6年半の歴史に幕を下ろす『シノアリス』 異例の“終わり方”が持つ意味を考える
10月26日、『SINoALICE-シノアリス-』(以下、『シノアリス』)公式は、2024年1月15日12時をもってサービスを終了すると発表した。ともない、2023年12月26日からクローズまでの約3週間ほどを「エンディングプレイ期間」とし、エンディングに関わるアップデートを行う予定だという。
基本プレイ無料・アイテム課金型のゲームでは異例とも言える、最終アップデートの実施を経てのサービス終了。かつて一世を風靡した大作の、いろいろな意味で思いがけないアナウンスは、ゲーム界隈を駆け巡った。
今回の公式の発表と対応は、取り巻く経済に何をもたらしたのか。一連の動きの意義を考える。
「NieR」シリーズのタッグによって生み出された陰鬱な世界観を持つRPG『シノアリス』
『シノアリス』は、スクウェア・エニックスとポケラボが共同で企画・運営するモバイル向けRPGだ。プレイヤーは、あらゆる場所が本で埋め尽くされた世界「ライブラリ」を舞台に「キャラクターズ」と呼ばれる本の登場人物たちが作者を蘇らせるため、ほかのキャラクターズと殺し合う物語を追体験していく。キャッチコピーは「それは最悪の『物語』」。「NieR」シリーズでおなじみのヨコオタロウ氏(ディレクター)、岡部啓一氏(音楽)のタッグによって演出される陰鬱としたゲームデザインが特徴の作品だ。
『シノアリス』は2017年6月にサービスを開始し、2023年で6周年を迎えた。リリース直後には、アクセス過多によるサーバーダウンを経験。順風満帆なスタートとは言えなかったものの、同月末にはAppStoreのセールスランキングで1位を獲得した。
これまでにAndroid/iOS版のほか、DMM GAMES版、海外向けブラウザ版も配信されている。PC版については、先立つ2023年12月26日にサービスを終了する予定。マンガや小説など、さまざまなメディアミックスも行われた、モバイルゲーム有数の成功作品がその歴史に幕を下ろすことになった。