『ドラクエモンスターズ3』は“22年越し”の期待に応えられたのか
ピサロ視点での『DQ4』の物語には、ファンの気持ちをくすぐるポイントも
一方のシナリオ面には、「『ドラクエ4』のアナザーストーリー」という触れ込みが期待させるとおり、過去の「ドラクエモンスターズ」にはない、ドラマティックさの片鱗のようなものを感じさせられた。『ドラクエ4』で勇者目線から描かれていた物語を、ピサロの側から体験できる点に、同作のファンは特別な感慨を持ったはずだ。
「ピサロの手先」「おおめだま」「ピサロナイト」との出会いはその一例。彼らはそれぞれ「ムジャラー」「メダリカ」「パーシヴァル」という名で、『ドラクエモンスターズ3』に登場する。『ドラクエ4』の1章や5章でボスキャラとして勇者たちの前に立ちはだかった彼らがどのようにしてピサロとの絆を強くしていったのかが、『ドラクエモンスターズ3』には詳しく描かれている。その点こそが、同タイトルのシナリオの1番の見どころであると言えるのではないか。
反面、そのような背景のない『ドラクエモンスターズ3』オリジナルの物語部分には、心理描写や経緯の説明の不足が目立った。制作側が見せたいものの存在は各所で感じ取れるからこそ、そこに歯がゆさを感じたプレイヤーも多くいただろう。「なぜピサロは父・ランディオルに特別な復讐の心を燃やしていくのか」「ピサロとロザリーはどのようにして惹かれ合っていったのか」「敵対する登場人物たちが抱いていた感情は」。こうした点が深く描かれていれば、プレイヤーにとってより素晴らしい最新作となったに違いない。
SNSなどで『ドラクエモンスターズ3』の感想・評価などを探すと、UIやダウンロードコンテンツなどへの批判も見られる。プレイヤーの期待に十分に応えたと言えるシステム/シナリオを備えていなかったからこそ、そうした声がより大きくなってしまっている部分もあるのだろう。
ファンが22年間温め続けてきた期待に応えるには、少し足りなかった『ドラクエモンスターズ3』。まだ見ぬ次作ではぜひ、名誉の挽回を達成してほしい。
© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
© SUGIYAMA KOBO
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