VRChat「有料サブスク」導入でメタバース経済圏は本格化? 識者が徹底解説

プラットフォーム税って回避できないの? メタバースの命運を握るのは「Apple vs Epic 訴訟」か

 VRChatの手数料はともかく、配信プラットフォーム(Steam, Meta, Google Play, etc)の手数料30%(通称:プラットフォーム税)が大きすぎるのでは、という声も上がっていました。

 とはいえ、配信プラットフォームがないとアプリケーションを広くユーザーに届けることはできません。お互いにwin-winな関係にしないといけないので非常に難しい所ですね。

 これに関連する重要な話として、「Fortnite(フォートナイト)」を手掛けるEpic Gamesが、AppleがApp Storeで適用している30%の手数料(通称Apple税)は不当だとして独占禁止法違反で提訴しています。係争中はアプリ内で外部決済へ誘導してApple税は回避できるみたいですが、当然Appleは徹底抗戦の構え。この訴訟の行方が今後のメタバースにおけるプラットフォーム税の方向性を左右しそうで見逃せません(※4)。

アバターの「商用利用」で起こるトラブルが懸念?

 また、VRChatでクリエイターの経済活動が解禁されると、3Dアセットの規約上の「商用利用」でトラブルが続出する懸念もあります。最もイメージしやすいのはアバターや衣装などです。

 現状、各アセットの制作者さんがそれぞれ独自に規約を決めているケースが多いですが、今後広まっていくクリエイターエコノミーのような利用方法は、従来の規約であまり想定されてないことも多く、無限にエッジケースが考えられます。また、従来の規約だと事実上クリエイターエコノミー時代のVRChatでは利用が非常に制限されてしまい、ほとんど使えない、ということもありえます。

 どこからが「商用利用」に当たるかというのは、実際は意外と判断が難しいです。規約を読んでも簡単に判断できないケースもものすごく多く、解釈の違いで起こる悲しいトラブルもよく目撃します。今後経済活動を行う可能性のあるクリエイターさんは、ぜひ今のうちに使ってるアセットの権利を確認しておきましょう。必要に応じて制作者さんに問い合わせをしておくと良いかもしれません。

フェーズは「メタバースで生きていく」第二章へ

 良くも悪くも、全て無収益で圧倒的クオリティのイベントが行われていた牧歌的なVRChatの世界はこれで少しづつ変わっていくでしょう。もちろんこれまでと同じく無償のイベントも活況に続いていくと思いますが、徐々にイベント収益だけで食べていくクリエイターも増え、企業もどんどん参戦してくると考えられます。真の意味で「メタバースで生きていく」、メタバース第2章が始まります。

 覚悟はいいか? 私はできてる。

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