月に2000万円以上商品が売れることも トップコマーサーが語る“ライブコマースの世界”
SNSなどの配信を通じて、商品をアピールしながら販売するライブコマース。中国で数十兆円にも及ぶその市場の波は、日本にも訪れている。2017年に日本で登場し、Yahoo!や楽天が1度撤退したライブコマースの市場は、どのような盛り上がりを見せているのだろうか。
ライブコマースの黎明期から活動を始め、現在トップコマーサーとして活動しているkanaさんに、そのビジネスと歩んできた道のりについて話を聞いた。
1回の配信で1000個以上売れることも ライブコマースの可能性
ーーライブコマースについて、改めてお聞きしたいのですが、どのように商品の販売をしているのでしょうか?
kana:基本的には2パターンあります。まず、企業様から依頼があって、その商品を弊社のチャンネルで紹介するパターンです。2つめが、もともと私が取り組んでいた方法ですが、自分もしくは自社で商品を購入して、在庫を持った上で、ライブ配信で紹介するパターンです。
ーーなるほど。ライブ配信は、どのプラットフォームで実施しているのでしょうか。
kana:ライブ配信は、自社のサイトだったり、SNSだったりと色々なプラットフォームで行っています。現在はアルゴリズムの関係でおすすめにピックアップされやすいため、主にTikTokで配信しています。流入してくれる方が多いんですよね。
ーー配信を観ている方はどんな層が多いのでしょうか? また、1回の配信で集まる人数が気になります。
kana:現在、私の配信では、同時接続数が平均で200人〜300人、1番多い時で1200人の方にリアルタイムで観ていただいています。総視聴数は、大体1万人くらいです。また、配信に参加してくれる人の年齢層も高めで、35歳から54歳までの年齢層が67%です。夜、仕事から帰った後に夫婦で観てくれる方もいます。
ーー同時接続数が200〜300人だと商品を売るのに苦労しそうですが……。
kana:よくそう思われます(笑)。インフルエンサーさんの配信と比較すると視聴者の数はそれほど多くはないです。
ただ、商品をご購入いただく数は多いです。扱う商品にもよりますが、深夜の2時にチョコレートが1000個売れたこともあります。
ーー1000個……! もし差し支えなければ、1回の配信の売上額を教えていただけませんでしょうか?
kana:1回の配信で平均150万ほどの売上ですね。
ーーそれだけの売上を上げると、商品を製造している企業も驚くのではないでしょうか?
kana:ライブ配信中にどれだけ商品が売れるのか十分に理解を得られていないケースが多くて。どうしてもこちらが用意してほしい商品の数量とギャップが出る場合もあります。例えば、企業やメーカーさんから通常は10個しか売れないから、少し多めに見積もって15個用意しますと言われて、実際にライブコマースではもっと売れるので100個用意してくださいと交渉することも多いです。
ーー商品をライブコマースで販売する際に、工夫している点を教えてください。
kana:おすすめできる商品しか販売しませんし、デメリットも正直に説明します。もし、自分が心からおすすめすることができない商品の場合、企業様からのオファーをお断りする場合もあります。
また、配信するプラットフォームで、商品の購入方法が異なるので、その部分で迷わないように毎回説明することも注意しているポイントですね。
ーーちなみに、リピート率はどのくらいなのでしょうか?
kana:リピート購入率の割合は多くて、10月に購入した人が10月に再度購入した率は約58%です。以前に購入してよかったから、また購入するという方も多くて。信頼でお客様がついてくれるのが、ライブコマースのいいところだと思います。
ーー売上や販売数を重視している点は、インフルエンサーマーケティングと異なりますね。
kana:似ていると思われがちなんですけど、ライブコマースとインフルエンサーマーケティングはまったく別物だと思っています。以前に、私もSNSマーケティングのお仕事をしていた時期もあるのですが、インフルエンサーさんにはインフルエンサーさんの世界観があるので、その世界観と商品がマッチしないと実購買に繋がりにくいです。
ライブコマースの場合、商品の紹介や販売を目的にしていますし、こちらもいいと思うものを売ろうと思って配信しています。私も「個人アカウントのフォロワーは3000人しかいないけど、月に1000万円売れるとカッコいいよね」という気持ちで、活動しています。