだと考えています。昔はどの業界もコンプライアンスが甘いところがあったような気がしています。いまは現場の方たちもきちんとコンプライアンスを遵守した上で良いものづくりをしているように感じています。だから僕には、クリエイティブとしてのグラビアがすごくいいものだという認識があります。グラビアは女の子を可愛く世の中に発信していって、まだ知らなかった人に知ってもらうものとして正しいと思っています。

――一方で、所属タレントさんを守るという意味で一線を引いている部分があれば教えてください。

上田:ここは守るというよりは、需要と供給になると思っています。現代ではSNSが市場調査の場にもなり、タレントがどういうファン層を抱えているかを素人目線でも知ることができる時代になりました。だから同性のカリスマ的な子に、異性ファンにそこまでアプローチをしなくていいと思うし、そこはなによりも本人の気持ちを優先したいですね。僕は、グラビアは限られた人にしかできないものだと思っています。だから、そこに選ばれし人に適正があるのならやってほしいと思う。そうじゃない子に無理やりやらせるのは、大人としても事務所としても違うし、なによりもビジネス目線で違うと思います。需要がない子に、わざわざやらせても何の意味もありませんので。いろんなタレントがいるからこそ多様性があるし、一人ひとりに合わせた戦略を取るのが大事です。タレントの子にとってのいい出方というのを、僕らがこだわってあげるべきだと。そこに一線は引いています。

――所属タレントの方で、グラビアの仕事をきっかけにマインドセットに変化があった方はいますか?

上田:結構いますね。sejuでグラビアの仕事をしている子は、もともと芸能志向が強くて女優になりたかった子と、逆にあまり芸能知見がないのにSNSでバズっちゃった子の二軸になります。後者の子にとってはグラビアが芸能の第一歩になるので、たくさんのスタッフに支えられて作品が出来るということを現場で知り、仕事としての自覚が芽生えています。あとは、グラビアに載ることは、そんなに簡単なことではないんですよね。いろんなタレントを営業しても全然紙面に載せることなどできないし、表紙なんて本当に限られた子しかできません。それにも関わらず、周りの人は「自分はやらないけれど、簡単にできるからやっているのでは」というスタンスがあるんです。そうじゃなくて、「簡単にできないんだよ」と思うのですが。いざやっている子は楽しいし反響も大きいので、「私はタレントなんだ」という意識が持てると思いますね。

芸能経験がクリエイター事務所運営のプラスに

――北島さんは元々芸能事務所で仕事をしていましたが、いまのsejuのプロモーションにご自身の芸能経験が生きていると感じることはありますか?

北島惇起

北島惇起(以下、北島):プロモーションという観点では、ほぼないですね。でも、GROVEのなかで僕の経験が活きているなと思うところはあります。GROVEは2014年からクリエイターマネジメントとしてスタートしました。ちょうどBitStar ProductionさんやVAZさんのようなデジタルのタレント・インフルエンサーなどのマネジメントプロダクションが立ち上がった時期です。しかし、どの会社もスタートアップという形で立ち上げてきたために、マスメディアを含めた、芸能の事業主の方からは、“村”が違うということで距離を空けられていました。そんな状況のなか、かつて僕がワタナベエンターテインメントさんに所属していたことで「北島のところはきちんと芸能として頑張っている」と認めてもらいやすかった。そこはすごくプラスに働きました。

――そんな経験があったのですね。

北島:どういう出身の人たちなのかという部分で、だいぶ値踏みされる世界かもしれません。そういうときに、理解をいただけたことが良かったと思っています。

――改めて、スタートアップと古き良き大手企業の人たちが、いい関係でものづくりをできたらとは考えますか。

北島:それはもちろん考えます。でも、そんなことは言っていられない時代になったというイメージですね。ここ1年で感じるのは、両者の間の垣根がなくなってきたということ。それは、彼らがこちら側に活路を見出していることの現れだと思います。芸能とかSNS、インターネットというそれぞれの垣根が、すでになくなりつつあるんです。そんなことよりも日本の不況に備えて、なりふりかまわずやっていかなければいけないというマインドになったと感じます。

――前回のインタビューで上田さんは、sejuのタレントたちにSNS以外の活躍の場を増やしたいとおっしゃっていましたが、いままさにそうなってきていますね。手応えはいかがですか?

上田:前回に比べると実現しつつあるけれど、長い先を目指しているので、まだまだの部分もあります。

北島:それこそ、一歩一歩着実に前進していると思います。でも、勝ち残るということを考えたときに、僕らの実力ではまだまだ弱い。先を見据えてやらなければいけないことがたくさんありますね。

――前回は、自社のタレントさんを使ったコンテンツの話も出ていましたね。

北島:そういうのも事務所が持てる武器の一つになるかと思います。

上田:今後、改革していきたい部分がまさにそれです。タレントエージェンシーとなると、キャスティングされることがメインになる。しかしそこはイニシアチブを握れない部分でもあるので、“大いなる力”を持つことにはなりません。どちらかといったらお芝居の舞台やSNSのウェブコンテンツみたいな自社コンテンツを持つことに頭を使うべきだし、そこを改革しなければと思っています。

■sejuについて
新しい時代の「可愛い」を作り出すプロダクションです。SNS・マスメディアという領域に捉われないタレントのマネジメント・プロデュースを行い、オンラインから現実世界まで多くの人に愛される「時代」のアイコンを創出していきます。
URL:https://seju.tokyo/

■GROVE株式会社について
インフルエンサーやモデル、女優など、幅広く多彩なクリエイターが所属するプロダクション。クリエイターを活用したメディアプロモーションを主業とし、Web動画制作、SNSアカウント運用、クリエイターマネジメント、ファンビジネス及びグッズ販売事業などを展開しています。2020年1月よりAnyMind Groupの子会社となりました。
URL:https://grove.tokyo/

<会社概要>
会社名  :GROVE株式会社
所在地  :東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー31階
代表者  :代表取締役社長 北島 惇起
設立   :2012年7月
事業内容 :インフルエンサーマーケティング事業、タレントプロダクション事業 等

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