Type-C端子になった「iPhone 15」シリーズは“買い”だ! 初のチタニウム筐体もお目見えで期待に胸躍る

 2023年9月13日の午前2時から、Appleのオンライン製品発表イベントが配信された。アーカイブ映像はAppleの公式サイトもしくはYouTubeで視聴可能だ。

 イベントでは、今年9月に発売となるiPhone 15シリーズと、Apple Watch Series 9シリーズが発表された。それぞれのプロダクトを軽くおさらいしつつ、Appleの現在地を紐解いていこう。イベントのリアルタイム更新記事はこちらをご参照あれ。

待望のUSB Type-C端子を搭載したiPhoneがついに!

 『iPhone 15』、『iPhone 15 Plus』、『iPhone 15 Pro』、『iPhone 15 Pro Max』の4モデルが新たに発表された。共通のトピックとしてもっとも注目すべきは、USB Type-C端子への移行だろう。『AirPods Pro』もType-C端子のケースが登場する。

 『iPhone 15』と『iPhone 15 Plus』は、前モデルの『iPhone 14 Pro』に採用されたA16Bionicチップを搭載。一方で『iPhone 15 Pro』は業界初となる3nmプロセスを採用したA17 Proチップを搭載し、ハイエンドデスクトップPCに迫るシングルコア性能を謳っている。また、外装については『iPhone 15 Pro』モデルはチタン素材が「iPhone」において初めて採用された。

 また、カメラ性能に共通する点として、ポートレートモードの自動切り替えが挙げられる。普通にカメラで撮影した際に、被写体を自動認識し必要に応じてポートレートとして撮影する機能が組み込まれた。なにかと設定が面倒なポートレートモードも、これなら気軽に撮影ができるだろう。

 価格は『iPhone 15』が799ドル〜、『iPhone 15 Plus』が899ドル〜、『iPhone 15 Pro』が999ドル〜、『iPhone 15 Pro Max』が1199ドル〜。2023年9月22日発売で、今週金曜から予約スタート。

 ちなみに、なんと『iPhone 13 mini』は販売ラインナップから姿を消した。とうとうminiが買えない時代に入ってしまったか……。

指先でトントンと操作できるスマートウォッチ

 『Apple Watch Series 9』と、『Apple Watch Ultra 2』が新たに発表された。どちらも新しいS9 SiPを搭載し、処理性能や画面輝度などのベーススペックが上昇している。バッテリー時間については据え置き。

 大きなアップデートとして、指を使った片手ジェスチャーが追加された。これはApple Watchを装着している側の親指と人差し指を、輪っかを作るようにトントンと二度ダップすると、主ボタンの変わりとして作用してくれるものだ。

 片手で画面を操作できるから、コーヒーを持ってる時や子どもを抱っこしてる時、あるいは崖をクライミングしてる時であっても、Apple Watchを操作できる。機械学習アルゴリズムが指先の動きを検知することで実現できた機能のようだが、非常に便利かつ面白そうだ。

 価格は『Apple Watch Series 9』が399ドル〜、Apple Watch Ultra 2』が799ドル〜。本日から予約受付開始で、2023年9月22日発売予定。

時間と演出をたっぷり使って、カーボンニュートラルへの取り組みも紹介

 プロダクトの発表以外で気になったのは、Appleが取り組んでいるカーボンニュートラルについてのお話。約82分の発表会のうち5分もの時間を使い、コミカルなショートムービーを紹介していた。ティム・クックも演者として出演している。

 環境負荷を考慮した製品開発は、今や世界中の企業が取り組んでいるグローバルな課題だ。製品のマテリアルにリサイクル素材を用いたり、クリーンエネルギーを使ったりと、様々な取り組み方がある。Appleも長年取り組んでおり、そのためのコストや成果のアピールに割く時間も年々増えてきている。

 その取り組みが、今年の発表でさらにステージが進んだように思える。たとえば今回発表された製品は、どれもが100%再生アルミニウムを用いており、バッテリーについては100%再生コバルトを材料としている。また、「Apple Watch」のバンドなどに使われるレザー素材は今後使わず、再生素材中心にシフトしていく。

 二酸化炭素の排出量削減、水の使用量削減、サプライヤーを含む発電時のクリーンエネルギーへの移行などなど。映像ではコミカルな描かれ方をしていたが、これほど大規模に取り組んでいる企業は世界でも屈指で、流石Appleらしい取り組みと演出。

 こうした取り組みにより、今回の『Apple Watch Series 9』は、Appleにとって初めてカーボンニュートラルを実現したプロダクトとなった。そのことを証明するため、カーボンニュートラルを達成した製品の箱には、新たなロゴが付与される。

 Appleは2030年を目標に、すべての製品でのカーボンニュートラル達成を目標としている。レザーの不使用などはかなりドラスティックな施策だと感じたが、あと7年の猶予ともなれば思い切った行動が必要なのだろう。

 個人的には、こうした大胆な舵取りは新しい発明の萌芽になるのではとも期待している。たとえば、ヴィーガンレザーやマッシュルームレザーのような非殺傷なレザーも発明されてきたし、Apple自身も再生素材を用いた新しいバンドやケースを開発している。新たなプロダクトは、我々消費者にとっては新鮮で楽しいものだ。

Type-Cのためだけに乗り換えるかと聞かれれば

 今回の『iPhone 15』だが、『iPhone 15 Pro』のシリーズ初となるチタン筐体は恐ろしく魅力的で、この佇まいに惹かれる人であれば、買い替えて損はないだろうと思っている。チタンは軽量な素材でもあるため、Proでありながら軽く扱えるのも今回のモデルの特徴だ。

 ほかのモデルに関しては、やはりType-C端子の搭載が買い替えの目安となるだろう。Type-Cで充電するガジェットを多く所有している人であれば、Lightningケーブルとおさらばできるし、モバイルバッテリーも端子で悩まなくて済む。「iPhone」からワイヤレスイヤホンなどへのリバース充電(iPhoneが外部バッテリーにもなる)にも対応しているため、他のガジェット充電にも貢献できると感じた。

 また、2023年10月よりiCloud+に6TBと12TBプランが新たに追加される。現在は最大で2TBプランだったが、6TBもあれば写真や動画もドカドカアップロードできるだろう。歴史が長いiPhoneだけに、クラウドのストレージ容量も引き上げてきたのかもしれない。

 ちなみに筆者は「Type-Cだったら『iPhone 15』に乗り換える」と決め打ちしていたが、『iPhone 15 Pro』のチタン筐体が素敵すぎて、すでに何色にするかで悩んでいるレベルだ。あぁ、実物の色味を早く見てみたい.......!

◎参考情報

https://www.apple.com/apple-events/

『iPhone 15』シリーズはUSB Type-C対応&「ミュートボタン」が生まれ変わった! ほか『Apple Watch Series 9』も発表になった『Apple Event 2023』新製品情報まとめ

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