なぜ人は恋愛リアリティショーについて語り合いたくなるのか? 楽しいだけじゃない、誰かと見ることで本当に得られるものとは

恋愛リアリティショーを語り合いたい理由

「他人の恋愛」を通して「自身の本質」を話す。恋リアを語る醍醐味

 私たちは「恋愛について語りたい」性質を持っている。恋愛は、自分自身が生きる社会生活で起こる悩みの最たるものの一つ。しかし、自分の恋愛となると話す相手やシーンを選んでしまうのが、大人のよくないところだったりもする。

 だから私たちは、恋リアの参加メンバーたちに自身を重ねる。好きな人に嘘をつくオオカミちゃんだったり、他のメンバーと揺れていて、何を考えているか分からない異性にやきもきするメンバーを見て「ああ、私もこういう気持ちになったこと、あったな」と、過去の自身をしみじみ思い出す。同じ瞬間に最終話を視聴したメンバーで感想を語り合ってみると、中には「思い出し泣き」でハンカチを握りしめる人もいた。

 自分の体験談と思うと話しづらくても「あの時のあの子の気持ち、めっちゃ分かる」というメンバーへの共感への気持ちは、すんなりと話すことができる。その意見に共感してくれる人がいるのはもちろん嬉しいし、そうではないという人がいても、自分の話ではないので「なるほどな〜」と冷静に聞くこともできる。

 また、座談会の途中も、どの異性メンバーが好きかという話でかなり盛り上がった。推しが被れば「君、話が分かるね」と言わんばかりに握手をしたり、はたまた被らなくても、異性の趣味が違う方が安心、という安堵が生まれる。

 『オオカミちゃん』を語り合ってみて気づいたのは「人の恋愛を通して自身を語る」ことで、深い自己開示をせずとも、お互いになんとなく相手の本質を知れるということ。本当は誰もが「もっと私のことを知ってほしい」と思っている。けれど、色々と余計なことを考えて、口にするエピソードを選んでしまう。

 恋リアを語り合うことで生まれる共感は、ずっと口をつぐんできた私たちの心の穴を、すっぽりと埋めてくれる。自分の思いや、自分との共通点。それを他者に受け入れてもらい、共感してもらうことは、紛れもなくピュアな自己承認に繋がる。

 座談会をしたメンバーの中には初対面同士の人がいたにも関わらず、全員がすぐに打ち解けて「次はどの恋リア見る?」「過去のやつを見直すのもよくない?」と、次の会合の予定もすぐに決まった。

 語り合う相手によっても、盛り上がり方は変わるはずだ。恋愛は一段落し、身を落ち着けた友人と見れば「ああ、私たちにもこんなふうに、駆け抜けた青春があったよね」と懐かしさに浸れる。今まさに恋をしている異性と語れば、その人が恋愛に求める本質性が垣間見えることがある。

 『オオカミちゃんには騙されない』の最終話は、8月20日に配信予定。各界で今最も勢いのある男女10人が集まり、視聴者だけが「誰がオオカミちゃんなのか」を知っている状態で進んでいく恋模様には、これまでのシーズンになかった「鮮烈さ」を感じることができるだろう。

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