限定版ゲームボーイに10万円の値札も 中古販売の現場から見たレトロゲーム市場の“いま”

中古販売の現場から見たレトロゲーム市場の“いま”

買取の中で出会った“奇跡的”な美品 「もはや『遊んでいたのか?』と思うほど」

 

――では、ブックオフさんでのレトロゲーム買取において重視しているポイントや、求めているものの傾向があれば教えてください。

稲森:求めているものと言われると……もう全部、なんでもですね(笑)。そのなかでお客様が持ってきていただいて、高額になるチャンスがあるとすれば、先ほども話に出ていたような、箱と説明書が全部揃っていて、綺麗な状態のソフト。その条件が揃っていれば、「ドラゴンクエスト」シリーズや「マリオ」シリーズのような流通量の多いものでも、ある程度高い値段がつくことが多いです。

 そして、もしあまり流通していないタイトルだとすれば、とんでもない値段になることもあります。なので、状態の良いレトロゲームが家にあるという方は、ぜひ一度店舗まで持ってきていただきたいなと思います。

――やや突っ込んだ話にはなりますが、商品の査定は現場の判断に委ねられるところも大きいのですか?

稲森:本部から配信している規定があり、ある程度の価格帯は決まっているのですが、「でもこれ状態いいから、絶対売れる」と売り場で判断したら、規定の倍になったり、いくらか上積みすることもあります。持って行ってのお楽しみ、という要素もありますね。

逸見:店舗で査定するなかでは、箱が破れていない商品は奇跡に近いというイメージですし、もしハガキまで入っていれば、「完璧だ」となってきます。あとはスーパーファミコンだとソフトの中に端子があるんですけれども、そこが錆びていないか、美品かどうかを判断しています。

――美品という観点から、これまで持ち込まれた商品で驚いたものはありましたか?

逸見:当時の商品は箱がしっかり密封されていて、開けていなければ分かりますし、1回でも箱を開けると折れ目がついたりしてしまいます。でも、そうした跡が全くないという商品がありました。ゲームソフトも袋に包まれていたのですが、そこから出されたことがないように見え、説明書にも折り目がなく綺麗な状態でした。「この人はどうやって遊んでいたのか」というか、もはや「遊んでいたのか?」と思うほどでしたね。すぐに「これぐらいのお値段ですけど、どうですか」と交渉して、買取させていただきました。それほどまでに綺麗な状態でいらっしゃるお客様は、全体の1割くらいですね。

――これまで最も高額で買取したのはどんな商品でしたか?

逸見:ゲームハードになるのですが、「ポケットモンスター」とコラボしたゲームボーイライト(ゲームボーイポケットがバックライトを搭載したモデル)で、10万円でお売りいただきました。「ポケモン」映画の記念に出たものでした。持ち込みいただいたお客様はちょっと半信半疑といいますか、「たぶん高いんだろうけど、どれくらいになるかな」という雰囲気でしたが、こちらは最初から大きめの金額を提示させていただいたところ、「これでお願いします」と納得していただきました。

――では逆に、“売れ筋”の商品というのはどのようなジャンル、ハードなのでしょうか。

逸見:ファミコンはやはりすごく人気です。カセットがカラフルなので、目で見る楽しさもあるのかなと個人的に思っています。ただ、最近はゲームボーイの価値がどんどん上がってきているなという印象もあり、ゲームボーイソフトやゲームボーイ関連のハードも、我々としてはぜひお待ちしております。特に初代のゲームボーイですね。

 実は、壊れていても売れるんです。液晶がつかないレベルでも売れますし、値段も100円とかではなく、数千円です。自分で直して使う方や、インテリアとして飾る方もいらっしゃるみたいです。

――最後にレトロゲーム部門について読者・ユーザーの方へのメッセージをお願いします。

稲森:ブックオフとして、レトロゲームは昔から取り扱ってはいたのですが、『BOOKOFF SUPER BAZAAR 立川駅北口店』のようにちゃんとした棚を作って取り扱うというのは、ここ1〜2年ほどのことなんです。店舗によってはまだまだ力を入れて取り扱うところまで至っていないこともあるのですが、これからどんどん、1店舗でも多く、レトロゲームの取り扱いを強化していきたいと思っています。

 少しでも興味を持っていただけるのなら、ぜひお客様にはお近くの店舗を覗いていただいて、ただレトロゲームのコーナーを見ていただくだけでもうれしいです。ひょっとしたら“お宝”が見つかるかもしれないですし、愛用していただくレトロゲームショップになれたらなと思っておりますので、これからさらに成長していくレトロゲームの展開に期待していただきたいですね。

逸見:店舗として数千本のソフトを扱っており、ブックオフの中でも取り扱いが多いほうだと思いますし、本当に気軽に寄っていただきたいですね。気軽さはブックオフの良さでもありますし、ふらっと立ち寄ったときに昔遊んでいたゲームが見つかる、という体験をしてもらえたらと思います。レトロゲーム入門というわけではないですが、ぜひ気兼ねなく売り場を見に来てください。

 買取に関しても、本部が設定する価格もどんどん上がっていて、相場も高くなっています。昔は「ブックオフはちゃんと見ていない」というイメージがあったかもしれませんが、今はしっかりとした査定を経て、適正な価格での買取になっていますので、いつでもお待ちしております。

ブックオフ限定デザインレトロゲーム互換機全3種類が予約受付中
https://www.bookoff.co.jp/event/lp/retrogame_hard/index.html

懐かしくて面白い、ファミコン世代のゲーム音楽における「名曲」と「迷曲」たち

さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年色んな意味で改めて注目が集まっ…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる