連載:エンタメトップランナーの楽屋(第八回)

媒体や時代を問わず“面白さ”を追求する方法 FIREBUG 佐藤詳悟×放送作家 高須光聖対談

アイデアを棺桶まで持って死ねない

ーー鈴木おさむさんが放送作家を引退されることを発表されましたが、それについてはどう思いますか?

高須:ちょうどさっきも電話で話してたんですよ。まだ彼は僕よりは若いし、なにかやりたいことが見つかったんじゃないかな。ずっと面白いことを考え続けるんだろうなと思います。生き方が変わるわけじゃなく、放送作家という職業をただ辞めるだけですから。

 僕は幸運にも今やってる番組が全部楽しくて、本当に好きだから、まだテレビをやらせてもらってますけど、僕の仕事全体の割合で見るとテレビの仕事は実は現状6割くらいなんです。

佐藤:「10年後にもお笑いをやっていたい」と20代のときに思っていたというお話をされていましたが、高須さんはいまも新しいものを生み出し続けていますよね。長年走り続けてきて、老いを感じることはありませんか?

高須:めちゃくちゃ感じますよ! 考えるスピードは落ちているだろうし、イメージを広げる力も落ちていると思います。でも、いまもやりたいことが、いっぱいあるから、辞められないんです。

佐藤:まだそんなにやりたいことがあるんですか。

高須:ありますね。年齢も年齢なんで、どれを先にやっていくべきか考えてばかりですよ。テレビの企画はもちろんのこと、新しいサービスや商品を作ったり、企業さんや商社さんを巻き込んで一緒に作っているものもあります。

 テレビとはまた違う感じで、世の中の空気を感じ取りながら、ちょっと面白い仕掛けを入れ込んでいく。そうしたアイデアを理解してもらえて、面白いと言ってもらえたら、じゃあ一緒にやりましょうと進めていくことができる。いまは自分のやりたいことがテレビに限らず、枠組みを超えて、世の中自体まで広がっています。

ーー高須さんにとって、放送作家を続けるモチベーションはなんですか?

高須:せっかく頭に企画が浮かんだんだから、それを棺桶まで持って死ぬのは嫌だなと思うだけですね。放送作家の仕事って、企画を大勢で24時間考えても面白くなければ意味がないし、誰かが1分で考えたものが採用されることもある。だから、アイデアってすごいと思いますね。

 アイデア一つで全てを塗り替えられたり、たくさんの人をごぼう抜きできたりする。思いついたアイデアにその可能性があって、誰かから「それ面白いっすね」と言ってもらえるなら、まだまだ作っていきたいなと思いますね。

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