冬の『Vket』開幕、『銀魂』と『Quest 3』のコラボ――師走の盛り上がりを見せるVR業界

師走の盛り上がりを見せるVR業界

『Meta Quest 3』は『銀魂』も巻き込んで普及を狙う

 Metaはどうやら日本国内にも本腰を入れてVRヘッドセットを普及させたいようだ。10月に発売された新型機種『Meta Quest 3』の宣伝として、TVアニメ『銀魂』とのコラボCMを発表したのである。

TVアニメ「銀魂」× Meta Quest 3 コラボCM「新八の眼鏡がリニューアル…!?」

 言わずと知れた『週刊少年ジャンプ』の人気作品と『Meta Quest 3』のコラボレーション。アニメ版でVRゲームが登場した回はあったものの、予想外の組み合わせに筆者も驚きを隠せなかった。しかも映像は完全新規で制作されたものとのことで、かなり力の入ったプロモーションとなっている。

 内容についても、志村新八がメガネ代わりに『Meta Quest 3』を装着したり、万事屋(よろずや)の面々が『サンバDEアミーゴ:バーチャルパーティ』で遊んだりと、『Meta Quest 3』の特性をしっかり押さえてPRをしている。「企業案件を(お金ほしさに)喜んで受ける」という流れも実に『銀魂』らしい。

 『Meta Quest 3』の国内向けPR施策では、少し前に『【推しの子】』とのコラボレーションも実施している。しかし、単価7万円超の『Meta Quest 3』は、安価な『Meta Quest 2』と比べれば、少し手が届きにくい代物ではある。国内で人気のIPを巻き込んで、さらなる販路拡大を狙いたい、という思惑だろうか。

『Steam Link』が「Meta Quest」シリーズに解禁 新しい『VIVEトラッカー』も発表

 「Meta Quest」シリーズには新たな便利アプリも登場した。『Steam』のゲームをPCから他デバイスへストリーミングできる『Steam Link』である。通常のゲームを『Meta Quest 2』や『Meta Quest 3』で遊ぶこともできる上に、VRゲームもストリーミングできるようになった。

 もともと、「Meta Quest」シリーズには「Quest Link(有線接続)」や「Air Link(無線接続)」という公式機能や、有料アプリ『Virtual Desktop』といった、「PCVRコンテンツをMeta Quest上で遊ぶ手段」がいくつか存在した。『Steam Link』はその新たな選択肢となるが、無料かつ接続が非常にかんたん、画質も良好な部類、とバランスに優れた性能となっている。

 これからVRヘッドセットを入手したいという人で、『Virtual Desktop』を買うほどでないと考える場合には、かなりアリな選択肢だろう。なにより『Steam』がMetaと本格的に手を組むような動きは、目を見張るものがある。

 もうひとつ、VR業界に注目したいニューカマーが現れた。HTC社による新型フルボディトラッキングデバイス『VIVEトラッカー(Ultimate)』だ。

Full-Body Tracking in Standalone VR: VIVE Ultimate Tracker

 腰や手足に装着し、身体の動きをVRアプリへ反映させる定番デバイス「VIVEトラッカー」の系譜にある新型機種で、外部センサーを要する従来機種と異なり、トラッカー本体搭載のカメラでトラッキングをおこなう。外部センサーは不要で、本体サイズも少しスリムになった。

 稼働時間も最大7時間と、従来の「VIVEトラッカー」並み。これでトラッキング性能もよければ、既存ユーザーの移行先として悪くない選択肢となるだろう。とはいえ、最初は『VIVE XR Elite』や『VIVE Focus 3』といった、ややニッチなHTC製HMDとの対応が先行し、他機種などへの対応は先になると発表されている。価格も1つ31,000円、フルセット91,900円とだいぶ値が張る。多くの人にとっては、すぐに手を出さなくてもよいものになりそうだが、新たな選択肢として活躍は期待できるかもしれない。

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