小説家・古宮九時が語る“FF14愛”「創作者の憧れの形」 光の戦士と運営の絆は“唯一無二”
開発陣が思う「おもしろい」を出してほしい
――『FF14』は今年で10周年を迎えました。1人のプレイヤーとして、どのような思いがありますか。
古宮:10周年というのはプレイヤーが一生懸命遊んでいたということもありますが、そのプレイヤーに対して真摯にあり続けた運営のたまものだと思っています。どうしてもプレイヤーを信じられなくなるとき、瞬間っていうのはあると思うんですよ。いまでもジョブ調整などは、ちょっと荒れたりしますよね。でも、プロデューサーレターLIVE(※)などを通じて事細かに、我慢強く、とにかく運営の意図を説明し続けてくれたことは本当に大きいと思います。
人が世の中で「なんでこうなの」という不満を抱くとき、その理由を知らないことが要因なことはかなり多いと思っているんですが、『FF14』はいろいろなことの理由を全部運営がきちんと説明していくんです。ユーザーのなかにはそれでも文句を言う方もいらっしゃいますし、逆に「ちょっと待ってみるよ」という方も多い。リアルでも10年が経過しているので、良くも悪くもと言いますか(笑)、大人のゲームになっているなという印象がありますね。運営とプレイヤーが相互にコミュニケーションを続けてきた結果ですし、この関係性はほかのゲームが一朝一夕で手に入れることは不可能で、唯一無二だと思っています。
※吉田P/Dが自ら出演し、アップデートや新規コンテンツなどについて紹介・説明する生放送番組。
――これからの『FF14』に期待したいことを教えてください。
古宮:忌憚なく言わせていただけるなら、そのままでいてほしいと思います。「こうしてほしい」「ああしてほしい」という声はたくさんあると思いますが、それを聞きながらも、それにおもねることがないようにしてほしいです。開発陣が「おもしろい」と思うものを出してきていただきたいなと。我々はそれを受け取らせていただくことが喜びなんです。私は、私のすでに知ってる物語をみたいわけではなくて、「これいま人気だよね」という作品をやりたいわけでもない。そうではなくて新しい、「これがいいでしょう!」という制作者のこだわりが見えるものを受け取りたいんです。当然、私が言うまでもなく分かっていらっしゃることだと思うんですが、多くのプレイヤーを抱えるゲームである以上、商業的に無視できないところもあると思います。でも、必要以上に折れてしまうことなく、そのままでいてほしいなと思っています。
たとえば、『暁月』はそれまで悪役だと思っていた人たちのバックボーンが明かされるという内容でした。過去にいろいろなストーリーがあったなかでも、あそこまで主人公が当事者性を持って、悪役だったキャラの過去に食い込んで体験することはなかったと思うんですよ。下手すると自分が悪い側に回るっていう形ですから。(『漆黒』でラスボスだった)エメトセルクのキャラが良いのはもちろんですが、パーティーのサポートメンバーのような扱いとなって、『暁月』ではずっと寄り添って助言をしてくれましたよね。道中で話しかけるとすごい重要事項を教えてくれましたし、「ずっとその調子でいてよ」って(笑)。こういうアイディアも含め、そのままでいてほしいなと思います。
――では最後に、『FF14』を開発・運営する方々への思いを教えてください。
古宮:開発している方は、健康第一でいてほしいです。ご自身の心身の健康が1番ですし、それを優先していただきたいです。これはすべての創作者、エンターテインメントに関わる人たちに共通するのですが、「健康より大事なものはない」と思います。「新生祭」のレターツリーも読みましたが、1つの作品を長く皆さんで作ってきて、プレイヤーのことをすごく想ってくださっていることは本当に伝わってくるんです。でも、それと同じぐらいに、プレイヤーも開発陣の皆さんに元気でいてほしいって思っています。苦しいこともあると思いますが、日々ご自分が楽しいな、いいなと思うものを作っていってくださればと思っています。
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