「人間関係が破綻しても編集で対応できる」 ABEMA・高橋弘樹Pが語る『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』番組制作の裏側
「面白そうだけど無理かな」という反応を見てやりがいを感じた
――ABEMAに入って初の番組制作が、2023年8月12日から放送されている『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』でした。ひろゆきさんを、アフリカの砂漠に置き去りにするという斬新な企画はどのように生まれ、コンテンツとして尖らせていったのでしょうか?
高橋:ABEMAの代表を務める藤田晋さんに10個くらい企画を出し、良し悪しを判断していただいた際に、『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』の企画は少し躊躇しながら「ひろゆきさんが、スケジュールをくれたら面白そうだけど無理かな」と言われたんです。
そのときの藤田さんの反応を見て、私自身やりがいを感じたんですよ。「人が無理だと思うことだからこそ、実現すれば世の中が驚く」と思っていたこともあり、アイデアを具現化するために行動していきました。もともと、付き合いのあったひろゆきさんにまずは「3週間旅行に行きましょう」という体で、とりあえずスケジュールを抑えてもらいました。その後、日程が近づいてきたら具体の企画概要を説明し、了承してもらう段取りで進めていったんです。
企画のアイデアについては直感によるものが大きいですが、コロナ禍で海外旅行にしばらく行けない日々が続いていたこともあって、海外を旅するようなコンテンツはやりたいなと考えていました。自分の運営するReHacQでは「ReHacQ旅」という、ひろゆきさんが国内を自由に旅する企画があるんですが、これが結構面白くて。
これまで投稿した動画の累計視聴回数は1000万回再生を超えるなど、反響も大きかったので、ひろゆきさんを海外に放り込めば、絶対に面白いものが撮れると考えていたんです(笑)。
また、どうせ海外でやるなら、本当に辺境の地というか世界の果てからスタートしたかったので、砂漠か北極のどちらかにしようと考えていて。季節的に砂漠になったという感じです。
――ひろゆきさんと豊川ディレクターの掛け合いや、さまざまな人間模様が垣間見れるシーンも、『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』ならではの見どころだと感じています。
高橋:一応、最初に旅のルールは設定していましたが、進んでいくうちに崩壊していくだろうなと思っていました。豊川ディレクターの働きかけや提案に対し、ひろゆきさんが異を唱え、どんどんルールが変わっていく様は、私が俯瞰してみる立場から見てもひろゆきさんらしくて楽しいなと感じた部分です。
豊川ディレクターの「番組として面白くしたい」という思いと、ひろゆきさんの「早くゴールに到達したい」という思いが交錯し、ひと揉めやぶつかり合いが起こるからこそ、いい意味で筋書きのないストーリーが描写されたドキュメンタリーに仕上がったと思っています。
自分も社長としてReHacQを運営していますが、営業費と利益を意識しすぎると、番組として面白くなくなってしまうんですよ。『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』に関しては、ABEMAが制作費を出すゆえに、自分はその部分に留意せずに済むので、旅の途中でどんな出来事が起きようとも、“番組として面白くできる”という覚悟と自信はありました。
20年近くテレビマンとして番組制作に関わってきた経験から、「編集」で面白いコンテンツに仕上げることができる自負があります。最悪、ひろゆきさんと豊川ディレクターの人間関係が破綻しても、そこは編集で対応できると考えていましたね。
――ありがとうございます。最後にABEMAでの目標やReHacQの未来についての展望を教えてください。
高橋: ABEMAに入ってよかったと感じているのは、「戦略まで一緒に考えられている」ということ。どういうジャンルやコンテンツを作って、新規のユーザーを獲得するのか。また観たいと思ってもらえるのかを、番組制作を通じて関われているのは、とてもやりがいにつながっていますね。
『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』のようなジャンルは、いままでABEMAになかったもので、この番組だけを観にくるユーザーもいるほど、新たな視聴体験を提供できていると思います。今後も、既存のジャンルに囚われない番組制作ができればと考えています。
ReHacQもできる範囲の中でコンテンツを作っていき、YouTubeチャンネル登録者数100万人を目指したいと思っています。平社員と経営者でいる楽しさを味わいながら、これからも楽しいと思ってもらえるコンテンツを生み出していけるよう尽力していきたいです。
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