「マネタイズすることで“プロ意識”が身についた」 人気ポッドキャスト番組『シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ』の二人に聴く“収益化との向き合い方”

マネタイズすることで“プロ意識”が身についた

――では、クリエイター・エコノミーという観点でも話を聞きかせてください。コンテンツを作ったりイベントをやったりするにはお金がかかるからこそ、マネタイズは重要かと思います。お二人がマネタイズしたことで、なにか変化はありましたか。

シノブ:お金が入るようになって一番変わったのはプロ意識だと思います。話をすることで誰かからお金をもらうようになってからは、常にコンテンツをいいものにしていかなければならないと思うようになりました。

ナルミ:最初の3年はコンテンツを出すだけで年間500ドルくらいのマイナスでした。そこから少しずつマネタイズできるようになってからは、マイクを揃えたりしています。シノブさんが言うように、聞いてくれている方がいるので、発言に気をつけるなど意識が変わったように思いますね。

――この先、日本のポッドキャスト市場が活発になり、ポッドキャスターで生活できる人が増えていってほしいとは感じますか?

シノブ:とても感じています。なんなら、ポッドキャストにはYouTube以上のポテンシャルがあると思っています。YouTubeにはテレビのような存在感があるけれど、対するポッドキャストはリスナーの毎日のルーティンに組み込まれています。ジョギングする時にはこの番組、お掃除する時にはこの番組、という感じ。生活に密接したものなので、もっとたくさんの人に利用されてもいいんじゃないかと思います。

――ポッドキャストはもちろん、YouTubeなどのソーシャルメディアも含めて、お二人が今後目指していることを教えてください。

ナルミ:今年は初めて冬のイベントを開催する予定です。今後は夏と冬など、もっと定期的にイベントを開催できたらと考えていますね。あとはもう少し横のつながりを強化できたらいいなとシノブさんと話していました。長くアメリカにいたので、日本のポッドキャスターとのつながりが全くないままやってきましたが、『JAPAN ポッドキャスト AWARDS』に参加させていただき、初めてポッドキャスターさんと話をしました。今回、配信者の方と会ったことでコラボができたり、いろいろと新しい分野に広がったものもありました。これからはポッドキャスターさんたちとのコラボやイベントができたら楽しいでしょうね。

シノブ:私にも考えていることがあって。「5点ラジオ(※)」さんがやっていますけれど、まだ無名なポッドキャスターさんをプロデュースしてみたいです。プロデュースした人を自分たちのチャンネルで何度もフィーチャーして、ポッドキャスターとして花が咲くように助けていくというのは、いいプログラムだなと思って。ああいう活動を「毒アメ」としてもやっていきたいですね。これはナルミちゃんにも話していませんでしたけれど(笑)。

※ゲイと女の5点ラジオ:自分たちを「ネオおばさん(若くもおばさんでもない)」と称する2人組が、「5点の自分も愛していこう」をモットーに、偏見と妄想を話す人気ポッドキャスト番組。

ナルミ:いま、初めて聞きました(笑)。

シノブ:私のリスナーさんが、1人ポッドキャストを始めたんですね。彼女は自分のことを「毒アメの妹分」と呼んでいますが、それを私たちのプログラムですくい上げていったらみんながポッドキャストをはじめやすくなるかと思いました。横のつながりでもっとたくさん盛り上がっていったら、聞いてくれる人たちももっと増えるのではないかと思っています。

「番組のサビは『結論』じゃなくて『脱線』」 『奇奇怪怪』TaiTan×玉置周啓が語る“面白くてキモくないコンテンツの作り方”

Dos Monosのラッパー・TaiTanと、MONO NO AWAREのフロントマン・玉置周啓によるポッドキャスト番組「奇奇怪…

関連記事