DLC2種を開発中の『FF16』 ストーリー“補完”の可能性と、最新動向から考える評価の行方

DLC開発中の『FF16』、評価の行方は?

 9月3日、『FINAL FANTASY XVI』(以下、『FF16』)のプロデューサーを務める吉田直樹氏は、同タイトルのPC版と2種類の有料DLCを開発中であると明かした。

 前作『FINAL FANTASY XV』(以下、『FF15』)では、一部が開発中止となっていたシリーズのDLC。リリースに向けて順調に歩みを進めていることは、『FF16』、さらにはコミュニティにとってどのような意味を持つのだろうか。

原点回帰と評されるシリーズ最新ナンバリング『FF16』

FINAL FANTASY XVI “SALVATION”

 『FF16』は、人気RPG「ファイナルファンタジー」シリーズの最新ナンバリングタイトルだ。2023年6月22日、前作『FF15』の発売から約6年半ぶりにリリースされた。

 舞台となるのは、終焉に向かう大地「ヴァリスゼア」。ロザリア公国の第一王子であるクライヴ・ロズフィールドは、騒乱に巻き込まれるなかで世界に隠された真相を知り、国家間の争いの原因となっている唯一の加護「マザークリスタル」の破壊を目指していくことになる。

 公式のキャッチコピーは、「これは、クリスタルの加護を断ち切るための物語」。シリーズの代名詞である「クリスタル」「召喚獣」といったワードを中心に据えたストーリーには、開発発表時から“原点回帰”と期待の声が上がっていた。発売後のレビューでは、多くのユーザーから高評価を獲得している。

 価格は、9,900円(税込)。現時点では、PlayStation 5向けのみに展開される独占タイトルとなっている。

一部DLCが開発中止となった『FF15』との比較にみる不自然さ

『FINAL FANTASY XV EPISODE ARDYN』ティザートレーラー

 発売前・発売後の評判から、直近のシリーズのナンバリングと比較される機会の多い『FF16』。DLCをめぐっては、前作『FF15』とのあいだに分かりやすい対照性がある。

 『FF15』においては、リリースから1年3か月後の2018年2月、4つの追加シナリオ『FFXV エピソード アーデン』『Episode 外伝 アラネア「終わりの始まり」』『Episode II ルナフレーナ「自由という選択」』『Episode III ノクティス「最後の剣」』から構成されるDLC『FFXV 未来への夜明け』の存在が明かされたが、うち『FFXV エピソード アーデン』を除く3つについては、2018年11月に開発中止が発表されている。そうした経緯を踏まえての今回のアナウンスだっただけに、両者がことさら比較されやすい状況になってしまったというわけだ。

 発売元であるスクウェア・エニックスは『FF15』DLCの一部が開発中止となった理由を公表していないが、一般には「同社の業績低迷」「体制の変更」が原因であると見る向きが強い。少なくとも国内においては、『FF15』が大きすぎるファンの期待に十分に応えた作品とは見なされていないため、一定の評価を獲得している『FF16』との対立を煽る向きもある。

 とはいえ、今回発表されたのは、『FF16』にとっての最初のDLCだ。開発中止というネガティブトピックが独り歩きしているが、『FF15』も主要キャラクターにフォーカスした追加シナリオからなる最初のDLCは、発売から間もないうちに配信されている。そのため、同コンテンツをめぐる動きを取り上げ、両者を比較するのは、あまり意味を持たない行為だと言える。少なくとも本編の発売から数か月のうちに配信されるDLCに関しては、それ以前から開発に着手していると推測され、ある意味で予定調和的にリリースされるものだろう。開発中止となった『FF15』のDLCと、今回発表された『FF16』のDLCは、紐解けば紐解くほど、性質の違う、本来比較されるべきではないものだと分かるはずだ。

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