連載「YouTube with her」第二回:菊地亜美
菊地亜美「ママタレントになるつもりはなかった」 それでも子育てYouTubeを始めた理由とは
“リアルすぎる出産レポ動画”が100万再生超!
ーーいま、視聴者層の中心は菊地さんと同じく子育てをしている方が中心なのでしょうか。
菊地:そうだと思います。一番驚いたのは、2020年の9月に投稿した「【出産レポ】陣痛開始から誕生まで!30時間出産を語り尽くす【初産】」を、いまでも妊娠中の方がさかのぼって観てくれているみたいなんですね。テレビよりも気軽にさかのぼれるYouTubeのよさを感じました。
ーーあの動画を出そうと決めたのは、なぜだったのでしょう?
菊地:当時はコロナ禍だったこともあって、立ち会い出産も難しい時期でした。それに、仕事にもどれくらいで復帰できるのか、産んでみなきゃわからないことが多くて。
私自身も、いろんな方の出産レポを見ていたんです。でも、どのレポートも「すごく痛かったです。でも(子どもが)かわいいです」って言ってて、「本当か?!」って思ったんですよ(笑)。それで実際に自分で確かめてレポートしたいなと思って、事務所や産院の方にも「元気だったら撮ります」って伝えたんです。
ーー(笑)。実際、かなり痛かったのだなと伝わってきました。
菊地:産後1日目は人が変わったように、声が出なくなるぐらいの痛みでした。「もう一生、テレビの仕事ができないかも……」って思うくらい。でも、2日目にはしゃべれるようになっていたので「この経験を伝えなきゃ!」と動画でしゃべりまくったんです。
でも、正直、動画を投稿するときにはリアルすぎて炎上するかもとも思ったんですよね。まあ、嘘ではないので投稿しちゃったんですけど(笑)。
ーーそれがいまでも反響があると。
菊地:はい。「オープニングで『怖い人は観ないでください』って言われたのに、怖いもの見たさで観ちゃって後悔した」という人や、「出産の心構えができた」という人、「自分の親にありがとうと思った」という学生さんもいました。実は産院の先生も観てくれたんですけど、「あなた、すごい痛がってたのに全然元気だったじゃない。いいレポだったわね」って言ってくれて、とても嬉しかったです。
“ママタレント”になるつもりはなかった
ーー最近では子育てに関するお仕事や、『東京結婚おうえんフェスタ』などのイベント登壇も増えている印象です。でも、ここまでのお話を伺っていて、そもそも「ママタレントとして活躍したい!」と思っていたわけではなかったのかなと感じました。
菊地:そうなんですよね。別にママタレントになりたいから、動画の方向性を変えたわけではありませんでした。
むしろ、ママタレントになったら「毎日お弁当とかSNSにアップしなきゃいけない」「ちょっとでも子どもを怒ってるのを見られたら、ママ失格とか言われるんじゃないか」ってびくついていたくらい(笑)。だから、日常を発信する程度に留めていました。
でも、やっぱり子育てや結婚に関する仕事をいただけるとすごくうれしいので、いま思えば柔軟に対応できるようになったのもよかったのかもしれません。
ーーもともとは柔軟に対応するタイプではなかったんですか?
菊地:私、結婚願望がそもそもなかったんです。独身時代はひとり暮らし歴が長くて、仕事も大好きだったので、いま思うと頑固だったんですよ。嫌なことは嫌、みたいな。でも、夫に出会って「結婚しよっか」って。結婚してみたら、私は私、彼は彼で過ごす時間もあるので、意外と柔軟にやってみたらうまくいくこともあるんだなと学びました。
ーーなるほど。
菊地:でも、いまだに驚いていますよ。YouTubeがきっかけで、自分が子育てや結婚関連のイベントに呼ばれるなんて想像していませんでした。YouTubeってすごいなとしみじみ思います。
ーーYouTubeをやっていて、つらかった時期や辞めたいと思った経験はありますか?
菊地:まだないんですよね。何を撮ろうかなと悩むことが続くとつらいなとは思いますけど、結局悩んだところで新しい動画を撮れるわけじゃない。あくまでも日常を映しているのがいまなので、と割り切っています。
ーーそれこそ、以前想像していたように、ママタレントだから叩かれるといった経験は?
菊地:正直、テレビに出ているときのほうが叩かれることは多いですね。YouTubeの場合、その動画を観たくて観てくださる方の方が多いので、コメント欄を見ていても優しいなと。
たぶんですけど、私のことを叩こうと思って観ている方はいないんでしょうね。たとえば離乳食の動画なんて、そもそも興味があるのは1歳前後の子どもを育てる方だけでしょうし。